枕草子 (My Favorite Things)
【第598回】 ちょっとした工夫(2001年7月24日)
- 優れた学生と話をしていると目を開かされることは多々ある。例えば以前,駒場のカリキュラム編成の非合理性などと書いたけれど,文系科目のほとんどを外国人講師の語学をとって,第二外国語を使えるレベルにもっていくという手もあったのだ,ということに先日気づかされて愕然とした。たしかに,興味の趣くままに国文学とか法学とか国際関係論なんかをつまみぐいした自分の講義のとり方は,「教養」という意味でまっとうだったと思うが,たかだか2コマでわかるくらいのことなら本を読めば十分なわけで,そのことが「何にもならなかった」という後悔を生んでいるのに違いない。だから,いま駒場にいる学生や,これから東京大学に入学する学生には,是非この,第二外国語を使えるレベルにもっていく,という科目選択をお薦めしたいと思う。ちょっとした工夫で2年間を後に生かせるかどうかが決まるのだと思えば,そのとき多少大変でも努力できるのではないか。
- 今朝は5:30に腕時計のアラームで目が覚めた。昨夜眠る前にといでタイマーをセットしておいた米が炊けていたので,海苔の佃煮に梅干を刻んで練りこみ,それをアツアツのご飯にかけて食べるという方法で,暑さで減退しがちな食欲を引き出した。海苔の佃煮に梅干を刻んで練りこむというのは,ちょっとした工夫だがなかなかいける(これを既に商品化したものもあるようだが,梅干の量を好きに加減できるという点で,自家製の方が優れていると思う)。ついでに紅ショウガを食べて,麦茶をコップ1杯ゴクゴクと飲み干すと,なかなかさっぱりして,さあ今日も一日頑張ろうという気持ちになれてよい。
- そういうわけで6:43発あさま502号に間に合いそうだったのだが,自転車の後輪の空気が抜けていたので空気を入れるとか,ゴミを2袋出すとかいった作業をしているうちに10分が経過したとか,その後長野駅に向けて自転車をこいでいたら,やはり後輪はパンクしていたようでガタガタいうのを無理やりねじふせながら漕がねばならなかったとかいった事情で,往路は7:02発あさま550号となった。自転車の後輪は修理してから3週間ももたずにパンクしてしまったわけだが,これはタイヤ表面が完全に削れてしまっていて,チューブを保護する効果に乏しいのが原因と思われ,それならチューブ交換などしないでタイヤ交換をしておけば良かったなあ,などと後悔したが,後の祭りであった。
- まあ,502号と550号では上野駅到着時刻は30分も違わないので,致命的な失敗というわけではないのだが,帰り道のことを考えると気が滅入るのである。ともあれ,往路新幹線の中で生態学講義の前期最終回のフォロー作りがほぼ完了したので,今日中には生態学講義と社会調査講義のページが更新できそうだ(午後6時過ぎにできた)。
- COP6について追記。議長の"I hear no objections. It's so decided."という言葉ともに満場立ち上がっての拍手という昨日の感動的な映像は,RealPlayer8以上を使って,On demand videoとして現在でも見ることができるので,今のうちに見ておくことをお薦めする。この映像中の議長発言によれば,現在のところ技術的な理由によってこの同意書は英語版しかないけれど,次回のミーティングまでに各国語(といっても,国連の公用語であるアラビア語,中国語,フランス語,ロシア語,スペイン語だけ……ということは,昨日の中国代表が中国語で発言したのは正当なわけだ)バージョンが用意され,そのときに正式に採択されるようだ。ちなみに,京都議定書英語版(PDF形式)の和訳は,全国地球温暖化防止活動推進センターのサイト内で,気候変動に関する国際連合枠組条約京都議定書−環境庁地球温暖化対策研究会暫定訳−(環境省のサイトでは概要しか見つからなかった)として入手できるし,昨日の合意についてのプレスリリースも既に環境省から出ている。これだけ情報があるわりには,マスコミの取り上げ方は小さいような気がしてならない。
- 他の情報源としては,COP3以降の交渉の経緯も環境省のサイト内にまとめられていて,京都議定書を巡る複雑な議論の経過を理解するのに役立ったし,青木みやさんの日記で知った鹿児島大学坂田さんによるレポートは,雰囲気が伝わってきて参考になった。ともかくこれは,人類が自滅を防ぐために世界中で協力しましょう,という方向での歴史的な一歩なのだ。そう考えると,何やら将来が明るく見えてくるような気がするではないか?
- 昼食後,悪名高きSirCamがやってきた。知らない人からのメールで,中身が英文で
Hi! How are you?
I send you this file in order to have your advice
See you later. Thanks
となっていて,添付ファイル名が***(実際には日本語).xls.lnkとくれば,これはもうSirCamの特徴にぴたりと一致するわけである。
- 折角届いたウイルスなので,中身を確認してみた(注:よほどコンピュータの扱いに慣れていて,かつ慎重な方以外は真似しないで欲しい)。lnkの割にはサイズが大きかったので,念のためにメールソフトでは展開せず,Decode Shell Extensionを使ってファイル名をtest.xxxと変えて展開し,それをDolphin Kickのファイルビューアで覗いたのである。果たして,先頭がMZの実行ファイルで,真中よりちょっと後にSCam32という文字列があり,間違いなくSirCamであった。その後にExcelのワークシートが残っていたので,おそらくExcelで開いた場合は,SCam32が感染動作を行った後そのままワークシートが開くのだろう。下手をすると,感染したことに気づかない可能性がある。そのまま10月になってハードディスクの中身を全部消されてしまったら目も当てられない。早速送り主にメールで注意を促しておいたが,うまく対策してくれるかどうか。それにしても,この文面が海外の知人からやってきたなら,添付ファイルもMy Docmentsにあるものだから意味のありそうなファイル名になっているから,つい開けてしまいそうな気がする。確かに恐るべきウイルスだと思う。
- 今夜は就職する人の送別と調査に出ていた人の帰国歓迎を兼ねた飲み会がある。しかし,雷注意報も出ていることだし,明日は半年に一度,休暇をとって娘を順天堂医院に連れて行く日だということもあるので,是が非でも終電1本前には乗らねばならない。そういうわけでサクッと切り上げるので悪しからず>教室員ALL。
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