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個別メモ
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【第382回】 後悔からの復活(2005年9月29日)
- 6:00起床。昨夜は結局,プレゼン用のファイルが完成しないまま眠ってしまった。朝食をとり,自転車で出発して,往路あさま504号。
- 新幹線の中でもやっていたけれども,午前中はプレゼン完成のために使おうと思っていたのが,呼ばれて学務課へ。昼までかかった。教室ミーティングが終わってからプレゼンを一応完成させ,昼飯を食べる暇もなく全学教職員対抗ソフトボール大会2回戦に向かった。荒牧は遠くて,13:00をちょっと過ぎてしまったが,何とか試合開始には間に合った。しかし人手が足りないとは聞いていたけれども,本当に足りなかった。スローピッチだから10人制なのだけれども,9人しかいなくて,そのうち4人は女性だった。普通,スローピッチだったら女性の場合は一塁までの距離を半分にするものだが,そういう優遇措置はなかったので,どうしても打力的にこちらが不利だった。というか,それでもぼくが打てればたぶん勝てたんだけれども,3打席ともショートゴロだったし,守ってもフィルダースチョイス1つとファーストへの悪送球を1つ(どちらも微妙ではあったが)やってしまったので(いや,もちろん捕殺や刺殺もいくつもしたけれど),敗因は自分に他ならない。事務の皆さんに謝って研究室に帰ってきたけれども,いろいろ後悔するばかりである。こんな下手な奴が監督だから少年野球チームも勝てないんだろうなあ……。
- 負けたおかげで14:30に研究室に戻れたので(途中,松屋で豚丼を食べた),それから夕方までプレゼンのbrush upをすることができた。17:30-18:45まで(うち,ぼくがやったのは後半40分ほど)英語で教室セミナーをしたけれども,ちょっとやっぱり,Mathematical models of human mortalityなんていうネタはマニアックすぎて難しかったかもしれない。インドネシアから来ている学生さんたちは医師の卵なので,もう少し臨床の人にもわかりやすいネタにすれば良かった(マラリア絡みとか肥満絡みとか)。後悔先に立たず。久々に英語を長く喋ったので少々疲れた。やはり日常的に全然使わないと錆びるなあ。ぼくの前に発表した5年生のY君の英語は凄く抑揚があってNativeに近い感じなのに対して,自分の英語の発音の悪さが自覚されてちょっと恥ずかしかった(文法的にも怪しいところがたくさんあったし)。まあ,通じれば用は足りるのだが。
- あと3つほど仕事をしてから帰途に着く予定。川端裕人君から新作『みんな一緒にバギーに乗って』光文社,ISBN 4-334-92469-7(Amazon | bk1)をご恵贈いただいたので(まだ店頭にはないらしい。いつもありがとう),新幹線の中で読んで帰ろうと思う。復路あさま563号。
- 読了。傑作。男性保育士を主人公にした連作短編と思ったが,もう少し広くて,保育園の“いま”を語る作品だった。民営化とかハチオオカミとか,すべてがとてもリアルだ。けれども,どこにもないだろう。竜太が主人公というよりも,元気先生も,秋月も,ルミも,大沢先生も,みんなが主人公の群像劇といえる。もちろん,保護者も,子供たちも。で,川端作品はだいたいにおいて情景描写が細やかなんだけれども,この作品も凄く細やかだ。久保先生や元気先生が場の空気を変えてしまう描写は絶品。出産後の久保先生が赤ちゃんを連れて園に現れて帰っていった後の描写で,「クラス中が,ミルクの色と匂いに満ちて,切なさを覚えるくらいだった」というのは,もうそれしかないというくらい,ストンと来たし,元気先生が子供たちと外遊びをしたときにできた「渦」の描写もその様子が目に見えるようだった。保育園を舞台にした作品といえば,灰谷健次郎「天の瞳」の最初のやつ(幼年編I)がそうだったけれども,灰谷が描きたかったのが,たぶん小瀬倫太郎に象徴される「子供」と,灰谷が考える保育園の理想像だったのに対して,この作品からはもっと広がりを感じた。重なりもあるんだけれども,灰谷が倫太郎の成長とそれにかかわる大人たちという筋でグイグイ押してくるのに比べると,主に描かれる子供たちが1,2歳児ということもあるけれども,保育そのものを,ある種の理想像と,それから乖離する現実も織り交ぜながら,ふんわりと描いている感じがした。そのことを最もよく表していると思うのが,元気先生がいう,「自分が今あるのは子供たちのおかげだし,世界が明日も続いていくのも子供たちのおかげだ」という言葉ではなかろうか。ある意味,元気先生は,「今ここにいるぼくらは」の最後で逮捕されてしまった彼と同じく,トリックスター的な位置にいるんだけれども,心が壊れてではなく,身体を壊して去ってしまうところが悲しくて泣きそうになった。
- 帰ってから子供たちの寝顔を見たら,なんだか元気が出てきた。これは『みんな一緒にバギーに乗って』のおかげかもしれない。ありがとう。
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