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書評

最終更新:2019年2月13日(水)


旧書評掲示板保存ファイル/書評:『3LDK要塞 山崎家』

書名出版社
3LDK要塞 山崎家幻冬社文庫
著者出版年
太田忠司1999(単行書は1997)



Nov 09 (tue), 1999, 12:50

中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website

馬鹿話である。解説の大森望さんがいう,「オタク第一世代のおじさんに贈るサービス精神」というのも的を射ていると思うが,平和に暮らしていた一家が,ある日突然戦車やら戦略ヘリやらを使って悪の秘密結社から攻撃をうけ,反撃する話といえば,やはり馬鹿話としかいいようがないのである。ネーミングからすぐわかるように,基本骨格は「さるかに合戦」であるが,ラストバトルに至るまで遊び心の連続であり,面白くて一気に読んでしまった。読破に要した時間は1時間だった。こういうのは気軽に読めていい。死人が出ないし,読後感もよい(まあ,ダーティペアくらいの死人になると現実感がなくなってしまうから,遊びであるという意味では同じなんだけれど)。

ただ,表題には偽りありだ。この表題から連想されるような,市街地戦争部分は希薄である。要塞の本質はそこを維持するヒトにあるといいたいのか?

●税別600円,ISBN 4-87728-793-0(Amazon | honto


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