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2015年2月のカンボジア弾丸往還記

Copyright (C) Minato NAKAZAWA, 2015. Last Update on 2015年4月2日 (木) at 10:04:49.


【第1日目】 最終講義後のカンボジア行き(2015年2月13日)

6:50起床。昨夜の残りのスープを温め直し,白い御飯の残りも全部食べて,今夜からのカンボジア出張のための荷造りをしていたら,9:00近くなってしまった。名谷行き5番のバスで出勤。

午前中はメール送受信とか文献のプリントアウトとかカンボジア行きの準備や事務仕事。岩田健太郎先生のtweetで知ったが,リチャード3世の死因を骨から分析したというLancet論文が面白い。紹介動画も良くできていると思う。昼過ぎから今年退官されるお二人の教授の最終講義があった。その後もいろいろ準備をしていたら18:30近くなったので,そろそろ出発せねばならない。

三宮から関空にバスで着いたのが20:30頃だった。院生と合流してチェックインし,そばを食べてから暫くメール送受信。そろそろボーディングか。


【第2日目】 カンボジア初日(2015年2月14日)

チャンギ空港は以前来た時にも増して広大で,Terminal3に着いてSkyTrainでTerminal2に移動し,Transfer Counter Eで荷物がちゃんと積み替えられたことを確認してもらい(ボーディングパスは関空で発券済みで楽だった),E24ゲートに向かった。院生がいることを確認してからFreeWiFiを使うため,NetKioskへ。パスポートをスキャンさせると,5桁の数字が表示されるので,それを入力するだけでネットが使い放題になった。

メール送受信後,コーヒーを出す店を探して少し歩いた。ほどなく見つかったが,ラテ1杯で7.1シンガポールドルは少々高いかも。

パスポートとボーディングパスのチェックと機械を使った手荷物検査を通過後,広い待合室で暫く待ち。ボーディング開始は予定通りだったが,離陸は30分くらい遅れたように思う。

プノンペン着は9:40頃だった。ぼくはオンラインで40ドル払ってe-Visaを取得済みだったが,入国審査のゲートが8ヶ所くらいあるうち,e-Visaというシールが貼ってあるゲートでしか入国手続きができないという落とし穴があった。最初1番の窓口に並んでいて,順番が来たかと思ったら,この窓口はe-Visa対応でないから3番に行ってくれと言われてしまった。しかも,on arrivalでビザを取得した院生に聞いたところ,そちらだと手数料も30ドルしかかからないという。並ばなくていいということくらいしかe-Visaにはメリットがないなあ。

ともあれ,3番の窓口で両手の指紋を登録し(ここでも,右手親指に絆創膏をつけていたのを忘れていて,剥がさなくてはいけないという問題が起こったが),無事に入国審査を通った後,預けた荷物をピックアップしたら,通関のところは何もチェックされず書類を渡しただけで通れて,その先はすぐに出口だった。

外に出たところには両替所やプリペイドSIM屋が並んでいた。たくさんの会社があって,どこのSIMがいいかわからなかったが,勘でCellcardという会社のにした。SIMを新規購入する場合,パスポートを見せる(コピーを取られる)けれども,SIM自体は無料で,初期設定から15ドル分のTopUpをしてもらうところまで,全部やってくれた。これでtwitterとgmailがどこでも使えるようになった。

タクシーを拾おうと思っていたが,乗り場がよくわからないでいたら,トゥクトゥクのドライバーが9ドルで市内まで行くし,25分で着くよと言ってきたので乗ってみた。工事中の場所が多くて幹線道路が渋滞していたこともあって,かなり回り道をして着いたのだとは思うが,結局1時間25分かかった。でも,その分,市内の色々な場所を見て行けたので良かったかもしれない(下の写真は道端の野菜市場)。
A food market in Phnom Penh
9ドル払おうとしたら1ドルのチップを要求された。チップの習慣はないとガイドブックには書かれていたが,トゥクトゥクは別なんだろうか。

チェックイン手続きはしたが12:00まで部屋には入れないというので,ロビーでvaio-saを開き,メールを打ってから書類づくりをした。12:15頃,再びレセプションに行って鍵を受け取り,荷物を置いて昼食に出た。

Golden Gate Hotelの向かい側にある(旧館が向かい側にあるので,そちら泊まった場合は並びになる)インド料理屋で昼食。ガラガラだったが安くてボリュームがあって美味だった。手がべとべとになったが,最後には手洗い用のお湯が出てきた。

14:00から研究打ち合わせをして,16:20頃から近場を車で案内して貰った。17:00頃ホテルに戻り,19:20頃まで休んでから晩飯。軽く済ませようということになり,イタリア料理屋に入った。ポモドーロとライムジュースを頼んだが,どちらも上品で美味だった。これだと,道路事情と気温を除けば,三宮辺りにいるのと変わらない感じだ。
Pomodoro at an italian restaurant in Phnom Penh

ホテルに戻ったら疲れが出て,すぐに眠ってしまった。


【第3日目】 カンボジア二日目(2015年2月15日)

6:30起床。昨日の記録を打ってから,バイキング形式の朝食。なかなか美味だった。日本人の若者グループが泊まっていた。確かに,カンボジアは観光地には向いていると思う。来るのも簡単だし,物価は安いし,安全で清潔だ。交通状況だけは良くないが。このホテルも,部屋に電気ポットがなくてお湯が沸かせないという欠点はあるが,備え付けのテレビは19チャンネルでNHKの国際放送も映るし,大きな冷蔵庫はあるし,7:00-12:00の間にかごに入れて衣類を出しておけば無料で洗濯してくれて,料金が一泊朝食付きで約30ドルだから大変リーズナブルな宿だと思う。立地も便利だし。

8:00にソタさんが迎えに来てくれて,市内を一日案内していただいた。車の窓からパスツール研究所
パスツール研究所@プノンペン
やヘルスセンター
Teuk Thia ヘルスセンター@プノンペン
が見えた。午前中は王宮と博物館を見学した。どちらも,カンボジアの人と外国人では大きく入場料が違っていた。博物館ではガイドを頼んだ。日本語を喋れる人もいるとのことだったが,20分待ちだそうなので,英語ガイドにした。基本的に仏教遺物が展示されているのだが,古いものから順路を辿るに従って現代に向かうスタイルはわかりやすかった。ただし,13世紀の後はいきなり19世紀以降に飛んだが。残っているものも含めて,内戦で破壊されたものが多いのだと思われた。ほとんどの彫像は腕が無かったり頭が無かったり脚部に接着痕があったりした。出口のところでカンボジア料理の本を何冊か買った。

昼は中華料理をソタさんにご馳走していただいた。そこからRussian Marketと呼ばれる市場に連れて行って貰った。外国人観光客も多く,土産物もいろいろ売られていたが,青果や乾物,肉や魚に至るまで多種多様な生鮮食料品が売られていて,カンボジアの人たちも普通に買い物をしていた。途中,市場の外の露店のようなところで売られていたベタ甘のアイスコーヒーをいただいた。甘いが癒された。
ベタ甘のアイスコーヒー
そこから巨大ショッピングモールであるAEONに行ってみた。
プノンペンのイオンモール
値段は高いが品揃えは良かった。バレンタインデーの翌日なので売れ残り品のセールをしていたのと,中国の旧正月の3日前なのでそのセールもしていて,多くの客が来ていた。その後,カンボジア料理の店で晩飯にした。
カンボジア料理店にて。野菜と肉を一緒に辛いタレにつけて食べる
唐辛子を囓ってしまったときには口の中が火を噴きそうでどうしようかと思ったが,大変美味だった。

そんなわけで充実した一日であり,疲れ果てて就寝。


【第4日目】 カンボジア三日目(2015年2月16日)

6:30起床。メール送受信してから,今日もバイキング形式の朝食。昨日はチャーハンと野菜炒めが出たが,今日は代わりにビーフンとヨーグルトが供されていた。他は二日とも同じようなメニューだったけれども,そこそこ美味だった。

8:15頃にトゥクトゥクでセントラルマーケットに向かった。5分程度で着き,料金は3ドルだった。チップをいくら渡せばいいかわからなかったが,雰囲気で2000R渡したら,それで問題なかったようだ。最初,マーケットのどこに生鮮食料があるのかわからず,衣類や貴金属や宝石ばかり売られているなあと思っていたが,生鮮食料品と軽食店は一ヶ所に固まっていて,それが凄い規模だったので,見て回るだけでも大変だった。軽食店で食事をしている外国人観光客がたくさんいたのに驚いた。
The Central Market of Phnom Penh

そこから歩いてオルセー市場に向かった。着いてみると,こちらは外国人がほとんど見当たらず,3階までぎっしりと多種多様なものが売られていた。昔の秋葉原のような電子部品店が固まったところや,中国の市場のように生きている鳥が固まって売られているところ(その場で締めてもいる)もあったし,装飾品や青果類なども売られていた。豚の丸焼きを売る店が固まっているところもあった。
ブタの丸焼き売り場

その後はさらにオリンピック市場に向かった。こちらは市場の回りにちらほらとあるだけで,あまり生鮮食料が売られていなかった。その代わりに,衣類は膨大な量が売られていたし,2階に上がる階段にはエスカレータが併設されているなど,きれいな市場だった。

そこからマラリアセンターを目指して歩き,途中,Lucky Burgerという(中国系の? もっとも旧正月のために中国風の飾り付けをして中国風の音楽を流しているだけかもしれないが)ハンバーガーショップに入って昼食をとった。けれども,市場の中の店の方がずっと安くて,しかも美味しそうなので,プノンペンではこういうファストフードはまだまだポピュラーにはならないだろうと思われた。昼時だというのに空席が目立った。マーケットの露店では1ドルで美味しくて温かい食事ができるのに,ハンバーガーとポテトとコーラのセットで3ドル50セントでは魅力に乏しいのだと思う。

ハンバーガーショップを出てからマラリアセンターがあるはずの場所に向かったが,結局確認できなかった。新しい情報が載せられているのでwebサイトに載っている住所を信じていたのだが,どうやら移転したようだった。メールでも出しておけば良かった。ともあれ,ここでいったん宿に戻った。

暫く部屋で涼んでいたらソタさんと約束した15:00になったので,ロビーに出た。ロビーには2台のコンピュータとプリンタがあって,紙さえ持ってくればプリントも無料でできそうだった。このコンピュータでWHOのサイトにつないで,院生にSTEPsの結果について話していたら,交通渋滞のため少し遅れたと申し訳なさそうにソタさんがいらした。しかしこれくらいは遅れたうちに入らないと思う。カンボジアの勤務時間は7:00-11:00,3時間の昼休みを挟んで14:00-17:00とのことだったが,学生もきちんと7:00から授業を受けるらしい。ソロモン諸島では考えられない勤勉さだ。

ソタさんに保健省に連れて行っていただき(保健省のオフィスは,以前はぼくらが泊まっているホテルから歩いて行ける場所にあったそうだが,現在はかなり離れた場所にある),Department of International Cooperationの担当の方と名刺交換して少し話をすることができた。
カンボジア保健省,英語とフランス語とカンボジア語が併記されている
隣の建物に入っているNational Institute of Public Healthの副所長とも名刺交換して,肥満と健康に関する調査をすることについてディスカッションした。この研究所にはSchool of Public HealthとSchool of Nutritionがあって,それぞれの修士号を取れるそうだ。栄養学の修士課程には12人の学生がいるけれども,栄養学を専門にしている教授がまだいないので,インドネシアやイギリスの大学と提携して指導して貰っていて,今度初の修了生が出るとのこと。既に24時間思い出しや食事記録などで食事調査はしていて,何かソフトを使ってエネルギーや栄養素摂取量は計算しているという話をされたので,カンボジアの食品成分表があるのか尋ねてみたが,副所長はそこまでは知らないとのこと。調査をするには,カバーレターと申請書を提出し,2ヶ月ごとに開かれる倫理審査委員会で審査を通ったら保健省に調査許可を申請すると10日以内くらいに手続きが完了するそうだ。NIPHとMOUを結んで院生を長期滞在させて調査することもできるだろうという話も出たので,それも考えてみよう。

ホテルに戻ってから晩飯に出た。入り口の装飾が中華風なのが若干不安だったが,タコスの店に入ったら,内装はオシャレな感じで,何よりもチップスやタコスやスープが安くて美味かった。

帰り道,コンビニでお土産を買った。AEONで目を付けていた胡椒やヤシ砂糖が売られていて,おそらく半分くらいは観光客の需要も見込んだ品揃えをしているのだろうと思われた。このコンビニまで徒歩1分程度という立地から考えても,いいホテルだと思う。


【第5日目】 帰国(2015年2月17日)

昨夜はホテルに戻ってすぐに眠ってしまった。4:30頃起床して荷造りしたりメモ打ちしたりメール送受信したり。

6:30過ぎにチェックアウト。すぐにソタさんが迎えに来てくださった。通勤のついでというので,お言葉に甘えて空港まで送っていただくことにしたのだ。

朝早いせいか道が空いていて,約30分で到着。まだチェックインが始まっていなかった。サンドイッチとコーヒーを約5ドルで買って食べた後でチェックイン。荷物はKIXまでスルーにできた。

空港内の本屋でCDが3枚付いた初心者向けカンボジア語入門などを買って,ボーディング待ち中。

ほぼ定刻に離陸した。機内食はbeef and noodleかchicken with riceか選ぶように言われたので,chicken with riceを選んだ。この飛行機は,往路もそうだったが,シンガポール航空とSilk Airの共同運行で,実際にはSilk Airが飛ばしている。面白いことにWiFiで自分がもっているデバイスを使って映画や音楽を楽しめる設定になっている。試してみたら,メニューに出てくるメディアが全部使えるわけではないらしく,Jazzは曲目リストまで出てくるのだが実際には演奏されなかった。しかしMichael JacksonのThrillerは聴けた。映画やショートフィルムはどれも再生できなかった。音楽メニューを見ていたら,Chineseの中にOlivia OngのDeng Dengというアルバムがあったので,これを聴くことにした。しかしあと30分で着陸するので,最後までは聴けなそうだ。

シンガポールでは乗り継ぎ時間にあまり余裕はなく,予定通りに関空行きの飛行機に乗り込んだ。離陸後暫くしての飲み物の提供ではビターレモンを飲み,食事は和食を頼んだが,牛肉とダイコンの煮込みで,なかなか美味だった。その後,シンガポール航空のこの便には各座席にディスプレイが付いていて大量のメディアサービスがあったので,その中から2本ほど映画を見た。「トワイライトささらさや」は,ほのぼのとしたファンタジーで和んだ。

関空着はほぼ定刻だったが,入国審査が長蛇の列だったので手間取ったこともあり,バスに乗れたのが21:30を過ぎていた。三宮に着いたときには終バスは出た後だったので,地下鉄で妙法寺まで行って,タクシーで帰宅したのは23:30近かった。


Correspondence to: minato-nakazawa@umin.net.

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