枕草子 (My Favorite Things)
【第471回】 「洞窟の骨」(2001年1月19日)
- 朝になってみるとほとんど雪は止んでいたが,積もった雪が凍って恐ろしい状態になっていた。ちょっとだけ雪かきをしたが,何層もの氷になった雪は,そう簡単にはかけないのだった。5分くらい表層の雪だけ(しかも既に他の家の人がやってくれていて,あまり残っていなかったが)だけ取り去る作業をした。
- 自転車で長野駅に向かう途中,柳町交差点の路上にきわめて滑りやすい氷状の場所があって,あやうくこけそうになったが,何とか足をついて踏ん張り,こけずに駅まで辿り着いた。8:05発あさま504号に乗り,昨夜から読みかけのエルキンズ「洞窟の骨」を読了した。ぼくは「曾て読んだ本について」に書いた通り,この形質人類学者探偵ギデオン・オリヴァーのシリーズを愛読しているのだが,「古い骨」「暗い森」には及ばないものの,いつも水準はクリアしてくるのがさすがだ。本書「洞窟の骨」の裏テーマは人類学者が陥りやすい罠という点にあり,昨年暮れに日本でも発覚した考古学における捏造という問題に切り込んでいるのに,なぜ罠に陥りやすいのかという点については,ギデオンの発言から仄めかされる程度で明確な解答が与えられない点にやや不満が残る。あるいは,ギデオン・オリヴァー名義で「骨に物申す--人類の研究にありがちな方向転換ミス,袋小路,勘違い」という本が本当に出版されるのかもしれないが,もしそうなら読んでみたいと思った。
- 今日は,調査本隊が出発する日である。ぼくは1人だけ1ヶ月遅れで行くのだが,それまでに大学院生諸氏がうまく村に定着していてくれるといいなあと思っている。
- 今日は,ふと思いついて大江戸線を使ってみた。上野から上野御徒町まで歩き,上野御徒町から本郷三丁目まで乗ってみたのだ。乗り換えはわりと短かったので,これは帰りに急ぐときに使えそうだとわかった。昼間は兼業許可申請書類書きとゴミ捨てと電力調査をしたのを除けば,ずっと講義準備をしていた。人口学研究が届いたので,まず自分の論文をチェックしてから,新刊短評に目を通した。「ウェルカム・人口減少社会」への大友先生の評価が,ほとんどぼくと同じだったのでほっとした。長野は雪は止んでいるという情報を得たので,21:10に研究室を出たときは,急がないと終電1本前の563号に間に合わないなと思って本郷三丁目駅まで走り,21:14発の両国方面行きの最後尾に乗って上野御徒町ですぐに降り,階段を実は歩いても十分間に合ったが駆け上がって,21:20にやってきた銀座線浅草行きの最前部に乗り,上野で降りてJR方面へ階段を駆け上がれば,そこはJR中央改札口で,21:24には地下4階の新幹線ホームに着いていた。
- ところが,である。電光掲示板を見ると,あさま563号の前に21:10とか21:18に出発している筈の上越新幹線あさひ号が,まだ掲示されているままなのだ。上越新幹線の事故で遅れているというアナウンスが流れてきた。地下鉄2駅分の運賃を損したという気もしないではないが,楽な通勤経路が確認できたという意味ではまったくの無駄ではないから,いいことにしよう。
- それから30分近く待って,21:50頃,やっと来た563号に乗ったら,満席だったのはともかく,なかなか発車しないのだ。今流れた車内アナウンスによると,誰かのいたずらで非常用停止信号が押されたという話だ。誰だよ。タダでさえ遅れているというのに,なんとも迷惑な話ではないか。長野の到着予定時刻23:40というアナウンスが流れているのにはげんなりした。
- 大宮でも座れず,車内は混む一方だったが,さすがに熊谷では座れた。この電車は,熊谷に停まる最後の新幹線なので,熊谷で降りる人が大勢いるのだ。NREの車内販売も熊谷から巡回を始めたようだ。疲れたので眠ることにしよう。
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