枕草子 (My Favorite Things)
【第248回】 氷柱アタックなど(2000年2月21日)
- 土日は子どもと遊んで過ごした。寒いので,近所の公園で遊んだり,散歩をして大きな氷柱を探したり,といった程度だったが。子どもたちは氷柱が大好きで,とくに巨大なものを見つけると興奮状態に陥って大変である。東京にはあまり見かけないが,長野では屋根に積もった雪が解けてゆっくり滴り落ちるときに日陰にはいると気温が零下なのであろうか,数十センチメートル級がわりと簡単に見つかるのだ。この氷柱をどうするか,といえば,破邪の剣を気取って振り回したりもするのだが,飽きると食べてしまうのである。まあ,ゆっくりと固まった氷だから,それなりにうまいのかもしれない。いうなれば「氷柱アタック」(アタックについては(C)竹川大介)をしているわけである。アタッカーの習いとして場所を明かすわけにはいかないが,数十センチメートル級が育つには水滴がゆっくりと落ちることが必要で,スイートスポットをいくつか押さえてある。1メートル級も見つけたのだが,あそこはとれないよなあ,と子どもたちと慨嘆する毎日である。
- 最近左肩が凝り固まっているので,なるべく腕をほぐすような運動を心がけているのだが,なかなかほぐれない。何か良い方法はないものだろうか?
- 日曜日の夕方,近所(といっても徒歩20分)の量販店で,親子キャッチボールセットというのを購入。977円で大人用グローブ,子ども用グローブと軟球1つがセットになっているもので,なかなかしっかりした作りのグローブである。外野用の懐が深くて網が十字型のものを買おうと思って箱を開けてみたらボールが見あたらなかったので,そばを通りかかった店員さんに聞いてみた。別の箱からボールを移してくれるのだろうと思っていたのだが,しばらく倉庫で協議をしたあとで,「では軟球を別にお付けします」とのこと。セットものは崩すわけにはいかないらしい。ところが軟球は2個単位のパックしか店にはなかったので,結局2個のボールを貰ってしまい,1個のもうけ。なかなか気前の良い店だった。
- 昨夜22:00前に眠りについたためか,疲れも残らず5:45に目が覚めたので,6:43発のあさま502号に乗ることができた。ステンレスの水筒に紅茶をつめて車内で飲むわけだが,今朝は土曜日に自分で作ったカレーの残りを炊き立てのご飯にかけて食べてきたのがやや軽かったため,車内でもつまむものが欲しくなった。こういうときに重宝するのが,レーズンロール120円である。新幹線ホーム上の売店に売られているものだが,とくにカレーの後でもあり,甘くてとろけそうなのだ。
- 月曜日はいつも忙しい。ましてや,今日のように発表準備などしていると尚更である。実は寝坊したらパスポートを受け取っていこうかなどと思っていたのだが,ちゃんと起きられたことでもあり,明日の夜までの貴重な発表準備時間のことを考え,パスポートは木曜日に取りに行くことにして(木曜日は保育参観のためにセンター試験監督の代休をとっている),2番電車に乗っているのである。
アクセスログを見ると,Yahoo!掲示板>健康と医学>病気、療法と看護>歯とその治療のフッ素はいらない!大論争ページというところから,栄養学のページへのアクセスが激増していた。フッ素の必須性についての参照だったので,ここに不破敬一郎【編著】(1981)「生体と重金属」講談社から,3.5.11 フッ素を引用しておこう。
1930年代の後半にフッ素が虫歯の予防に効果があることが発見され,60年代になるとフッ素は成人の骨格を正常に保つために重要な役割を果たしていることが示された。
フッ素の摂取が有益と有害になるところの幅は極めて狭く,虫歯の予防のためにフッ素を水道水に添加すること(fluoridation)の是非が議論された。米国では住民投票の結果,fluoridationを行っている都市も多く,その濃度は地域によって若干の幅があるが約1 ppmである。飲料水中のフッ素濃度が2 ppmを超えると,多数の人に斑状歯が観察されるようになる。
1972年,Schwarzらはアイソレーター(中澤注:すべての部分がプラスティックでできた容器であり,2重のフィルターが外部からのゴミの侵入を防ぐようになっているシステム。通常の実験環境では精製飼料を与えても正常のままだった動物が,アイソレーター内では1〜3週間で欠乏症状を呈するようになったことで1970年代に必須性が確認された元素として,フッ素の他に,スズ,ヴァナジウム,ケイ素,ニッケル,砒素がある)の中で精製アミノ酸飼料を与えたラットに対して,フッ素が生育を促進し,最適濃度は2.5 ppmであることを示した。また,フッ素含量の低い飼料を与えたネズミでは,ヘマトクリット値が減少し,1代,2代目の雌から生まれる子どもの数が減少するが,これはフッ素の添加により防止される。
ちなみに,水質検査に引用した日本の水道水の水質基準では,フッ素濃度は0.8 mg/L(ほぼ0.8 ppmと同等)以下とされている。東京都水道局発行の水質年報平成9年度版によれば,原水のフッ素濃度は河川水で0.1〜0.3 mg/L,地下水(井戸水)で0.04未満〜0.2 mg/Lであり,浄水処理をしてもほとんど変わらないので,人為的に添加しない限り水質基準を上回ることはほとんど考えられない。ラットをアイソレーターで飼育して初めて欠乏症状が出たことから考えて,普通に食事をしていれば欠乏症状が出ることはないと判断できるので(中心静脈栄養のときなどは別だが),フッ素の必須性が問題になる場面はほとんどないだろう。なお,ほとんどフッ素添加されていない水道水を飲んでいるコナースヴィルの子どもと,虫歯予防に最適とされるレベルのフッ素を添加されている水道水を飲んでいるインディアナポリスの子どもで,陰膳方式できちんと食物摂取調査をした上で,練り歯磨きや水道水からのフッ素曝露量も調べて合計した結果,両者に差はなかったという報告もある。どちらも米国インディアナ州であるから食習慣などはそれほど差がないわけで,水道水の分のフッ素摂取に差がでるだろうと予想されたのだが,練り歯磨きからのフッ素曝露が大きく,水道水の影響などマスクされてしまったのである。ただし,練り歯磨きからの曝露レベルが高くなりすぎて,安全レベル(班状歯にならない)を超えていた子どももいたので,添加には注意が必要ということだ(出典:Rojas-Sanchez, F. et al. (1999) Fluoride intake from foods, beverages and dentifrice by young children in communities with negligibly and optimally fluoridated water: a pilot study. Community Dent. Oral Epidemiol., 27: 288-297.)。なるほど,フッ素添加の是非について論争が起こるのももっともだ。
- 東京都環境保全局のディーゼル車規制の検討案についてだが,廃車にした場合のディーゼル車の行く末についての考慮が示されていない点は,以前懸念した時から進歩がない。今回はメール送付先があるので指摘してみた。さて,返事はくるだろうか?
- 「肥満遺伝子」,「肥満とダイエットの遺伝学」,「ヒトはなぜ肥満になるのか」などの著書からわかるように,現在の日本を代表する肥満の専門家である蒲原聖可さんからメールが来た。明日22日の夜22:00から90分間,テレビ東京系列で,順天堂大学企画・監修の「肥満」についてのテレビ番組が放映されるとのこと。録画するか,泊まって見るか,どちらかだな。27日から日経朝刊に連載される「肥満のなぞ」は,現在日経をとっていないのと,出張の嵐なので,いずれ本になって出版されたら見ることにしよう。肥満に関心がある方は必見&必読と思う。
- ミーティングは,ロシアの歴史人口学と中央アジアの人類生物学総合研究プロジェクトの力の入った紹介。しかし,教授,助教授をはじめとして大勢の人がバングラデシュ出張中のため,人数が少なくてディスカッションがやや寂しかった。
- 帰りはおそらく終電だな。
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