【第1816回】 日本はそんなに不幸?(2025年3月21日)
- 昨日、世界幸福度ランキング2025が発表され、日本が55位ということがニュースで批判されている。が、コスタリカが6位、メキシコが10位に新しくランクインしたという点が少し引っかかった。なぜなら、コスタリカはOECDの相対的貧困者割合の2022年のランキング(Figure 6.4)でもOECD加盟国中1位でキーパートナー国の一つである南アフリカに次いで2位、メキシコもキーパートナー国を含めて11位(日本が10位なので日本よりはマシなわけだが)と、所得の不均衡はわりと激しいと思われるからだ。もちろん、所得の中央値の半分以下の所得しかない世帯を相対的貧困世帯とするこの指標の妥当性は、所得分布の形や世帯の形態にもよるので、相対的貧困者割合が貧富の差からくる社会的不公平度の指標として妥当でない可能性もあるし、コスタリカは軍備を放棄して環境保全や教育に力を入れる政策をとっていることで有名だから、貧しくても幸福という可能性もある。けれども、世界で6位とは高すぎるのではないかと直感的に思ったのだ。
- 幸福度レポート2025の本文を見てみると、コスタリカやメキシコは(に加えて、ブラジルやベリーズやグアテマラなど中南米諸国は軒並み)dystopia指標が高いようだ。逆に日本はdystopia指標が極めて低い。JICAによる2021年度のWorld Happiness Reportの評価によると、WHRは主観的生活満足度を0-10のキャントリルの階梯で把握し、主観的生活満足度を規定する6つの要因として、一人当たりGDPをWorld Development IndicatorsとOECD Economic Outlookから、健康寿命をWHOのGHOから、社会的支援、人生の自由度、他者への寛容さ、国への信頼度の4つをGallup World Pollから測定し、さらに1つ加えているのが、dystopiaという指標で、「6つの要因の数値が最も低い(最も不幸せな)仮想的な国」をdystopiaとして、そこに比べて各国の各数値がどれだけ幸福度に対して正の寄与をしているかを示すことにより、「各国における各要因の寄与度を比較する上でのベンチマークになる」と、かなりわかりにくい説明が書かれている(この指標だけの詳細解説ページが欲しいところだが、ざっと眺めただけでは見つからなかった)。他者への寛容さが「過去1ヶ月間に慈善団体に寄付をしたことがあるか」という質問に対する回答を1人あたりGDPに回帰させた残差の平均値であるのもトリッキーな気がするし(日本では慈善団体への寄付を定期的にしていなくても地域活動とかボランティアをしていたりする人は多いと思うし、「寄付したことがあるか」の回答は0/1だろうに、1人あたりGDPに回帰させた残差? が何を意味するのか直感的にわからない)、国への信頼度が「政府内に腐敗が広まっているかどうか」「企業内に腐敗が広まっているかどうか」という2つの質問への回答の平均値であるというのも「腐敗していない」=「信頼できる」なのかという問題はあると思うが、何よりも、dystopiaのスコアが系統的に中南米の順位を押し上げているとしたら、その寄与を含めるのは、ランキングの信頼性を大きく損なうものなのではなかろうか。数字がわからないが、グラフから見る限り、dystopiaを含めなければ、日本の順位はトップ30に入りそうだし、コスタリカもメキシコもトップ10には入らなそうだ。
- まあ、世界各国を同じ基準で比較するのは難しいことだとはわかっているので、結果は注意深く見るべき、という当たり前のことしか書いていないメモだが。
- ご恵贈御礼。小俣ラポー日登美(編著)、ジャン=フレデリック・ショーブ+佐藤駿+三中信宏+松本徹+包含(著)『「事実」の交差点:科学的対話が生まれる文脈を探して』ナカニシヤ出版、ISBN 978-4-7795-1865-2(Amazon | honto | e-hon)、を三中さんから献本していただいた。ありがとうございます。ナカニシヤ出版からのお知らせには、オンラインなどでの紹介は歓迎と書かれていたし、まずはここに書いておく。あとがきに目を通したところ、ジャン=フレデリック・ショーブさんと三中さん以外の著者は京大白眉プロジェクトに選ばれた若手研究者らしい。オビまでバッタになりたい前野ウルド浩太郎さんと白眉で固めている。これぞ文理の交差点というか、知的刺激を受けそうな本。E.O.ウィルソンの『知の挑戦』みたいなスコープを感じるが、より分野的に広い気がするし、各分野の気鋭の専門家が書いているので深さもありそうで、理解しながら読むには時間がかかりそうではある。
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【第1815回】 会議がたくさん(2025年3月19-20日)
- 今日は朝からいくつも会議があるので名谷に出勤。
- リトグリの『Ambitious』は、昨夜日付が変わってから96kHzハイレゾをmoraで購入したのをスマホに入れておいたので、それを聴きながら出勤した。初めて聴いた3曲、GravityもPlay the gameもLIFEもすべて名曲だったが、とくにLIFEはライブで聴いたら感動しそうな曲想。Play the gameは試合前に歌ったら盛り上がりそう。Gravityのソングライターはものんくるのお二人。なるほど、という曲調。まるで行進曲のようなアレンジのSAY!!! -2025ver.-や私らしく生きてみたい -2025ver.-も素晴らしい。たぶんCDだと初回盤Bに入っているはずだが、とくにSAY!!! -2025ver.-は夏の甲子園の開会式の入場のときにでも流したら良いのではなかろうか。だが何と言ってもLIVEでの初披露が待ち遠しいのは、Break out of your bubbleのEPに収録されているのにまだライブパフォーマンスがないPLANETだなあ。ベルトーンっぽいアレンジも含めて、たぶん大変ハモることが難しい曲なのではないかと思うが、これを生歌唱で聴けたら感動するに違いない。
- 日本人の食事摂取基準(2025年版)佐々木敏 (解説)をAmazonで予約注文した。
- 令和7年度のAMEDで活発でレジリエントな身体を目指した生命現象の解明と制御~元気な状態を科学する~というテーマが含まれるらしいが、「元気な状態」の外的基準をどう定義するのかがこの資料だとわからないな。質問紙だろうか? Subjective Vitality Scaleを調べる質問紙というものは、これとか、これとか、いくつかあるようだが。「元気な状態」でどういう生命現象が起こっているのかを調べたかったら、先に「元気な状態」が定義できていないと無理だよなあ。
- MLBの開幕第2試合前のセレモニーは、MLB公式もアップロードしているが、リトグリの国歌斉唱だけのファンカムを見ると、リトグリの凄さがよりわかる。Star-Spangled Bannerは伴奏付きでテンポ速めの聴きやすい歌唱だったが、2フレーズ目からハモった瞬間に世界が息を呑んだと思う。君が代に至ってはアカペラ! どちらも1フレーズ目はユニゾン(正しく斉唱)にして2フレーズ目からハモることで国歌斉唱に厳粛さを求める人からの反感もある程度避けられたように思う。コーラスアレンジは吉田圭介さんだったそうだが、大変美しいハーモニーであった。とくに君が代は、60歳にして初めてブルガリアンボイスに感じるような陶酔感を伴う音楽性を感じた。試合はドジャースが連勝したし、大谷選手のホームランも出たし(手を伸ばした観客のマナーの悪さが大変残念だったが、その前に天井に当たっていたために微妙な落下点になってしまったらしい)、ドジャースファンは大歓喜だっただろう。
- 春分の日は在宅で仕事をしていた。あまり捗らなかったが。
- リトグリの「Run」のMV、R-1のコマソンになってしまったので無理だと思うが、みんなのうたになっても違和感ないな。
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【第1814回】 MLB開幕の日(2025年3月18日)
- 可燃ごみを出してから出勤。今日は院生(留学生)相談と、定年退官する教員の最終講義とパーティがあるが、MLB開幕のドジャースとカブスの試合が東京ドームで行われる予定なので、パーティが終わったら速攻で帰宅したい。
- 帰宅したらAmazonに予約していた『Ambitious』初回盤AとBが届いていたが、日付が変わったら配信販売が始まると思うので、スマホにはmoraでハイレゾ版を買って入れるつもり。
- MLB開幕は今永投手が4回までノーヒットピッチングだったが球数が多かったので5回に交代したところドジャース打線が2番手投手から一気に3点をとり、終盤にも大谷選手の二塁打をきっかけに1点追加し、山本投手が1点は取られたがリリーフ陣も盤石だったという、ドジャースの強さだけが目立った試合だった。
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Written by Minato Nakazawa, Ph.D. | Notice to cite or link here | [TOP PAGE]