先週末から今週頭にかけては,9月に札幌で開催予定の日本人類学会の要旨を作るので多忙をきわめた。参院選の投票率があがったのは喜ばしいことだが,それでもまだ60%に満たない。たしかテレビ朝日だったと思うが,開票速報で自民党幹部のコメントとして「投票率が高すぎる」と流れたのには,呆れるのを通り越して大笑いしてしまった。自民党大敗によって政局が変わるという見方をする人もいるようだが,当選者を見ると,公約や政策よりも雰囲気で投票している人がいかに多いかということがわかる結果であった。まだまだ言いたいことはあるのだが,この場は相応しくないので,「もっと公約や政策を見て投票しないと選挙の意味がなくなってしまう」と主張するにとどめておこう。今のままでは,外装を塗り替えただけ,という懸念を拭えない。
ところで最近,蒲原聖可さんの「肥満遺伝子」という本を読んでいるのだが,これはもうヤラレタという他は無くすばらしいレプチンの解説書である(ピマインディアンとニールの倹約遺伝子仮説についても若干触れられているが,この部分だけはぼくの記事の方が詳しい…って趣旨が違うので書いてないだけなのだろうが)。新しくて正確な知見であるばかりではなく,語り口もとっつきやすいと思う。最近のブルーバックスの中では,坪田一男さん(ドライアイの発見者)の「理系のための研究生活ガイド」,アリング&ネルソンの「バイオスフィア実験生活」と並んで(意味は違うが)白眉といえよう。裏の見返し(?)を見て驚いたことに,蒲原さんはぼくと同じ1964年生まれなのである。現在はFriedmanの研究室にいる。ちなみに,1964年は新幹線が開通して東京オリンピックがあってカラーテレビがめざましく普及した年である。高度経済成長とか所得倍増計画とか,後先を考えない日本経済のお祭りが始まった時期でもあった。実は最近,同年齢の活躍が目につき,頑張って欲しいと思うのと同時に,少々焦燥感を覚えているのだ(理由は後述)。
例えば,研究者関係では,環境ホルモンで一躍有名になった(船体塗料の有機スズとイボニシのインポセックス問題)国立環境研化学環境部門の堀口敏宏さんとか,イカ・タコ・マグマという関心のもち方が面白い清野聡子さんとか,Northwest Environment Watch所長のAlan Durningさん(ダイヤモンド社から出ている,「どれだけ消費すれば満足なのか」の著者)とか。建築・アート関係では森脇裕之さんとか西沢大良さんとか保健学科で同級生だった林玲子さんとか(2000年3月24日変更:彼女は1965だった。ごめん>林さん)。作家では「六番目の小夜子」が印象に強い恩田陸さんとか,宝島系での評論でよく目にする島村洋子さんとか,「おいしいコーヒーの入れ方」というのが気になる村山由佳さん(気になるだけで読んだこと無いんです,ごめんなさい)(2000年3月24日追記;その後「野生の風」と「キスまでの距離」を読んだ)とか,絵本作家さのてつじさんとか,たぶんSF作家なのだと思うけど結城恭介さんが1964年生まれである。「美琴姫様騒動始末」が出たときに,結城さんは天才だと確信した(マイクル・クライトンとかコリン・ウィルスンを彷彿とさせる)のだが,最近は「同級生」にはまりすぎなのか,はたまた才能がありすぎるのか,傑作が少ない(某大手出版社で編集者をしている高校時代の同級生が「ああ,彼,面白かったんだけど消えたねぇ」と言っていた……消えてはいないのだが,悲しいことに作品がほとんど書店におかれていないのは確かである)。オンラインで発表されている「C言語上の小説」とかアイディアも構成力も凄いのだけど。
友人では(以下は敬称略。ごめん>本人たち),日テレを退職してフリーのライターになった川端裕人(サントリーミステリー大賞の優秀作品賞を受賞した「夏のロケット」というのがもうじき出版されるらしい)は駒場の同級生で一年浪人したと言っていたから1964年生まれのはずだ。小倉の北九州大学で人類学(たぶん)をやっている竹川大介も1964年生まれと思う。主に生態人類学会でのつきあいだが,実に面白い男である(1998年11月20日リンク先変更;彼のWEBページは読み応えがある)。それから,法政大学で環境経済学の助教授をしている松波淳也(このページは参考まで;1998年8月14日追記:いつの間にか松波ゼミのページというのが立ち上がっていた。学生さんが作っているようだが)も中学・高校の同期生なので,1964年生まれである。みんな活躍してるなぁ。
初めは肥満遺伝子の話を書こうと思ったのだが,読み返してみたら1964年生まれリンク集になってしまった。大学などでの就職に際しては35歳を過ぎると講師や助教授としての採用機会が減るという現実があるので,助手の身分としては年齢が気になってくる今日この頃なのである(気がついてみればあと2年以内ではないか)。で,今日の表題は,この通り,「1964」と相成った。たまにはこういうこともあるよね!
いかん,子どもにぴこちゃん絵本を読んであげすぎたか。