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ということなのだ。さらに,ハマダラカの場合は群飛の時間帯もかなり厳密に決まっているので,γ線照射・室内飼育の蚊では,そういう行動への影響も懸念される。雄の蚊は吸血しないので,ヒトへの影響を考えなくてもいい点だけは救いだが,この方法でのマラリア対策を有効に機能させるのは,かなり難しいのではないか,というのが正直な感想だ。群飛場所の違いは生殖隔離の原因となる。Reisen et al. (1983)によれば室内飼育したCx. tarsalis雄を野外へ放飼すると,空間飛群(space swarming,層をなして広がる群飛)をつくり,頂上群飛(top swarming,木の頂などの高い群飛)する自然雄(中澤注:雌のtypo?)と決して混合し交尾しない。この選択交尾性は,わずか数世代の室内飼育で確立するので,不妊虫放飼法(ガンマ線照射で不妊化した雄を大量に放飼し,自然雌と交尾させ不妊卵を産ませ,駆除する方法)が適用できず,問題となっている(Reisen, 1985)。
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