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生態学第7回
「種間競争」(2001年5月31日)
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2001年10月14日 日曜日 23時58分
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講義概要
- 種間競争の本質
- ●ある種に属する個体が,別の種に属している個体による資源利用や,妨害を受けた結果として,妊孕力や生存あるいは成長の減少という作用を被ること。
- ●種間競争は競合している種の個体群動態にさまざまなやり方で影響する。それらの種の立場に立ってみれば,分布と進化に影響する。
- 種間競争の典型的パタン
- ●鉢植えの植物で,他の植物と,鉢を共有した場合と,地上部分の空間を共有した場合と,その両方を共有した場合の,いずれにおいても成長量が減ること,その作用が相乗的だったことが実験的に示されている(図示)
- 種間競争のいろいろな例
- ●アパラチア山脈南部に住む,Plethodon glutinosusとP. jordaniという2種のサンショウウオ。互いに相手がいない方が多く産卵するし,早く成長する。
- ●英国のヤエムグラの仲間Galium hercyniumとG. pumilum。前者は酸性土壌を好み,後者は石灰質土壌を好む。どちらの土壌でも生育可能だが,酸性土壌では前者が勝ち,石灰質土壌では後者が勝つ。(Tansley, 1917)
- ●スコットランド(北西ヨーロッパの岩海岸に広く分布)フジツボの仲間,Chthamalus stellatusとBalanus balanoides。前者の方が高いゾーンに住むが,幼生は後者と共通の高さも使う。後者がいると生育が悪い。
- 競争排除か共存か?
- 種間競争のロジスティックモデル:係数αを用いて,ロトカ・ヴォルテラの競争方程式が導ける
- 4つの競争のタイプ
- 競争排除の原則
- 実験的証拠
- 共存の条件
- ロトカ・ヴォルテラの競争方程式
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- 4つの競争のタイプ
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- 今日の講義(とくに競争方程式)は難しくてわからなかった。何か参考書は?
- 上の方程式とグラフを見ながら,時間をかけて落ち着いて考えてみてください。そんなに難しいことではありません。Microsoft Excel 2000があれば,このワークシートを使って,簡単に自分で数値実験をしてグラフを見ることができます。
- 詳しい参考書はいろいろありますが(巌佐庸「数理生物学入門−生物社会のダイナミックスを探る」共立出版など),今日の講義以上にこのテーマについてやさしく書かれたものは存在しないと思います。
- 種間競争の典型的パタンの図で,根を共有する方が地上の空間を共有するよりも鉢が1つなので成長しにくそうだが,なぜ違うのか?
- 無機塩類と水よりも,光合成に使う光エネルギーの方が,少なくとも例示した植物の場合は,成長への影響が大きかったのだと考えられます。
- 排除が絶滅とすると,それによって生態系は崩れないのか?
- 生態系は2種間関係ではなく,動的にバランスが保たれているので,仮に2種間で競争排除が働いて,そのうちの1種がその場所からいなくなっても「崩れる」ことは少ないと考えられます。
- 日本のトキの減少も種間競争のせいか?
- これは種間競争よりも資源の不足の問題でしょう。
- 十分な栄養と場所があっても同一場所の2種は競争するのか?
- 十分な栄養と場所がある状態ではロジスティック成長より指数関数的な成長をするはずですから,その時点では競争関係は弱いと考えられます。
- 競争排除が続くと1つの種だけが生き残って他は滅びるか?
- 講義では2種間の単純な場合のみ説明しましたが,実際には3種以上の競争が多く,3すくみ状態で共存することもありますから,単純に競争排除が起こるとは限りません。
- 動物と植物の種間競争はないか?
- 動物と植物では被食捕食関係はありますが,空間を除けば共通資源が少ないので,あまり今回説明したような意味での種間競争はないと思われます。
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