枕草子 (My Favorite Things)
【第451回】 前途多難な予感(2000年12月18日)
- 土曜の午前中は論文を書いていたが,昼過ぎに娘を保育園に迎えに行ってからは某所でコンピュータの設定。旧マシンから富士通パーソナルズ扱いのRT-6710SというSCSIカードを移設したのだが,新マシンのOSがWindows Meだったためか,Windows 95用のドライバでも,WEBサイトからダウンロードしたWindows 2000用のドライバでも,ともかくSCSIカードをアクティブにするだけでハングアップしてしまう泥沼から,結局抜け出せなかった(WEBサイトにはMe対応となっているのだが)。海外メーカのOEMらしかったので,メーカサイトで探してみるという手は残されているが,素直にMe対応のUSB-SCSIケーブルか何か買った方が得策かもしれない。
- 日曜は子どもたちとグレムリンのDVDを見て,ラーメンライスを作って昼食にして,後は何をするということもなく子どもの相手をして過ごした。体力を使い果たして22:00頃眠りについたが,鼻が詰まって痰がからんで喉が痛くて咳が出るので,何度もうがいをしに起きたために安眠できず。まだ風邪の後遺症が残っているらしい。
- 月曜の往路は,あさま504号。高崎辺りでは窓から差し込む日射しが痛いほどでブラインドを下ろしていたのだが,大宮で外を見たら灰色の雲が空一面を覆っていて雨さえ降りそうな雰囲気だった。行く手に立ちこめる暗雲とかいうと,前途多難を意味するから,何か嫌な感じである。
- 研究室に着いてメールをみたら,嫌な予感は的中した。「医療とは何か」について,まったくぼくの文章の主旨を読み違えていて,しかも杉野さんの本すら読まずに独善的な決め付けに基づいて批判を展開しているメールが医師と名乗る方から届いていた。しかも同じ意見を杉野さんに送ったというから勘違いも甚だしい。杉野さんの本を読んだら,この方は自分の曲解が恥ずかしくなって赤面するに違いないと思うので,お名前を挙げるのは控えておくが,是非読んでからものを言って欲しい。
- 昼を食べながらRT-6710SのOEM供給元であるAcardのサイトを見たら,AEC6710S用のWindowsMeドライバは存在していた。バージョン番号がRT-6710Sのより小さいので騙されるところだったが,こちらの方が新しいようだ。これで土曜日の問題は解決するかもしれない。
- ミーティング1番目の話題は,バングラデシュで社会経済状況が同じような2つの地域で,5歳未満の子どもが下痢をしたときにORS(経口水分補給溶液とでも訳すのか?)を与えるというプログラムで,一方には米粉とミネラルからなるRice-ORSを,もう一方の地域には通常のグルコースとミネラルからなるG-ORSを割りあて,それぞれ母親に調製法をトレーニングした上で,実際に下痢を起こしたあと7日間フォローして正しく調製されているかどうか測定したところ,Rice-ORSの方が塩分過剰になる可能性が低く,しかもエネルギーは十分に与えられたというだけの論文。もっと綿密なトレーニングをすれば調製ミスは減るだろうなんて論じられても,ちょっと手前味噌っぽいが,Rice-ORSの方が調製ミスがでにくいということは確かにいえているようだ。もっとも,これだけ大規模な調査をして,それしか言わないのではもったいないと思う。実際に与えたときに下痢がどうなったかという,もっとも大事な点が触れられていない論文では,ちょっと歯痒かった。2番目の話題は,先々週と同じアラバマ大学グループの研究で,ランダムサンプルされた対象者の社会経済因子をクラスタ分析して得られた,クラスタ重心に近い人々をキーインフォーマントとして文化的規範(というか物質的理想像?)を尋ね,対象者全体においてそれがどれくらい実現されているかということと血圧の関係を調べた上で,ソーシャルサポート状況の効果を見たらソーシャルサポートが低いと物質的に満たされていても血圧は低いというデータを出してきているもの。指標の算出が相当に面倒なので,どこまで妥当かはよくわからないが,着想は面白い。3番目は卒論生の中間発表その2(インフルエンザウイルスの感染モデル)。最大の難関はvalidationだが,そこさえクリアすれば投稿できる新しさはあると思う。
- 帰りは終電だろうと思われる。
- やはり終電となったが,運良く4号車で上野から座れた。池内了「私のエネルギー論」を読み進めたが,高崎過ぎで空いたのでvaioを広げる気になり,オセアニア学会の仕事をやろうと思っているところである。
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