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公衆衛生学−11.物理化学的環境要因

参照(次回へ

▼「シンプル衛生公衆衛生学」第2章,「公衆衛生学」第13章

▼「シンプル衛生公衆衛生学」の「2-2 環境の把握とその評価」は,第14回に扱う。今回は2-3と2-4を中心に説明する。「2-5 生物的環境要因」は基礎病態学Iで扱われたであろう内容が主なので,軽く触れるにとどめる。

▼物理化学的環境要因のヒトへの影響を調べることは,疫学研究にも含まれてはいるが,より専門的には,生理人類学と呼ばれる学問分野でよく行われている。日本の学会でいうと,日本生理人類学会(http://www.jspa.net/。第15巻以降の英文誌は全文公開されている)とか,人類働態学会など。やや古い本だが,佐藤方彦「人間と気候」(中公新書)は生理人類学の入門書としてお薦めできる。

内容

物理化学的環境とは
●前回説明した通り,生物(organism)にとっての環境(environment)とは,それ自身を取り巻くすべてのものをいい,環境には生物的環境(他の生物)と非生物的環境(温度,降水量,土壌中化学成分など物理化学的条件)があるが,このうち後者を物理化学的環境という。ヒト以外の生物は,物理化学的環境条件によって居住可能な場所がだいたい規定されてしまうが(*),ヒトは周囲に自らの生存に適した環境を一時的に作り出したり,外部環境を大規模に改変したりすることで,本来の物理化学的環境条件が生存に適していない居住場所にまで,その生息域を広げてきた。

* もっとも,ヒトを宿主とする寄生生物や,人為的環境を生息環境とする生物は,ヒトの生息域の広がりと同時に自身の生息域も広げてきたわけだから,生物的環境と物理化学的環境は独立ではない。

●ヒトに影響を与える要因として捉えるときは,気温,湿度,気流,輻射熱,気圧,音,光線,放射線などが物理的環境要因といえ,化学物質を化学的環境要因という。
物理的環境要因
●温熱(温熱指標については,兵庫教育大学潮田研究室のウェブサイト内のページ「温熱指標いろいろ」[=http://www.life.hyogo-u.ac.jp/hitomiu/onnetu.htm]が詳しい)
●騒音
●放射線
化学的環境要因
●化学物質と人体
●化学的環境要因
●喫煙と健康に関して考えるべき要素
生物的環境要因
(「シンプル衛生公衆衛生学」の「2-5 生物的環境要因」は,概ね基礎病態学Iの講義で扱われたであろう内容なので,ここでは触れない。)

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