2002年7月のメモ

最終更新： 2002年 8月 18日 (日曜日) 13時58分
火曜日は国際共同研究の会議とかアンチウイルスソフトのインストールとか。個人管理のマシンへのインストールがやっと完了した。
人口学会から原稿提出依頼の確認メール（ああ，そういえば次号に書くって言っちゃったんだっけ）。前後して死亡の雪崩モデルを考案したDr. Leonid A. Gavrilovご本人からメールが届いた。彼のサイトをリンクしませんか？　という提案メールなのだが，もちろん喜んでさせていただくことにした（どこから？　と考えると，やはり東大サイトだけではなく，こちらでも人口学のページは作っておくべきだと反省したが）。ともかく凄い情報量である。しかし，学生控え室のコンピュータにアンチウイルスソフトをインストールするのに時間がかかり，今日は学問的な仕事は進まなかった。1台，CD-ROMの読み込みさえまともにできないマシンがあるのが困りものだ。ネットワークインストールするか？　それにしても忙しい。
統計学講義の最終回が終わった。Rを使った統計学の解説資料としてかなり充実してきたと思う。もうちょっと加筆して整理してブルーバックスから出版したいなあ。最近出た新村秀一さんの「３日でわかる・使える統計学」にだって，実用性では負けてないと思うのだが。なお，来週の試験問題をまだ作っていないのだが，試験が終わったらできるだけ早く，問題も解答例もwebで公開してしまうつもりで，そうしたら一応統計学の講義資料として企画している文書は揃うことになる。講談社の方，もしここをご覧になっていて，ご関心があれば是非ご連絡を頂きたい（っていうか，こっちから連絡するのが筋だろうなあ）。
People and Culture in Oceaniaから英文校閲済み原稿が届いた。やはりプロの指摘には頷かされる点が多い。急いで直して送らねば。この分だと初校が出るのは８月末頃だろうか？
統計学講義準備をしている過程で，RについてのTipsにかなり追加した。人口ピラミッド作りでどうしても余計な線が出てしまう問題は，Rのソースを見て自力で解決できるといいのだが，なかなかそこまでは，時間も馬力もない。
土曜日も日曜日も研究室に来て情報ネットワーク関連の仕事と講義準備。共分散分析や主成分分析を説明するのに適当なデータを探し，山勘でワールド・イミダスに載っていたデータを入力してみたら，ちょうどこれらのどちらの説明にも向くデータになっていてラッキーだった。日曜の昼はバッティングセンターに連れて行って貰って，久々に汗をかいた。心地よい疲労感。
金曜日。研究日だが，来週月曜の講義の準備を進める予定。
深夜，唐突に質問メールが来た。「突然すみません。」というSubjectで，「初めまして。中澤さんに質問があります。　光合成と食物連鎖て何ですか?　教えて下さい。お願いします。」というだけの本文なのだが，以下の返事を書いて返信しようとしたところ，メールアドレスが間違っているらしくて届かないのである。仕方がないのでここに載せておく。
中澤です。質問される際は，できればどういう方なのかを明らかにしてください。そうでないと，どういう水準でお答えすればいいか判断しにくいので。
生物学の教科書を読めば出ていると思いますが。
岩波生物学辞典第４版によれば，光合成は，「植物が光のエネルギーを利用して二酸化炭素と水から有機物を合成する過程で，より一般的には，植物によって光のエネルギーが生物学的に利用できる自由エネルギーへ変換される過程。（後略）」
食物連鎖は，「生態系において，生産者である植物が生産する有機物をもとに群集内で構成される，互いに被食者－捕食者関係によるつながり。（後略）」です。去年高崎経済大学でやった講義の資料ですが，
http://sv2.humeco.m.u-tokyo.ac.jp/‾minato/ptlecture/ecology_p19.htmlが参考になるかもしれません。
ご参考まで。
学長企画室のリーダー会議に代理出席。疲れた。結局，アンチウイルスソフトのインストールはできなかった。ウェブページ運用ガイドライン案はずいぶんできてきたが。
25日も朝食は卵かけご飯。アンチウイルスソフトのインストールが１件終わった。他の方は不在だったので，午後再訪予定。なかなか進まない。
情報ネットワーク管理委員会の議論は，効率は良かった。けれど，２時間かかった。大学のホームページ運用ガイドラインの改定案を作ることになった。その後のバーベキューはおいしかった。
24日。昨夜マリンで美味そうな卵を買ったので，朝食は久々に卵かけご飯と味噌汁。Internet Watchを見たら，RealNetworksのオープンソース戦略と米企業がJPEGの特許ライセンスを主張が目に付いた。前者はライセンスに関して，LGPLとかではなく，RPSL，RCSLという独自のものを提唱してきている。肝心のraとかramのエンコード，デコードがオープンソースじゃない点で，このプロジェクトはセンスが良くないと思う。後者はひどい話で，これがもし広く認められてしまったら，gifの時に輪をかけた混乱が起こるのではないかと思われる。やはり画像ファイルはpngに統一しておくべきか？　しかし，よくわからないのは，Forgent社が主張しているのはランレングス圧縮に関するアルゴリズムの特許らしいのだが，ランレングス圧縮なんてJPEGだけじゃなく，もっと多くの圧縮の場面で使われているはずなのに，なぜJPEGだけを取り上げたのかという点だ。UNISYSがLZW圧縮アルゴリズムの特許を主張したのもgifに対してだけだったと思うので（TIFFでもLZW圧縮は使われているにも関わらず），基本特許のライセンス料を支払う体力のある応用物から毟り取ろうという意図なのだろうか？
セキュリティホールmemoから。住基ネット仮運用初日の様子について，毎日新聞と読売新聞の報道の食い違い。比べると，読売新聞が取材せずに総務省発表を垂れ流していることが明白。長野関係の報道では必ずしも事実に基づかない主観を署名もせずに書きまくっていたし，読売はメディアとして本質的にダメなのではないかと思う。
先週末に気になったニュースへのコメント。個人輸入した未承認医薬品の服用後に発生した健康被害事例について。そもそもの原因は，体型を気にする点にある。本当に大事なのは体型でなくて体調なのに，自分の身体と対話ができない人が増えているということだろう。その原因の一つには健康教育の一部として大々的に行われてきたアンチ肥満キャンペーンがある可能性は否めない。健康日本21でも，目標値の先頭に適正体重の維持という項目が謳われていて，これは歴史的には仕方がない面もあったのだけれど，いきすぎている現状は有害だと思う。公衆衛生政策としては安直に過ぎたのではないか？　少なくとも教条的な思い込みを広めるのではダメだ（8月1日追記：もちろん，信仰を広めたのは政策というよりも，それを枕詞に使ってhealth faddismを垂れ流したマスメディアの責任の方が大きいとは思うけれど）。Common Diseaseを生活習慣病と呼んだ厚生行政の狙いを視野に入れて考えると（それが健康増進法案へとつながっているのだが），身体の固有性を無視した，人間不在の施策だったところが最大の問題だったのだと思う。その意味では，痩せたいと思い込んでしまった人たちは厚生行政（とそれを利用したマスメディア）の犠牲者なのかもしれない。
住基ネットは，本当にサーバもWindowsなんだろうかと思って検索したが，公的な発表は一つも見つからない。「住民基本台帳ネットワークシステム」の統一文字フォントを強力にサポートするソフトウェア!!などを見ると，フォントはWindowsっぽいのだが。セキュリティ上秘密にしているのかと思うが（総務省が市町村にメールでOSバージョンを連絡して文句をつけられたりしているから……ってのはslashdot.jpの情報），かかわる人がそれなりにいるわけだから，秘密にするのは却って良くないと思う。住基ネット全国センターホームページというのが財団法人地方自治情報センターの中にあって，ここが住基ネットのシステムを担っているらしいのだが，このサイトは情報開示という意味ではダメダメである。pdf文書しかなくて，しかも見栄えに気を使っているのはわかるが，ファイルサイズの大きさの割に情報量が少なすぎる。専用線といいながら，なぜあれだけファイアウォールを置くのかが不思議だ。まさか市町村が他の市町村のマシンをクラックするとでも思っているのか？
夜，近所のポプラというコンビニに弁当を買いに出たら，カブトムシが地面をのそのそ這っていた。キャンパス内にノウサギやリスが闊歩していたPenn Stateほどではないが，山口県立大学の自然度はかなりのものだと思う。
土曜日曜は家事に明け暮れ，結局今週も山口駅に着くまで講義準備をした。資料を印刷に行こうとしたところでコロンビア大学の院生からアンケート依頼の電話がかかってきて，延々としゃべられて閉口した。どうせメールアドレスを聞いてくるなら，説明はメールに書いてくれれば充分なのだが。電話が切れてから慌てて資料の印刷に行き，間髪をいれず講義。何とか間に合った。講義終了後に１時間ほど質疑応答。来週はもっと多いか？
金曜。自転車で長野駅へ。6:43発あさま502号で上野へ。東京大学人類生態学教室の集会室で10:00から19:00まで未来開拓研究ソロモン班の会議。シミュレーションモデル作成がなかなか進まないことを苦しく説明したところ，場合によってはプログラム開発を外注するか，プログラマを雇ってもいいことになった。そういうわけで，C++で，大雑把なフローチャートと文章で書かれた仕様を元にしてプログラムを書ける人を，期間限定のアルバイトとして募集したいのだが，どうやって，どういうところに募集を出せばいいのかがわからないので困っている。もし心当たりがある方は，minato@ypu.jp宛てにご連絡いただきたい。山口近辺で見つかると理想的なのだが。
木曜。休暇を取って5:50山口駅発の電車に乗った。昼過ぎに長野に到着。統計学の講義準備を暫くしてから保育園へ。娘を連れ帰ってカレーを作った。なかなか美味。
正式にOpenOffice.orgの1.0.1の公開アナウンス（release note）がannounce@openoffice.orgに流れた。pdf形式のインストールガイドが含まれているとか，フォントを扱うコードが何ヶ所かバグフィックスされたとか，可搬性が向上したとか，ロケールの扱いが改善されたとか，他にもたくさんの小さなバグフィックスがされているそうだ。ringにミラーされてからダウンロードしようと思う。
水曜日。昨夜の続きかと思われる雷と風雨。冷凍庫に入れておいた鶏挽肉を炒め，キャベツとナスをザクザク切って同じ鍋に入れ，コチュジャンを足しながら炒めて朝食のおかずにした。美味。残りは昼に研究室でラーメンを作るときに具にすることにして，タッパウェアに入れて持っていった。上下のレインウェアを着て完全防備で出たのだが，昼には晴れた。変な天気だ。15:00から教授会なので，その前にできるだけ仕事を進めよう。
23:30を過ぎて，物凄い雷と風と雨。帰れんな。地下のメディアコンバータとかスイッチが先週末みたいな動作不良を起こさないことを祈る。結局何事も起こらず，3:00過ぎに帰るときは雨も止んでいた。
火曜日。午前中は「学部便り」編集作業。昼過ぎから何台かのコンピュータにアンチウイルスソフトをインストール。ちょっと疲れた。
「田中康夫”不信任”は，なぜ不当なのか」は重要な指摘だと思うのでリンクしておく。そう，どう考えても，この国の多くのマスメディアの報道は責任を果たしていない。（7月18日追記：ただ，残念なことに，この指摘にも問題点はある。検討委員会は，前知事がつくったのではなくて，議員発案の条例で決まったことだ。もっとも，その点を訂正してもまったく論旨に矛盾は生じないどころか，むしろ強化されるのに，「つくった」という表現だけに拘って批判するのもどうかと思うが）
書き忘れていたが，マニラの大洪水は心配だ。ちょうどマニラにいるかもしれない竹内君は大丈夫だろうか？　人類生態から連絡がないということは，まあ大丈夫なのだろうけれど。無事を祈る。
迷惑な話である。いや，Frethem（対策情報サイト）という新種のウイルスのことだ。Re: Your Password!というSubjectが警戒心をゆるめてしまうのか，感染した人が多いらしくて，やたらに増殖しているようだ。メーリングリストでもbiomathとかevolveとかecotopicsには流れてしまっている。上記対策情報サイトには簡単な感染確認方法と手動除去の方法が載っているので重宝する。WindowsディレクトリにTaskbar.exeというファイルができていたら，それがウイルス（ワーム）本体だそうである。レジストリの登録を削除して（再起動もして？）から，そのファイルを消せば（他のファイルに感染する前なら），除去できるのであろう（追記：Symantecの情報によると，感染後時間が経つと，スタートアップにSetup.exeという名前で自身のコピーを登録するので，それも削除しなくてはならないらしい）。
月曜日，事態が把握できた。金曜日に落雷があって，瞬停があったのだそうだ。サーバは何事もなく動いていて，研究室からkan1サーバにはIPを直接打てば接続できた。外からはL3スイッチは見えるので，おかしいのはその間であろうと思われた。学部地下室にギガビットの光ケーブルを1000BaseTXに変換するメディアコンバータと，それを100BaseTXに変換するL3スイッチと，それを10Base5に変換するスイッチがあるのだが，そういうわけで最後のやつを疑って電源の抜き差しをした。が，ダメだったので，諦めて統計学の講義をした。講義が終わってみるとわざわざ本部からA先生がみえて，一緒に地下室の機器を１つずつチェックした。結局，メディアコンバータの電源を抜き差ししたところでアクセス状況表示のLEDが激しく瞬きだし，接続が復活した。メディアコンバータとはノーマークだった。こんなとき，L3スイッチにRS232Cでシリアル接続すれば問題の切り分けができると思われるので，やはりモバギ用のRS232C接続は使えるようにしておくべきなのだろう。いずれにせよ外部からではどうしようもない不具合だが。
土曜日午後から雷と雨がひどくなったので，日曜に予定していた子どもとの釣りは中止にした。その分講義準備ができたかといえばそうでもないのだが。日曜夜，いつもの急行ちくまに乗って，これから山口に向かうところである。
金曜日に，家から学部紀要のページをアップロードした。その後統計学の講義準備を進めた。土曜日午前中も統計学の講義準備を進めたが，やはり終わらなかった。途中段階でアップロードしようとして，つながらないことに気づいた。本部の方のサーバは動いているし，看護学部のゲートウェイも動いているが，学部内のサーバにつながらないということは，ハブの故障か，停電でもあったかのどちらかであろう。停電があるときは前もって予告されないと困るのだが，今回は何も予告がなかった。これでサーバのハードディスクが壊れていたら嫌だなあ。
学部紀要のページを作るのに，Wordのドキュメントをpdfやhtmlに変換する効率の良い方法を探してみる。Wordでweb形式で保存をやると，嵐のような変なタグがつくので煩わしい。OpenOffice.org Writerで同じことをやると，UTF形式で保存されるが，それをMozillaのComposerで読み込んでiso-2022-jp形式で保存すれば，Wordよりずっとマシなマークアップがされている。いずれにせよ，まだ手作業が必要だ。pdf995というpdfが作成できるフリーのドライバとか，MaJiX（公開元のTETRA SIX，IBMのサイトに載っているSoon Hin氏による紹介）を試してみることにする。問題は日本語が通るかどうかだ……と思ったが，MaJiXを使ってrtfをxmlに変換するにはWordのコンポーネントが必要なのだそうで，そこまでして使う気もしないので使用を断念した。pdf995はインストール時にシステムドライブがC:に決め打ちなのか，H:がシステムになっているぼくのデスクトップマシンにはインストールできなかった。しかしX22にはインストールできたので，PDF995デバイスに印刷してみたら，日本語も問題なく通った。ビットマップ展開されるらしくて，ややファイルサイズが大きくなるのと，スポンサーのサイトが常に表示されるのはちょっと煩わしい気もするが，無料なのだからそれくらいは仕方あるまい。あまり使う機会もないし。
木曜日も，メールや昨日の会議でやっておくことになったグラフ作りなど。昼，卒論用ノートパソコンを借りたいという学生が来たので対応。これで４人目。
会議はいろいろと思うところがあった。一つだけ書いておくと，生きている講義をしようと思ったら，シラバスには「事情が変われば講義内容は変わる」と明記しておかねばならないということらしい。厳しい世の中になってきたものだ。
今日のノートパソコン貸し出し時間には，誰も来なかった。午後は会議尽くしなので，たぶん夜まで何もできないだろうと思われる。
水曜日。バングラデシュの人口学研究者から，博士号をとるための研究をスーパーバイズして欲しい，留学したい，という相談のメールが届いたのだが，残念ながらぼくは大学院担当でないのと（それが決定的だが），まだ大学院レベルの留学生を受け入れる環境がここには整っていないので，お断り申し上げた。残念だが仕方あるまい。
今日の卒論用ノートパソコン貸し出し時間に研究室にやってきた学生は，昼は０人，夕方１人であった。今更TP365XDを借りても実用性が低いからなあ。
ちょっと調べた結果を，以下，書いておく。参議院の７月２日に行われた厚生労働委員会の議事録がすでに文書として公開されている。が，医療費と健保の話が主体で，健康増進法の話がなかなか見つからない。やっと出てきたかと思えば，分煙のための財源は考えてあるのか，なんて末節の話である。もうちょっと先をみると，公明党の沢たまき委員が，健康といっても心の健康も大事だということをどう考えるのかと質問して，厚生労働省の下田健康局長が，健康日本21もあるが研究の蓄積がないので厚生労働科学研究費を使って研究を進めていきたい，と返答しているところがある。そんな段階で義務化，ってのは，やはりピントがずれているんじゃないだろうか？　レセプト開示だとか電子カルテだとか，看護健康情報学担当という立場からは見逃せない発言が多々あることがわかって，これも読まねばならんのだが，健康増進についての討論はやはりなかなか見つからないので，衆議院の方の厚生労働委員会議事録を探してみた。すると，第20号における民主党の金田（誠）委員の「あってもなくてもいいような法案」という指摘や，栄養改善法の引き写しで，生活習慣病が中心となっている現代においては時代おくれだという指摘が見つかった。もし本気で健康増進というものを考えた上で作るなら，健康自体の定義も含まれていない，あんな単純な法案がパッとできるわけがないし，坂口大臣の答弁は，そのことを認めてしまっている。同じ日の共産党の小沢（和）委員による，生活習慣病という呼び方がそもそも世論誘導だったという指摘や，長野の「ぴんぴんころり」に学べという主張も尤もである（実はこれから，ぼくがそういう研究もやろうとしている）。保健師の数を増やして地域一体となって公衆衛生活動を進めていくべきなのに保健所の統廃合を進めるのはおかしいんじゃないかという指摘ももっともである。たぶん，日本栄養士会に比べて公衆衛生協会のロビー活動が弱かったか，この法案を向いていなかったという，ただそれだけのことではないか（邪推だったら申し訳ないが）。そういう意味では，この国の保健政策は行き当たりばったりであり，その元で提案されたのが「健康増進法」という大層な名前の法律なのだということが露呈している。粥川さんの懸念と通底するであろう，健診結果の目的外使用を禁ずる条文が含まれていないことへ問題提起も，同じ日に社民党・市民連合の中川（智）委員から出ている。なのに，何で訂正されずに通るのかが，大きな謎だ。やはり２年前に書いたようにこれまでの議会のあり方がまっとうでないのだと思う。
余談だが，参議院の方の委員会の７月２日の質疑で，民主党の山本孝史委員が，国民負担増がいくらになるか，具体的にかつ首相自身が答えるように迫り，小泉首相が，具体的に答えろというなら他の人が適当と思うが，と前置きして，具体金額でなく高齢化の進行下における医療制度改革の意義と国民皆保険維持の意義を答弁して，途中で野次が飛び，質問に答えていないとつっこまれるところ，まったく長野県議会での浜議員と田中知事のやり取りを髣髴とさせる（小泉首相の場合は，たしかに質問とかみ合っていない答えを返しているが，答えられないとわかっている質問を繰り返したことに，かみ合わない議論の原因がある。これに比べれば，長野県の田中知事の答弁の方がはるかに，かみ合わせるように努力したものだったと思う）。しかし，厚生労働委員会の阿部委員長が「静粛に」といって野次を制止したのに比べると，答弁を遮った長野県議会議長の態度のおかしさが明白である。話は最後まで聞く，というのが議論の基本ではないか。野次に従う議長というのはちょっと信じられない存在である。長野の６月県議会の議事録は，まだReal Playerでしか見られないのが不便だ（議長がいかに変なことをやったのかがわかる物的証拠なので，公開は続けて欲しいが）。
青木みやさんの日記から知った（などということでは，公衆衛生学を講義する身分としては気まずい）が，健康増進法案という妙な法律が衆議院を通ってしまい，参議院で審議中である（厚生労働委員会議事録メイン画面）。長野のダムも問題だが，こっちも非常にまずい話だ。粥川準二さんの日記の2002/07/03（水）で指摘されているような個人情報管理目的までは思い至らなかったが，おそらく，間違いなく，医療費削減のために予防医学的見地から作文されたという意味合いはあるだろう（上でリンクした議事録などみると，いわゆる医療制度改革の一環として位置付けられている）。しかし，作文した人は，医原病とか健康という病のことを考えていないらしい。はっきり言って，総合的には効果が期待できない。ゆえに，この法案には断固反対する。健康は法律で義務付けできるような単純なものではない。この単純化は，現在の公衆衛生学の主流に反している。たぶん半世紀くらい昔の，一部の人の幻想を引き継いで作文されたものであろう。だいたい，定義もしていない（できない）健康の増進に努めなければならない，なんていうところが空疎だ。「健康論の誘惑」でも読んでみればわかると思うが，健康なんて，自分が健康だと思えば健康なのだという立場だってあるし，健康のことを考えないで済むのが健康の定義だという意見もあるし（これはかなり支持者がいる），働ければ健康だという意見もあるし，WHOの定義だってspritualとdynamicを入れた時点で個人個人にとって「健康」は別々であるということを受け入れた筈である。そんなものの増進に努めるように法律で義務付けるって，それは無意味な文言というしかない。問題は，その無意味さが司法や行政の場で無意味なものと通用するかどうかである。しかし，仮に無意味であると認められるにしても，無意味な法律を通すために金が使われるのは問題だと思うし，腹立たしい。どうしてもリスク因子と絡めて医療費をコントロールしたいなら，医療や介護（にかかる金）を規制する法律を作った方がよほど効果が見込める（喫煙者は肺がんの治療には保険適用しない，とか。でも喫煙は肺がんのComponent causeにはなりうるけれど必要条件じゃないから，これも問題あるだろうな）。その方が受益者負担の原則に（裏返しだが）従っているし，医療費削減には有効であろう。もっとも，そんな法律では票が取れないことが明白だから通らないだろうし，人道的見地からはもちろん問題があるので，いずれにせよ軽々に法案化などする問題ではないだろう。なお，第三章では，国民健康・栄養調査への協力を国民に義務付けているわけだが，「基礎資料を得るため」だけで結構大変な調査に協力する義務を負うというのは受け入れがたい話と思う。ヘルシンキ宣言（日本医師会による訳）違反では？　とくにインフォームド・コンセントを明文化した22.に反しそうな気がする。なお，この法律の後半は，どうも，国庫負担で管理栄養士の仕事を増やすという話なんではないかと思うが，青木みやさんはどうお考えになるのか，聞いてみたい気もする（お門違いだったらごめんなさい）。また，公共の場所で受動喫煙被害を受けないような対策を場所の管理者に義務付けるなど，当然と思われる条文もあるので，この法案の全部が悪いわけではないのだけれど，それは「健康増進」という枠組みで正当化するよりも，むしろ自決権の問題ではないかと思う。良く考えてみると，受動喫煙についてだけ入っているというのも何だか唐突だし。ともかく，これは公衆衛生学にとって大きな問題なので，火曜日の午前中に少し本気で調べてみることにした。
今日の講義も最後の説明が駆け足になってしまった。なかなか時間配分が難しい。
3時間眠ってシャワーを浴びたらすっきりした。納豆かけご飯とコーヒーという妙な取り合わせの朝食をとって研究室へ。配布資料に若干追加し，プレゼンファイルが完成したのは11:00だった。7ページのプリントアウトを持って本部に行き，60部印刷後，少し早いが家に戻って解凍しておいた豚肉をキャベツとナスとともに炒め，ご飯とともに食した。研究室に戻ってきて，これから講義。まさしく^(*)自転車操業といえようか。
^(*)あっちに行ったりこっちに行ったりするのに自転車を使っているから，その意味でも自転車操業なのである。
月曜日4:00AM。やっと配布資料ができた。プレゼンファイルが未完成だが睡魔に負けそうなので，いったん帰る。
日曜日。朝食昼食兼用の食事をしてから，持ち帰ったThinkPad X22を使って統計学講義準備を家でやった。研究室に行くとメールが入ってくるので，考えをまとめるのには向かない。14:30頃，講義の骨格ができたので，補足資料などを得るために研究室へ。メールを見た後，１時間ほど治水・利水・ダム資料リンクの補足をしてから22:00前まで講義準備をぶっ続けでやったが，まだ終わらない。いつものことだが，用意する内容が多すぎるのかもしれないとちょっと思う。しかし，RothmanのEpidemiology: An Introductionという新しいテキストの第２章（pdfファイル）が無料で読めたりすると，やはり読んでおかないわけにはいかないのである。とりあえず食事をして，また続けることにしよう。
土曜日。講義準備の前に，水曜に受け取った仕事を片付ける。データファイルに日本語が入っていたり形式が揃っていなかったりコードがいい加減だったりしたので，まずはPerlでフィルタを書いて正しいデータファイルを生成し，それをRで処理するという二段構えにする。こうすれば，元データ自体に訂正が入ってもスクリプトを走らせるだけで結果が得られるので，ロバストなシステムとなる。直接データファイルをエディタで編集して直してしまう方がひょっとすると早いのだが，それだと後で元データ自体やコーディング規則が変わったときに対応できない。14:00にやっと終わったが，GPAの方が素点分布に近いことが一目瞭然，やった甲斐があったといえよう。後は昼食をとってから講義準備をするだけだ。
不信任案が可決された。良くわかっていない報道が多いのが苛立たしい。今日は研究日なので講義準備とプログラミングを進めているのだが，長野県議会が気になって集中できなかった。
複雑な状況のために，明確なシナリオが描けないのが，論点がずれていく原因の１つだろう。シナリオごとの多面的なアウトプットの予測が簡単にできるツールがあればいいわけで，ぼくが未来開拓で作っているソフトに，発表されているデータをぶち込めば話は進むのかもしれない，とふと思った。早く完成させなければ。
長野の脱ダム関連で発表されている情報は，web上で見つかるものだけでも，物凄い量である。これを位置付け，整理してみることは，情報処理としてもかなり高度な能力を必要とする。整理しきれないので，とりあえずポインタだけメモしておこう。
地方自治法を読んでみた。変な法律だ。第76条も第81条も，都道府県レベルではまずありえないだろう（そこまで住民自治が盛り上がったことがかつてはあったのか？）。第102条の6があるから延期もできなかった。第178条を読んで勝手に納得したのだが，先日の振る舞いは，カウンターアタックしか狙えないからだったのだな，きっと。当然，明日から10日以内にそれが見られるのだろう。こういう展開になるのなら，住民票を長野県に残しておきたかったなあ（7月17日注記：この記述で「先日の振る舞い」と呼んでいるのは，マスメディアに報道された，議長の制止を振り切って質問と関係ない演説を続けたということを指しているのだが，その後RealPlayerでその様子を見たところ，マスメディアの報道が間違っていて，田中知事（当時）がまっとうな答弁をしているのに，議長が野次に動かされて止めたものであることがわかった。世の中には田中氏の答弁について，いつもわき道にそれるとかはぐらかしているとかいう批判が多いのだが，それは実は批判する人の日本語の理解力が不足しているのだという可能性を考えた方がいい。それゆえ，今にして思えば，田中氏は全然カウンターアタックを狙ったわけではなかったのだ）。
4日木曜。cgiが一応の完成。自分ではチェックしたものの，学部全体に公開する前に，まずは看護学部ウェブ広報委員に使ってもらうことにした。
3日水曜。会議漬けの一日。昼にノートパソコン貸し出し２回目があったが，今日も１人しか学生は来なかった。夜になって看護学部のためのcgi開発がかなり進んだが，まだ終わらず。
復路サンライズ瀬戸の「ノビノビ座席」というのは，完全に横になれるので，ほとんどB寝台と変わらない快適さであった。あれで座席分の料金しか取らないのだから良いサービスだと思う。逆に考えると，急行ちくま号もあれくらいの車両は使えないものか？　特急にしてもいいからさ。
2日火曜。知人の結婚式のために午後休をとって東京へ。明日の朝の会議に出席しなくてはならないので，夜行列車でとんぼ返りするきついスケジュールだが，凝り性の方なので，面白い演出が見られるのではないかと期待している。往路新幹線は，概ね看護学部のためのcgi開発。終わらず。
resolverのセキュリティホールを塞ぐためには，4.6-STABLEへのアップグレードという方法もあったのだが，回線が速くないとやりにくいので，/usr/srcにパッチを当ててからmake buildworldという方法を取った。さすがに時間がかかる。

それ以前のメモ

リンクと引用について