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書評

最終更新:2019年2月13日(水)


旧書評掲示板保存ファイル/書評:『火車』

書名出版社
火車新潮文庫
著者出版年
宮部みゆき1998(単行書は1992)



May 01 (sat), 1999, 17:26

中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website

いわずとしれた傑作である。山本周五郎賞受賞。

負傷により休職中の刑事,本間俊介が,亡き妻の従兄弟の息子である栗坂和也の訪問を受けるところから話は始まる。和也が言うには,婚約者,関根彰子にクレジットカードを作ろうとしたところ,ブラックリストに載っていて作れず,そのことを確認したら彼女が失踪してしまったので,非公式に探して欲しいというのである。本間の捜査とともに徐々に解き明かされてゆく,関根彰子を取り巻く謎が悲しい。背景にあるカード社会の問題点と,「犯罪を犯す」行為の非特異性がテーマだと思うのだが,その浮かび上がらせ方が絶品である。


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