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Rに関するNews/更新情報の保管庫1

このページは,RについてのTipsに掲載したNewsと更新情報の,古くなったもの(2004年1月まで)を保存する場所である。

最終更新:2004年 4月 15日 (木曜日) 07時47分

R関連の洋書出版ラッシュ(2002年8月23日)
●8月7日,Rのチュートリアルマニュアルである"An Introduction to R"が出版されたというニュースが届いた。全文ダウンロードできるのだけれど,この売上からの儲けは全てフリーソフト開発のために使われるというし,ペーパーバックは19.95ドルなので注文してもいいと思う。
●8月23日,R for Beginnersというプロジェクトから出ている入門ドキュメントが完全にリライトされて利用可能になった(下記CRANからダウンロードできる)というメールが届いた。ただし英語版と仏語版のみである。最近,R関連の書籍が英語では矢継ぎ早に出版されている。自分の原稿を出版するのとは別に,翻訳書を出すのも,普及のためにはいい方法かもしれないと思う。
【更新】グラフィック保存形式についての情報追加(2002年9月4日)
●グラフィックの保存をFileメニューのSave asからやればpdfやpngやjpegで直接保存できることに気づいたので,その記載を追加した。これは大きい。
系統と進化の分析パッケージape(2002年9月5日)
CRANから,系統と進化の分析パッケージape 0.1がダウンロードできるようになっている。開発者のEmmanuel Paradis氏(paradis@isem.univ-montp2.fr)によると,2002年8月27日に最初のバージョンとして0.1を公開したとのこと。標準的なフォーマットのデータを読み書きでき(もちろんGenBankのデータも読める),系統樹を描くこともできるらしい。
遺伝的アルゴリズムパッケージ(2002年9月17日)
●Claudio Agostinelli氏(claudio@unive.it)により,gaというパッケージが公開された。速さを目的としたものではなく,遺伝的アルゴリズムがどのように動作するかを学生に教えるために開発したそうである。
Hmisc/Designパッケージの新バージョン(2002年9月22日)
●おそらく実験計画用と思われるHmiscパッケージとDesignパッケージ(開発元サイト)に大きなバージョンアップがあったそうだ。これら2つのパッケージはCRANには登録されていない。
【更新】度数分布図描画用の関数作成(2002年9月22日)
●連続する自然数をカテゴリとする度数分布図を描きたい場合に,度数ゼロのカテゴリを飛ばさずに描画させるための関数を作成した。
gregmiscパッケージの新バージョン(2002年9月24日;9月26日)
●Gregory R. Warnes氏(Gregory_R_Warnes@groton.pfizer.com)によって開発されているいろいろな関数を集めた"gregmisc"(Greg氏のmiscellanea=その他諸々のものという意味なのだろう)パッケージの新バージョン0.60がCRANからダウンロードできるようになったそうだ。内容はエラーバー付き棒グラフを描くbarplot2()や2次元ヒストグラムを描くhist2d()など,既存の関数を拡張した機能をもつものが多いようだ。(追記)9月26日にユーザからの指摘によりいくつかのバグフィックスをしたバージョン0.70が公開された。
R-1.6.0(2002年10月2日)
●R-announceで,1.6.0がリリースされたことを知った(ただし,まだソースコードのみである。ダウンロードはCRANから)。正規表現関係など大幅な機能拡張があった一方で,アンダースコアによる付値が望ましくないとされて警告が出るようになり,piechart()関数が使えなくなってしまった(もちろんpie()関数は使えるし,拡張された)のは痛い。テキストを書き換えねば。
R-1.6.0(2002年10月9日)
●CRANを見に行ったら,Windows版バイナリがダウンロードできるようになっていたので,ダウンロードした。これまでWindows版はSetupR.EXEというファイル名だったのだが,このバージョンからrw1060.exeというファイル名になった(ちなみに会津大学のミラーにも既にあった)。軸がらみのバグが直ったようで,人口ピラミッドのプログラムが狙いどおりの挙動を示すようになった。
系統と進化の分析パッケージape0.2(2002年10月16日)
●9月5日にお知らせしたapeが,10月4日付けでバージョンアップして,0.2になっている。多くの機能追加とバグフィックスが行われたとのこと。
geepackとKMsurv(2002年10月16日)
●ウィスコンシン大学マディソン校統計学教室のJun Yan氏が,9月28日付で一般化推定方程式(GEE)パッケージgeepackを,5月18日付でKlein and Moeschberger (1997)に載っている生存時間解析パッケージKMsurvを公開している。ウィンドウズ版のダウンロードは氏のページからできるとのこと。
R2HTML(2002年10月16日)
●ベルギーのルーヴェン・カソリック大学(UCL)統計研究所のEric Lecoutre氏により開発された,Rの出力をHTML化するパッケージとのこと。CRANからダウンロードしたら,library(R2HTML)で使用宣言をしてから,HTMLStart("result_directory",echo=T)とすれば,以降のコンソール表示される出力は,すべてHTML化され,そのディレクトリにも書き込まれる(但し,ディレクトリ名の後に/をつけてはならず,そのディレクトリは既に存在していなくてはいけない)。HTML出力を止めるには,HTMLStop()とすれば良い。
……ということで試してみたが,環境が悪いのかもしれないが,どうもうまく出力されない。バージョンアップに期待しよう。現状では,統計出力をHTML化(あるいはLaTeXソース化)したい目的なら,同じくCRANに入っているxtableパッケージを使うべきだと思う。
RGENOUD(2002年10月21日)
R-GENetic Optimization Using Derivativesがアナウンスされた。遺伝的アルゴリズムのパッケージらしい。
RArcInfo(2002年10月26日)
●GISまで! と驚いたのだが,RArcInfoがアナウンスされた。もっとも,重いGISの作業に使うようにはデザインしていないとのこと。Arc/Info V7.xのバイナリデータを読めるようになるので,地理情報データをRの内部形式としてもてるようになり,塗り分けなどの簡単な統計地図は,Rでできるようになるらしい。試してはいないのだが,Screenshotを見ると,かなり有望と思う。
RedHat 8.0用のRPM公開(2002年10月28日)
●これまでも自分でソースからMakeすれば使えたはずだが,インストールの手間が軽減されるのでRedHat8.0ユーザにはいい知らせと思われる。CRANからLinuxのメジャーディストリビューションの1つであるRedHat 8.0を対象としたバイナリRPMがダウンロード可能になったとのこと。GPG署名認証のためには,開発したMartyn Plummer氏の公開鍵(1024D/97D3544E)をRPMデータベースに入力すればよいそうだ。
Rで自動実行する方法(2002年10月28日)
●人口ピラミッドを描く関数を起動時に読み込ませたいという要望を頂いたので,それを簡単にやる方法を「人口ピラミッドを作る」のところに加筆してみた。pyramid関数をパッケージ化した。
lmtestパッケージ0.9-2+strucchangeパッケージ1.0-0(2002年10月29日)
Achim Zeileis氏により,線型回帰モデルを検定する(Durbin-Watson検定などができる)パッケージlmtestのアップデート(Breusch-Godfrey検定が追加された)と,線型回帰関係の構造変化を検定するstrucchangeパッケージのアップデートがアナウンスされた。ダウンロードはCRANから。
CGIwithRパッケージ(2002年10月29日)
David Firth氏により,Rの機能をwebで提供するためにCGIとして利用できるようなインターフェースパッケージCGIwithRがアナウンスされた。ダウンロードはCRANから。
統合型空間分析システム(2002年10月30日)
●筑波大学・村山祐司教授のサイトで,統合型空間分析システムが公開されている(開発者の尾野さんによりR-jpメーリングリストにアナウンスされ,また直接メールでもお知らせいただいた)。Rにいくつかの外部プログラムを組み合わせて使うのだけれど,「オープンソースを利用した統合型空間分析システムを開発し,日本におけるGIS教育や地域分析に貢献することをめざしている」とのことで,無償公開されている。Windows NT/2000/XP用。
●なお,村山教授のサイトには,これ以外にもGISソフトやデータが公開されているので,GISに関心のある方には役に立つ情報源であろう(ぼくも関心はあるのだけれど,今そこまで手を広げると収拾がつかなくなりそうなので未読)。
マルチレベル分析ツール(2002年10月30日)
●コロンビア大学のAndrew Gelman教授が開発している,Functions for running WinBugs from Rが,林啓一さんによりR-jpメーリングリストにアナウンスされた。BUGSというGibbs Samplingを使ったベイジアン推計パッケージ(ケンブリッジ大学のサイトからダウンロードでき,登録すれば無料で使える)のうちのWindows版であるWinBugsをRから呼び出して,結果を続けてRで処理できるようにするインターフェースパッケージで,マルチレベル分析に便利なツールだそうだ。
データベースとの連結(2002年10月30日)
●オクスフォード大学のBrian Ripley教授により,Rからデータベースを使うためのパッケージRODBCのバージョン0.9-1へのアップデートが告知された(ダウンロードはCRANから。ただしWindows版は一日遅れの予定)。UNIX版ではMySQLPostgreSQL(リンク先は日本のミラーサイトの1つ)に対応し,Windows版ではMS AccessとMySQLとMS Excelに対応しているということである。MySQLと組み合わせるところに目玉があるのだろうが,個人的にはExcelのデータを直接読める関数があったら凄いと思って期待している。
gregmiscのアップデート(2002年10月30日)
●9月末にもアナウンスした,Gregory R. Warnes氏(Gregory_R_Warnes@groton.pfizer.com)によって開発されているいろいろな関数を集めたパッケージ,gregmiscがバージョン0.73にアップデートしたそうである。ダウンロードはCRANから。
ColorBrewer(2002年10月31日)
●ペンシルヴェニア州立大学の人たちを中心に開発されているらしいColorBrewerという塗りわけ地図作成ツール(視覚的判断の補助が目的であってGISではない)で使われるパレットをRの関数として提供するツールRColorBrewer 0.1-1がアナウンスされた。CRANからダウンロードできるとのこと。
R-1.6.1 !!(2002年11月1日)
●まだディベロッパーサイトにソースコードのtarボールを載せたばかりだということだが,R-1.6.1が出たそうだ。Core TeamのPeter Dalgaard BSAによりアナウンスされた。いくつかの小さいバグフィックスと,メモリリークに対策したものだとのこと。1.6.0にはメモリリークするバグがあるので,シミュレーションを続けているとメモリを食いつぶして問題が起きる可能性があるらしい。
人口ピラミッド描画プログラムのBUG FIX(2002年11月2日)
●本の原稿を書くためにソロモン諸島の村の人口ピラミッドを作っていて,人口ピラミッドを描くプログラムのバグに気づいた。右側の男性のグラフを描くときに軸を二重に描いてしまう場合があるのだ。さっそく修正してバージョン0.2とした。修正版はpyramid.zip (ZIP圧縮ファイル,サイズ9,906 bytes)としてダウンロードできる。
R-1.6.1のRPMなど(2002年11月5日)
●R-1.6.1は昨日の段階でもCRANからソースのtarボールとRedhat用のSRPMはダウンロードできたが,Mandrake 8.0, 8.1, 8.2, 9.0用のRPMもCRANにアップロードされたというアナウンスが流れた。もっとも,FreeBSDでもtarボールを展開して./configureしてmakeしてsuしてmake installするだけで使えたから,Linux環境ならとくにRPMを待たなくてもR-1.6.1.tgzを展開して自分でコンパイルすればいいと思う。ちなみにWindows版のコンパイルにはMinGW-2.0.0を使っているらしかったので試してみたが,どうしても途中で止まってしまうので断念した。残念。
R-1.6.1バイナリWindows版(2002年11月11日)
●11月9日以前にCRANにアップロードされていたWindows版バイナリには,ヘルプファイルなどに変なところがあるのでダウンロードし直して欲しいというアナウンスがあった。既に正しいファイルが会津大学のミラーにもある(ftp://ftp.u-aizu.ac.jp/pub/lang/R/CRAN/bin/windows/base/rw1061.exe)ので,日本国内のユーザはそちらからダウンロードすべきであろう。
多段階モデリングパッケージmsm(2002年11月12日)
●英国インペリアルカレッジのChristopher Jackson氏により,多段階モデリングの新しいパッケージmsmが公開された。CRANからダウンロードできる。連続時間のマルコフモデルを不規則に観測されたカテゴリカルな過程に当てはめるのに使え,不規則に通院する慢性疾患の患者の疾患の進行状況(一連の段階として診断されるような)を分析するのにとくに適しているということである。
遺伝的アルゴリズムパッケージRGENOUDアップグレード(2002年11月13日)
●10月21日にも紹介した遺伝的アルゴリズムのパッケージR-GENetic Optimization Using Derivativesがバージョン1.20にアップグレードしたそうだ。リンク先の他,CRANからもダウンロードできるとのこと。
度数ゼロを含む度数分布の改良(2002年11月23日)
●群馬大学の青木先生から,度数ゼロを含む度数分布図を描く関数の改良(というかまったく違う発想のもの)をいただいたので,許可を頂き掲載した。
Windows環境におけるESSとXEmacsによるRの実行環境(2002年11月25日)
●An R and S-Plus Companion to Applied Regressionの著者Fox JがWindows環境におけるESS(Emacs Speaks Statistics)とXEmacsによるRの実行環境というページを公開した。R用のコンフィグレーションファイルがあるのだが,これってxyzzyでは使えないのだろうか? もし使えると,先日R-jpでWindows環境のエディタからRを使いたがっていた方々には福音だろう。日本語訳をしたらさらに便利かもしれない。
●ちなみに,ぼくはDolphin Kickというファイラの拡張子連動機能で.Rに対して,実行ファイル"H:\Program Files\R\rw1061\bin\Rterm",引数マクロを--no-save < $C > $bC.outと指定することにより,エディタで例えばtest.Rファイルを編集し,保存してからファイラで実行するとtest.outに結果が保存される,という使い方に満足しているので,個人的にはとくにエディタから実行できなくても不便は感じないが,簡単に関数一覧が呼べたり自動補完したりしてくれたら便利だとは思う。
R-announce Info Pageの公開(2002年11月27日)
R-announce Info Pageが公開された。R-announce MLは,これまでMajordomoで運営されていたが,procmail+MailManに置き換えられたそうである。このページからMLの登録,解除や,過去に流れたannouceのアーカイヴをダウンロードできる。
フランス語の入門文書公開(2002年11月27日)
モンペリエ大学のEmmanuel Paradisのアナウンスによると,フランス語で書かれたRの入門文書がpdf形式でCRANからダウンロードできるようになったとのこと。
●日本語文書もCRANに載るようにした方がいいのかもしれない。
"genetics"パッケージ公開(2002年11月27日)
●いくつものパッケージ公開で有名なGreg氏が,一遺伝子座の遺伝子データを扱うための集団遺伝学パッケージ"genetics"をCRANで公開した(アナウンス)。公開日付は11月13日になっている。バージョンは0.6.4である。ハーディ=ワインベルグ平衡からの乖離の程度を計算するといったことができるらしい。
起動時から自作の関数を使う方法(2002年12月12日)
●ハーヴァード大学の林啓一さんから,起動時から自作の関数を使ううまい方法を教えていただいたので,許可をいただき掲載した(人口ピラミッドのところに3番目の方法として付記した)。
統計生態学のための多変量解析パッケージade4(2002年12月16日)
●12月12日にannounce-MLに流れてきた情報によると,リヨン大学から統計生態学のための多変量解析パッケージade4がリリースされたとのこと。one-table (PCA, COA, MCA, PCO, etc.), two-tables (PCAIV, Co-inertia, CCA, etc.) and k-tables の多変量解析法(いくつかのモンテカルロ検定や多くのグラフ表示法とともに)を含むそうである。なお,ade4はADE4ソフトウェアをRで動作するように移植したもので,スタンドアロンのADE4も同じサイトから自由にダウンロードして利用できる(とのこと。未確認)。
カテゴリデータ分析・可視化パッケージvcd(2002年12月17日; 2003年10月20日追記)
●12月16日にannounce-MLに流れてきた情報によると,CRANのライブラリに入ったvcd (Visualizing Categorical Data; version 0.1-3)というパッケージは,カテゴリカルデータを分析したり可視化する手法を強化するものである。基本的に,M. Friendly (2000), Visualizing Categorical Data. SAS Institute, Cary, NC.の2章から4章に載っている手法をRに実装したということである。goodfit()で適合度の検定ができるし,Kappa()でκ統計量が信頼区間付きで計算できるし,oddsratio()でオッズ比も信頼区間付きで計算できるし,assoc.stats()でカイ二乗検定,尤度比カイ二乗検定,Φ係数,CramerのVを実行してくれる。グラフ表示もbarplotやmosaicplotやfourfoldplotが(baseに入っている関数が上書きされて)機能強化され,distplot()という分布関数との適合度をプロットする関数も提供されている。カテゴリカルデータの解析に有用と思われる。
●(2003年10月20日追記)vcdのoddsratio()関数は,デフォルトでは対数オッズ比を計算するし,log=F引数をつけても,各セルに0.5を足してからオッズ比を計算するので,単純な定義式OR=ad/bcとは計算結果が異なることに注意されたい。
RNewsの2002年第3号(2002年12月26日)
RNews(リンク先は会津大学のミラーFTPサイト)の2002年第3号が公開された。計算機集約型統計学において重要な位置を占めるブートストラップ法のためのbootパッケージの使い方についての記事や,RとLaTeXの融合を図ったSweaveについての記事,R Help Deskの機能についての説明など,読み応えがある。
個別のデータ点をプロット上で標識する方法(2002年12月27日)
●長野県の120市町村をプロットして,全体の傾向から外れたものがどの市町村であるかを探索的に標識する必要に迫られたので調べてみたところ,identify( )という関数が実に便利であることがわかったので,グラフィックテクニックの項にまとめて追記した。
HmiscとDesignのアップデート(2003年1月1日)
●ヴァージニア大学で開発されているHmiscがバージョン1.4-2に,Designがバージョン1.1-1にアップデートされたとのこと。新バージョンのダウンロード先
グラフィック画面に漢字をベクトルグラフィックスとして表示する関数(2003年1月8日)
●help(Japanese)とやるとわかるのだが,RにはHersheyEUCとして約700の日本語フォントがベクトルグラフィックスとして含まれている。これを簡単に使う方法を考えていたのだが,何とかできたので,グラフィックテクニックの項にまとめた。
●なお,pLaTeXからpictexを使えばこんな面倒なことをしなくても良いことがわかったので,翌日追記した。
多角形データの読み書きをサポートするライブラリgpclibのアップデート(2003年1月9日)
●ULCAで開発(*)されているgpclibという多角形データの読み書きをサポートするライブラリがバージョン1.0になったそうだ。
(*)元々はCのライブラリだったのをRに移植したものらしい。
R-jpメーリングリストへの登録方法に誤りがあったので訂正(2003年1月9日)
参照情報の項に,R-jpへの登録方法を推測して書いていたのだが,アーカイヴの1番にあったメッセージを見たら,それが誤りであることがわかったので訂正した。
R-1.6.2リリース(2003年1月10日)
●まだソースだけだが,R-1.6.2がリリースされた。今回はマイナーなバグフィックスが主体らしい。すぐにバイナリもCRANからダウンロードできるようになるだろう。
●12日にはDebian Linux用のパッケージとか,Windows版バイナリなどもダウンロードできるようになっていた。
最も基本的な操作説明を追加(2003年1月16日)
●このページに,最も基本的な操作説明を付け加えてみた。これで,このページを見るだけで,Rの最低限の操作はわかるようになったと思う。
いくつかのパッケージのバージョンアップとリリース(2003年3月27日)
●gssというスプライン分散分析の低次元近似をしたり非ガウス回帰をしたりするパッケージが3月2日付けでバージョン0.7-4から0.8-2になった。ダウンロードはCRANから。
SOAP経由でRを利用するパッケージRSessionDAのリリースが3月6日付けでアナウンスされた。
●多変量地理統計パッケージGstatをR/S Plusから使うパッケージgstatのリリースが3月12日にアナウンスされた。
BioConductorからS+ArrayAnalyzerというパッケージが3月21日にアナウンスされた。DNA配列分析用か?
VineLinux用rpm(2003年4月8日)
●長崎大学熱帯医学研究所の谷村晋さんがパッケージングしたR-1.6.2のVineLinux用rpmが,4月1日付けでCRANで公開されていることを,ご本人からお教えいただいた。
R Foundation for Statistical Computing設立(2003年4月14日)
●既に去年から設立されていたらしいが,正式にR Foundation for Statistical Computingの設立がアナウンスされた。個人でサポーターになるには,年間25ユーロを払えばいい(申込書のPDFファイル)。
R-1.7.0リリース(2003年4月17日;21日追記)
●まだソースしか公開されていないが,新バージョン1.7.0が出た。リリースによるとユーザから見たときの主な変更点は,
  • 関数solve(), chol(), eigen(), svd()は,LAPACKの計算ルーチンを使うようになった。back-compatibilityオプションをTRUEにすれば従来どおりの計算も可能である。
  • パッケージmethods, modreg, mva, nls, tsは,デフォルトで起動時に読み込まれるようになった(これまではデフォルトで読み込まれていたパッケージはctestのみ)。起動時の読み込みパッケージを指定する仕組みとして,.First()はR自身は使わなくなり,代わりにdefaultPackagesというオプションが追加された。これに伴って,class()関数は,これまでlibrary(method)をしたときにオーバーライドされてしていた動作をするようになった。
  • デフォルトのRNG(乱数生成ルーチン)がMersenne-Twisterになった。新しい関数RNGversion()を使えば,以前のRNGを使うことも可能(いままでもRNGkind("Mersenne-Twister",)とすればメルセンヌツイスターを使うことはできたわけだが,それがデフォルトになったのは大きい)。
  • base以外のパッケージにもnamespaceを定義できるようになった(定義できるのはmethodsとtcltk以外のすべての基本パッケージと,KernSmooth,MASS,boot,class,nnet,rpart,spatialである。詳細は"Writing R Extensions"を参照。いくつかのパッケージ内部オブジェクトがパッケージ外部からは見えなくなったなどの効果がある。
  • terms()関数が呼ばれたときに,式の単純化は自動的には行われなくなった。得られる結果がSのそれに非常に近くなった。
  • plotmathの表,HersheyとJapaneseが,ヘルプページ(help(plotmath))からデモページ(demo(plotmath))に移った。
  • コマンドライン版(UnixとWindowsで)のエラーと警告は,標準出力でなく,標準エラー出力に表示されるようになった。
  • R_X11モジュールは必要なときまで読み込まれなくなった。新しいunix系OSにRをインストールしたときは,x11()が動作することをテストされたい。
●個人的には乱数生成ルーチンのデフォルトがメルセンヌツイスターになったことと,エラーと警告の出力先が標準エラー出力になったことがツボであった。出力をファイルにリダイレクトしているとき,ファイルを開くまでエラーが起こったかどうかわからないのは嫌だったのだが,これでエラーと警告は常にコンソール出力されるわけだ。もっとも,警告は標準出力もされてもいいと思う。また,変更点ではなく,新しい特徴のリスト(面倒なのでここに訳して載せることはしないが)の中に,組み込み済みのRNGはrunif()で0と1を返さないように変わったと書かれていた。理論疫学的なシミュレーションならRで書くのが効率がいいという状況がますます強まったような気がする。
●FreeBSD-4.5Rでのインストールは,tar xvzf R-1.7.0.tgzとして展開し,R-1.7.0のディレクトリに移って,./configureしてmakeし,suしてmake installするだけで完了した。AthlonXP1800+マシンで10分ほどの作業であった。
●Doug Bates氏がパッケージしたDebian用バイナリも公開されたとのこと(17日15:40JST到着のメールによる情報)
●4月21日現在では,Windows版バイナリもダウンロードできる。既に会津大学のミラーにもあるので,日本のユーザはそこからダウンロードするといいだろう。ちょっとインストールオプションが増えた。
R(D)COM Server V1.2とRExcel 1.0のリリース(2003年4月26日)
●Thomas Baier,Erich Neuwirth両氏により,R (D)COM Server V1.2とRExcel 1.0のリリースがアナウンスされた。CRANからダウンロードできる。MS WindowsのActive X Controlを含んでいて,MS ExcelからRを使うインターフェースが提供されているらしい(未確認)。日本語化すれば一気にRユーザが増えるかもしれない可能性を秘めているアプローチだと思う。
統合型空間分析システムJava WebStart版リリース(2003年4月28日)
●R-jpメーリングリストに開発者の尾野さんから流れた情報によると,アプリケーションとしては既に公開されていた「統合型空間分析システム」のJava Web Start版リリースとのこと。空間分析に関してはRを使う。このシステムとRとのやり取りにはR(D)COM Serverを利用するらしい。マニュアルの4ページによると,Java 2 SEのバージョンは1.4.1以上,Rは1.7,0以上,R(D)COMのバージョンは0.99となっているが,16ページの説明は1.2でされているので,どれも最新版でいいのだろう。
●詳細は,統合型空間分析システム(筑波大学・村山先生のサイト内)を参照されたい。
Rでのシミュレーション実行例(2003年4月29日; 5月6日追記)
●R-1.7.0からRNGのデフォルトがメルセンヌツイスターになったことでもあるし,シミュレーションの実行例を2つほどまとめたページを作ったのでRでシミュレーションと題して公開する。何かの参考になれば幸いである。
●(5月6日追記)2番目のシミュレーションについて,群馬大の青木先生からプログラムの改良版をいただいたものを掲載したので参照されたい。
effectsパッケージ公開(2003年4月29日)
●R-announceメーリングリストに流れた情報によると,An R and S-PLUS Companion to Applied Regressionの著者であり,Rの構造方程式モデリングパッケージsemの作者でもある,マクマスタ大学のJohn Foxが開発した新しいパッケージeffectsがCRANで公開されたらしい。線型モデルと一般化線型モデル(とくに階層構造をもつもの)における効果や交互作用を図示するためのパッケージらしい。詳細な説明が20ページのpdf形式のファイルとして公開されている。
R-introの1.7.0和訳評価版公開(2003年5月6日)
東京工業大学・間瀬教授のサイトで,R-intro.texiの和訳の改訂版(v 1.7.0)が暫定公開された。
●Windows版のpTeXとdvipdfmを使ってPDF化したものをここからダウンロードできるようにした。
R-jpメーリングリスト案内ページ復活(2003年5月8日)
●このところずっと案内ページがなくなっていたので,参加方法をこのページにメモしていたのだが,案内ページが復活したのでリンクし,このページ内のメモを削除した。これからもよろしくお願いします>岡田さん
●過去記事全文検索機能も復活したとのこと。すばらしい。
The R commander(2003年5月26日~28日)
●これまでにもさまざまな追加パッケージを公開してきたマクマスタ大学のJohn FoxによってRcmdr packageが公開された。要するに,Rの基本的な機能をGUIで利用するためのメニューらしい。早速試してみようと思ったのだが,ぼくのWindows2000SP3日本語版+R-1.70では動かなかった(インストールはできるがlibrary(Rcmdr)としてロードする途中でエラーが起きて強制終了になってしまう)。日本語Windowsがいけないのだろうか?
●ハーヴァード大学の林啓一さんがR-jpに投稿してくださったメールのおかげで日本語Windowsでも動くことが確信できたので,エラーメッセージを注意深く見てみたら,carライブラリも必要だったことがわかり,問題は解決した。これは初心者に薦めるときに重宝しそうなライブラリだと思う。
インストール関連に加筆(2003年5月28日)
●非GUI環境でのパッケージのインストール方法について,インストール関連に加筆した。
Rcmdrメニューの日本語化(2003年6月5日)
●Vineで試したらできたのでtcl/tkで日本語が通ればいいとわかり,調べたら8.4ではUTF-8を認識することがわかり,UTF-8でメニューファイルを書き換えたらうまくいった。ハーヴァード大学の林さんがある程度日本語化したものをサイトで公開された。
Rnews 2003/1(2003年6月6日)
●R-annouce MLで流れてきた情報によると,R Newsの2003/1号が公開された模様。
Rwiki(2003年6月8日)
●R-jpへの間瀬先生の投稿により知ったが,RwikiHomeができたそうだ。英語だが。一般論としてのWikiへの疑問だが,荒らしは来ないのだろうか。
RWikiJP(2003年6月11日)
●R-jpへ岡田さんがRWikiJP開設をアナウンスされた。今後の充実が期待される。
eha(2003年6月16日)
●スウェーデンのウメア大学統計学教室ゴラン・ブロストロム教授がイベントヒストリー分析の新しいライブラリehaを公開した。CRANにも載っているので,ネットワークにつながったWindows,Linux,FreeBSDなどの環境では,install.packages("eha")でインストールできる。主な焦点を比例ハザード解析に定めており,survivalライブラリを拡張するものだそうだ(実際,survivalライブラリに依存している)。survivalライブラリではコックス回帰はcoxph()関数として実装されているが,それに比べると,ehaライブラリのcoxreg()関数は,(1)リスク集合中の生存者のサンプリング,(2)'weird bootstrap'の実装,という2点が拡張されているとのこと。離散時間の比例ハザードモデルとしてmlreg()関数が実装されている点,左側切り捨てと右側打ち切りデータに対してワイブル回帰(加速モデルのワイブル分布を使ったもの?)を行うweibreg()関数が実装されている点,等々,他にもいろいろな点が拡張されているらしい。
R-1.7.1(2003年6月16日,17日)
●まだソースだけだが,R-1.7.1のリリースがR-announceに報告された。主に問題解決のためのパッチバージョンであるとのこと。また,推奨パッケージのうち,少なくともforeignnlmeにこれまであった問題点も解決された,ということである。
●R-announceに流れたメールによると,既にWindows版バイナリもCRANにアップロードされたそうである。
stat.pdf(2003年6月18日; 24日追記)
●講義資料を元にして大幅に加筆修正した,Rを使って統計学の基礎を教えるための教科書の原稿をstat.pdf(約919 KB)としてダウンロードできるようにしてみた。お読みになってコメント(サポート掲示板またはメールで)くだされば幸いである。
R-intro-170.jp最終版(2003年6月24日)
●間瀬先生が1.7.0ベースのR-introの和訳の最終版を発表されたので,Win32版のptexでコンパイルしてdvipdfmでpdf化したものをここに置いた(評価版のものを置き換えた)。
日本語変数名を使うパッチ(2003年7月1日)
●このページへのアクセスログを眺めていて見つけたのだが,Vine2.6でcran-Rというページがあった。いろいろな拡張にtryされているが,中でも日本語変数は素晴らしいと思う。後はWindowsでソースをmakeできる環境があると無敵かも。
Generalized Boosted Models (gbm) パッケージ(2003年7月15日)
●表記パッケージが,RAND statistics groupのDr. Greg Ridgewayによって開発され,バージョン1.0がもうすぐCRANで公開されるとのこと。作者のアナウンスによれば,Y. FreundとR. SchapireのAdaBoostアルゴリズムと,J. Friedmanの勾配ブーストマシン(別名は多変量適応回帰木,MART)をインプリメントしたパッケージであり,最小二乗回帰,絶対損失回帰,ロジスティック回帰,ポアソン回帰,Coxの比例ハザード/部分尤度回帰,AdaBoost指数損失回帰を含み,連続量,名義尺度,順序尺度の共変量を扱うことができ,欠損値があるデータにも対応できるそうである。
R-mode on xyzzy(2003年7月24日)
●xyzzyというのはWindowsで動く,Emacs風の多機能なエディタだが,そのアドインとして,Rのプログラムを書いたときにキーワードが色分けされたり,補完されたり,キー一発で編集中のプログラムが実行されたりする環境R-mode竹内君が作って公開してくれた。Windowsユーザは試してみては?
Hmisc 2.0-0(2003年8月6日)
●ヴァージニア大学のFrank E Harrell Jrによって,Hmisc2.0-0がCRANで公開されたことがR-announceに流れた。ネットワークにつながっていれば,Rのプロンプトでinstall.packages("Hmisc")でインストールできる。データ解析に便利な多くの機能を含んだライブラリだということである。
Irregular Time Series (2003年8月12日)
Giles Heywoodによって,不規則な時系列データを扱うためのパッケージitsがCRANにアップロードされたとのこと。
Windows版グラフィック画面日本語化パッチ(2003年8月21日)
RjpWikiのWindows版日本語グラフパッチでの説明の通り,R.dll.20030820.tar.gzを展開して元々のR.dllと置き換えてフォント名を設定したら,あっさりとグラフウィンドウで日本語が通った。
●(25日追記)ただし,上記のバージョンのR.dllはUTF-8を読めないために,Rcmdrの日本語化メニューとバッティングするそうだ。確かに日本語化メニューにしたRcmdrをロードしようとするとサスペンドする。R.dllを元に戻すと直る。Rcmdrのメニューが英語のままなら問題ないので,現状では目的に応じて使い分けるしかないだろう。
Rcmdr 0.90(2003年8月25日)
●John FoxのRCommander(=Rcmdr)は,いつの間にか0.90にバージョンアップしていた。「etcディレクトリに例えばcompareModels.Rというファイル名でファイルを置いてメニューテキストファイルにcompareModelsというアイテムを追加する」ことでメニューへの項目追加ができるという自由度は素晴らしい。
農水省統計研修でRを採用(2003年8月25日)
●これまでも各地の講義でRを使っていらした三中信宏さんの日録8月25日付け記事によると,農水省統計研修は,これまで【SAS】+【Excel】だったのを【R】+【Excel】に切り替えるそうだ。Rの普及のためにGood News! だと思う。
R-1.7.0以前のWindows用contribの所在が移動(2003年9月1日)
●8月29日付けのAnnounceによると,CRANのディレクトリ構造を整理するために,Windows用contribの1.7.0以前のものについては,いままでの/bin/windows/contribから/bin/windows/contrib/1.6に移り,これに伴って1.7.0以前のRでパッケージをインストールするときは,install.packages()の中でcontriburlオプションを明示的に指定しなくてはいけないようになったそうだ。
●当然のことながら,1.7.0以上のバージョンには影響ない。
「租界Rの門前にて」(2003年9月2日)
●三中信宏さんが「租界Rの門前にて」というページをオープンされた。事例が多いのが素晴らしい。
Tips追加(2003年9月2日)
●最近よく使うテクニックとして,ファイル名を指定して画像ファイルを書き出す方法データの再コーディングを書き加えた。
「Rによる統計解析の基礎」発行(2003年10月3日;15日追記;20日追記)
●漸く,2003年10月15日付けで発行されることになった。10月1日に刷り上ったものが発送されたので,2日の講義で使えるはずだったのだが,運輸事情が悪くて届かなかったのは誤算だった。
●刊行記念というわけでもないが,変数選択を書き加えた。
(15日追記)各オンライン書店へのリンクは以下の通り。
アマゾン| bk1| cbook24| Jbook| 旭屋書店| 紀伊国屋書店
初刷部数が少なかったためか,既に在庫僅少となっているところがいくつかある。cbook24では「特選品」に入れていただいていて,ありがたいことだ。
(20日追記)出版社による内容紹介
R-1.8.0リリース(2003年10月8日; 15日~16日追記;27日ちょっと書き換え)
●Peter Dalgaardによって,R-Announceに1.8.0のリリースがアナウンスされた。MacOS Xで動くようになったことと,アンダースコア(_)が付値記号として機能しなくなったことに加え,多くの新しい関数の追加とバグフィックスがなされたようである。
●(15日~16日追記。いいかげんな粗訳。部分的に意味がとれていないところもあるので注意されたい)当初ここにだらだらと訳していたが,長すぎるので別のページにした,1.8.0での主な変更点(バグフィックスのところ以外完了)
オッズ比について(2003年10月20日;27日追記;30日追記)
●Rに組み込まれている関数では,単純な定義式どおりのオッズ比は計算されない。2x2分割表をfisher.test()に与えた場合に計算されるのは,超幾何分布を当てはめて最尤推定された値だし(プロンプトでfisher.testと打ってみるとわかる。ちなみに,Rの多くの関数は,このようにRの基本的な関数や文の組み合わせによって定義されている。例えば,glm()で使うfamilyの中身についても,例えばfamily=gaussianについてならgaussianと打てば,どういう関数を使っているかが見える),vcdライブラリのoddsratio()関数は,デフォルトでは対数オッズ比を計算するし,log=F引数をつけた場合も各セルの値に0.5を足してOR=(a+0.5)(d+0.5)/(b+0.5)/(c+0.5)として計算する(注:これもlibrary(vcd)とした後でoddsratioと打てばわかる)ので,単純な定義式のOR=ad/bcとは結果が異なる(30日追記;単純な定義式通りのオッズ比を得るには,l7-1.Rに入っているcrosstab()を使うと役に立つかもしれない)。
なかまさんのR-1.8.0日本語化パッチ(2003年10月22日)
●日本語化パッチを開発してくださっているなかまさんが,R-1.8.0の日本語化パッチを公開(http://r.nakama.ne.jpから辿ればいい。詳細はRの日本語化なんでも掲示板参照)。昨日付けで,いよいよWin32版パッチも出た。いつもながら,超高速の対応は,お見事というしかない。
竹内君のR on Windowsのページ(2003年10月23日)
●東京大学人類生態学教室の後輩の竹内君(xyzzyのR modeの作者でもある)が,R on Windowsというページを公開した。初心者向けなのだろうか,説明がとても丁寧だと思う。
R News Volume 3/2(2003年10月30日)
●R-announceでR News 2003年第2号(pdf形式)の公開がアナウンスされた。gridグラフィックスの活用法とか,一般誤差分布のための新しいパッケージnormalpの解説とか,R-1.8.0で追加されたvignette()関数の説明など,盛りだくさんの内容である。R Foundation Newsというセクションもあって,寄付者のリストが出ると書かれていたので,先日した寄付が載ったかと思ったが,まだ載っていなかった(R FoundationのMembers & DonorsのページにはDonorとして載せていただいたが,できれば普通のSupporting Membersの方に入りたかった)。
Type IIとType IIIの平方和について(2003年10月30日; 2004年3月9日追記)
●R-jpに流れた,「SASで出てくるType II SSやType III SSは,Rではどう計算する?」という主旨の疑問にコメントしたので,ここにも載せておく(文体を変え,若干追記した)。
●Type II SS,Type III SSとは,SASのPROC GLMで出せる4種の平方和のうち,2番目と3番目のもの。分散分析表にでてくる因子の残差平方和の出し方としては,因子が直交していれば他の因子を加える順序によらず一定になるので,他の因子を含まない単独のモデルで出した平方和をそのままその因子の平方和とみなしていい(これが逐次平方和と呼ばれるType I SS)けれど,因子が直交していないときは別の考え方をする必要があって,そこで出てくるのが,Type IIとかType IIIの平方和である。
●Type IIは,まずすべての因子の主効果を含むモデルを基準にして,それから1つの因子を取り去ったモデルのモデル平方和と元のモデルのモデル平方和の差を,取り去った因子の寄与とみなして,その因子の偏平方和(Type II SS)とし,次に2因子交互作用を含むモデルを基準にして,交互作用を取り去ったモデルのモデル平方和とのモデル平方和の差を交互作用効果の偏平方和とするというもの。
●Type IIIは繰り返し数が不揃いのときにデータ数の少ないセルを他のセルと同等とみなす目的で使うもの。Type IVはよくわからない。高橋・大橋・芳賀「SASによる実験データの解析」(東大出版会)によると,数量化一類をするときや,乱塊法の場合や,MANOVAの場合や欠損値がある場合はType IIの使用が薦められるとあるので,とりあえずType IとType IIだけ出せれば充分ではないかと思う。同書の16章に行列言語IMLでType IIIを計算する方法が載っているが。
●Rの場合,標準のanova()ではType Iの平方和が計算されるが,carパッケージのAnova()ではType IIまたはType III(後者を出すにはtype="III"という引数をつける)の平方和が計算できる。ただ,library(car)してからhelp(Anova)すると,Anova()関数で計算されるType IIはSASのType IIと同じだがType IIIは微妙に違うので注意して使えと書かれている。carの開発者John Foxの"An R and S-PLUS companion to applied regression"のp.140のType IIIの説明によると,例えば因子Aの主効果を,因子Bの主効果と因子Aと因子Bの交互作用効果をテストした後でテストしたいような場合に他の効果のすべてを出した後で因子Aによって加えられる分をType IIIとして計算するとのことである。たしかにSASの計算アルゴリズムとは違うようである。
●結論としては,Rで,因子が直交していなくてセルごとの繰り返し数が不揃いの二元配置分散分析をしたいときは,library(car)としてから,Anova(lm(Y~C1+C2+C1:C2))を使えば偏平方和が計算されるので,そうすればいいということのようである。
☆(2004年3月9日追記)青木先生の掲示板へのDISIRさんによる投稿記事で紹介されているSASの岸本さんによるfprへの投稿記事の説明はクリアで素晴らしいのでリンクしておく。ただし,上に記載した内容からもわかると思うが,ぼくはType II,つまりセルサイズで重み付けした偏平方和で充分だと思う。
シミュレーション例3を追加(2003年11月9日)
●環境保健学講義で5年前に作ったマラリア伝播とその行動による確率的防御を扱う確率的なシミュレーションモデルを説明したので,ふと思い立って,当時Cで作ったそのモデルをRに書き換えてみた。プログラムのステップ数が大幅に減っただけでなく,いきなりグラフを作れるので,大変便利である。詳しくは,Rでシミュレーションの例3をご覧いただきたい。
層別に分析するための説明(2003年11月10日)
●メールで質問いただいたので,層別に分析するための丁寧な説明を書いてみた。
あの2ちゃんねるにもスレッドが……(2003年11月10日)
●Googleで検索して,巨大掲示板の2ちゃんねるにもRのスレッドが立っているのを見つけた。今まで知らなかったリンクをいくつか知った。
人口ピラミッド作成関数をバージョンアップ(2003年11月12日)
●version 0.3(pyramid.zip 12,359 bytes)となった。男性を左,女性を右に描くのをデフォルトとし,引数female.left=TRUEとすることで女性を左,男性を右にもプロットできるようににした。
リスク比とオッズ比のp値関数をプロット(2003年11月18日)
疫学特論で使っているRothman K (2002) Epidemiology: An Introduction, Oxford University Pressの第6章,第7章で使われている,p値関数のプロットをするための関数定義を書いてみたので公開[pvalueplot.R]する(チェックしてくださるとありがたい)。
新しく見つけたR関連のリンク(2003年11月19日)
●京都大学人類進化論研究室の竹ノ下祐二さんによる,統計ソフトRの利用。PostgreSQLとの連携についての記事はわかりやすい。(24日追記:ただし,RdbiとRdbi.PgSQLは既にCRANには見当たらない。SourceForgeにはあるが,現在CRANにあるパッケージとしては,David Jamesによって書かれたDBIパッケージが,部分的にRdbiを継承しているとのこと。DBIはPostgreSQLのほか,MySQLとOracleを扱えるようだ。また,CRANには,RODBCというパッケージもあって,こちらはExcel,Access,MySQLのデータを扱えるようだ。)
●桃山学院大学経済学部の荒木さんによるRによる経済データの処理。pdf形式で提供されている資料は,とてもきれいで説明が丁寧だと思う。
●北海道大学の久保拓弥さんによる統計学の授業やります(2003.11)。pdf形式で提供されている資料は,統計の勘所をやや辛口にびしっとまとめたもので必読。「Rによる統計解析の基礎」を紹介してくださり,当サイトの統計学にリンクしてくださっている。
ハーヴァードの林啓一さんも言われていたが,シカゴ大の科目紹介(41201)大学院をミシガンで(5月2日のところ)を見ると,米国の大学ではRをよく使っているのだなあと実感される。
R-1.8.1リリース(2003年11月21日;22日,25日追記)
●Peter Dalgaardによって,R-Announceに1.8.1のリリースがアナウンスされた。いくつかの深刻なもの(1.8.0だけの問題だがcor.test()のmethod="spearman"がランダムに間違った結果を返すというのは恐ろしいと思う)を含む多くの問題点に対処するためのパッチ・リリースとのこと。21日22:23現在,まだCRANにはソース(http://cran.us.r-project.org/src/base/R-1.8.1.tgz)しかない。
●日本時間22日17:00過ぎにはCRANにWindows版バイナリもアップロードされたので,早速ダウンロードしている。
●なかまさんは偉大過ぎる。22日18:20の時点で,もう1.8.1の日本語化パッチを公開された。人柱募集だそうなので,導入してみたら,とりあえずは無事に動いているようだ。(以下25日追記)なお,デフォルトフォントがMS Minchoになっているのだが,やはりグラフィックスクリーンではゴシックの方が感覚的にしっくりくるので,R/rw1081/etc/RdevgaのTT MS Mincho : plainの前に
TT MS UI Gothic : plain
TT MS UI Gothic : bold
TT MS UI Gothic : italic
TT MS UI Gothic : bold&italic
という4行を挿入して保存したらそうなった。
講義で実演するためのフォント拡大法(2003年11月25日)
●講義でRのコマンド入力を実演するために,コンソールフォントを大きくしたかったのだが,RguiのEditのGUI preferencesからでは18ポイント以上のフォントは選べない。しかし,液晶プロジェクタで見えるフォントサイズといえば,最低でも24ポイント,できれば32ポイントの字にしたいところで,解決法を探していた。
●最近の統計学の講義では,Rguiを大きなフォントで表示できているのでメモしておく。日本語化パッチを上書きコピーし,RdevgaにTT MS Gothicを定義してあれば,Rconsole(Windows2000環境ではデフォルトでは%USERPROFILE%\Rconsoleが有効になっているようだ)に
font = TT MS Gothic
points = 32
style = bold
と指定したら,コンソールに表示されるフォントが,無事にMSゴシック32ポイント太字になった。FixedFontにしたときなどに起動時に出る警告もでないので,精神衛生上も非常に良い。
統数研で行われたR関連のシンポジウムの資料(2003年12月15日)
●先週末,12月11日から12日にかけて統数研で行われたWorkshop "Modern statistical visualization and related topics (2)"の資料が統数研のサイトで公開されているのでリンクしておく。
統計処理の羅針盤を作成(2003年12月16日)
看護情報処理論第9回講義資料を元にして,統計処理の羅針盤を作成した。
日本語化パッチのアップデート版(2003年12月18日)
●昨日付けで,なかまさんが,日本語化パッチのアップデート版(リンク先はWindows版)を公開されている。今回からパッチだけではなく,R本体のインストールまでできるようなexeファイルの形でも公開されたようだ。これでまたRの敷居が低くなったのでは?
useR! 2004のトピックスと基調講演発表(2003年12月20日)
●R-announceに流れた情報によると,2004年5月20日から22日までオーストリアのウィーンで開催されるRユーザの国際カンファレンスであるuseR! 2004のサイトで,トピックスと基調講演が発表されたそうだ。口演とポスター発表の申し込みも今月から始まっていて,このウェブサイトから登録できるとのこと(2004年2月15日が最終的な締め切りで,採否は3月15日までに知らされる)。コンピュータマニアの趣味だけではなくて,普通の人がRを使って重要な研究をしている例があったら歓迎されるらしい。
まとめ関数の定義(2003年12月24日; 2004年1月6日, 23日追記)
●大量のデータ処理をしなくてはならなかったため,必要な統計量だけを出力し,グラフも同時に書くような関数定義をした。たぶん先週作った統計処理の羅針盤の補完になると思うので公開してみる。
●(2004年1月6日追記)注釈をつけてみた
●(2004年1月23日追記)信頼区間付き回帰直線を書く関数定義を追加。
Yahoo! JAPANのディレクトリ項目にRが登録された(2004年1月5日)
●年末に届いていたニュースだが,あのYahoo! JAPANに,トップ > 自然科学と技術 > 数学 > 統計学 > ソフトウェア > Rというディレクトリ項目ができた(数学と統計学は階層の上下ではなく並列であるべきだと思うが)。これでRの普及が加速すると嬉しい。
R News Volume 3/3(2004年1月21日)
●r-announceで知ったのだが,R Newsの2003年度第3巻が出たそうだ。ダウンロードはR Newsのページからできる。目次は次の通り。
  • データマッピングのための次元の縮退: prcomp(mvaライブラリ内)を使った主成分分析,cmdscale(mvaライブラリ内)やsammon(MASSライブラリ内)やisoMDS(MASSライブラリ内)を使った多次元尺度法,somライブラリまたはclassライブラリを使った自己組織化マップの方法,fastICAライブラリを使った独立成分分析(ICA)の紹介記事。
  • 生態学モデリングのシミュレーションプラットフォームとしてのR: odesolveライブラリを使って,ルンゲ=クッタ法(rk4関数)やlsodaアルゴリズム(lsoda関数)によって常微分方程式モデルの積分をする方法を,Lotka-Volterra型のUPCAモデルで例示し,カオス的な挙動を図示したあと,ミジンコについての個体ベースモデルを簡単な関数の組み合わせだけでプログラムする方法を示し,simecolライブラリによってセルオートマトンをする方法を説明している。
  • 学生の達成度についての縦断的なデータを説明するモデルを推定するのにRを使う方法: 得点が積み重ねられていくので,ネストしたモデルになる。一変量及び多変量でlmeライブラリを使って線型混合モデルを当てはめているようである。
  • lmeSplinesライブラリ: 線型混合モデルに平滑化スプライン項を当てはめるためのパッケージlmeSplinesの紹介。
  • (あんまり多くは)涙無しのデバッグ: 定義した関数をデバッグするためのライブラリdebugとmvbutilsの紹介。これらのコード自体がRで書かれている。
  • R2HTMLライブラリの紹介: テンプレートを使ってRの出力をhtml化するためのライブラリ。CSS対応らしい。
  • 他:ヘルプデスク,プログラマーズニッチ,最近のイベント,来るべきイベント(UseR! 2004の紹介),R 1.8.1での変更点,CRANの変更点,R Foundationのニュース(名前が載った)

リンクと引用について