枕草子 (My Favorite Things)
【第720回】 遭遇(2001年11月27日)
- 往路あさま550号で,昨夜読み始めたロビン・クック「アブダクション−遭遇−」(ハヤカワ文庫)を読み続け,読了した。相変わらずこなれていない訳文には引っ掛かりを感じるし,「インヴェイション」に比べると爽快さがないし,センスオブワンダーがそもそもあんまりないのと,それに対するこじつけ説明の科学的丁寧さにも欠けるのだが,ストーリーを語るのが上手いのでなんとなく読めてしまうところがロビン・クックである。もっとも,どうせロビン・クックを読むなら,ジャック・ステープルトン監察医を主人公にしたシリーズの方がずっと面白いが。
- 今日,出席取りとか資料配布をお手伝いしている解剖学の実習見学というイベントが順天堂大学であるのだが,参加希望者が多すぎて集合場所が二転三転したり,都合が悪くなって急に参加を取りやめたり,という人が多くて連絡が大変で困る。仕方ないか。しかし,学生の身分で,急にどうしても都合がつかなくなる,という人が何人もいるとは思えないのだけれど。今の学生はそんなに忙しいのだろうか?
- 大臣官房の水に関する世論調査はとても面白いのだが,図がgifで表がcsvという提示の仕方はいただけない。せめてcsvでなくてタブ区切りテキストであれば表と言えないこともないが,csvは表じゃないだろう。
- 今日のミーティングは,バスク地方というところが鍵だったのだろうと思われるけれど,研究デザインとしては,社会経済状態が低い人たちと高い人たちの間で栄養状態(生体計測とBIAによる体脂肪率と食事調査による)を比べるというありがちな銅鉄研究が1本と,ADHDのモデル動物としてドーパミントランスポーターのノックダウン(ノックアウトではなく野生型の10%まで生産量を低下させたもの)マウスを作ったという話が1本だった。やや長引いたので疲れた。帰りは終電1本前。米田淳一「プリンセス・プラスティック エスコート・エンジェル」(ハヤカワ文庫JA)を読了。AIの内面描写は妙に叙情的でアン・マキャフリィの作品みたいなのだが,全体の雰囲気は,どう考えても技術楽観論に支配された,クラッシャー・ジョウとダーティ・ペアが混ざったような,破壊性が勝ったもので,うーん,こいつは高千穂遥の再来か,という印象をもった(後半になって,メガレンジャー風味も入ってくるが)。この作品はシリーズものとして続くらしいので,頑張って欲しい。個人的な趣味からすれば,もうちょっと技術の影の部分を掘り下げると深みが出てきて面白いと思うんだが。
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