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書評

最終更新:2019年2月13日(水)


旧書評掲示板保存ファイル/書評:『合成洗剤は本当に有害なのか?』

書名出版社
合成洗剤は本当に有害なのか?オーエス出版
著者出版年
大矢勝2001年



Jan 25 (thu), 2001, 14:27

りりぃ <d2e091a5.tcat.ne.jp> website

ご出版オメデトウございます。早速注文しましたら、翌日電話が来て、在庫があったとのこと。どうやらかなり出回っているようです。

さて、書評。「今度は何をお書きになったのだろう」と読んでみたが、あまり目新しいことはない。いわば、WEBの本版である。「大矢勝のページ」に肉付けしたものと言う感じ。多少抑えて、“インチキオヤジ”や“グローバル”は使用されておらず、若干の訂正はあるものの、基本路線はWEBの通りである。

では何故この時期に“本”で出されたのだろうか?
効果的にするなら、WEBと本の二本立てで同時進行させれば良かったのに。お正月早々、新聞にテレビにとお名前やお顔を出されていたところをみると、何かを盛んにカバーしようと試みている感じが否めない。

敢えて、一般消費者に読まれることを期待した刺激系の“言いたい放題”で「純石けんブーム」に待ったを掛けようと出てきたのに、敵前逃亡する結果となった掲示板でのあの出来事に対し、巻き返しを新聞やテレビ、ご本で狙っているのかもしれない。だが、*現時点*では、ネットでも新聞でも優勢とは思えない。寧ろ、そのキャラから、却って火に油を注いでしまった感じだ。

p174~p180あたりでは、「純石けん危険説」を本人も認めるかなり偏ったやり方でされているが、p179の“現時点”での言葉が出てくる辺りでお腹がよじれそうになった。「この人は、いっそのこと上方漫才にでも籍を置かれた方がもっとよいポジションに居れたのでは?」と思ってしまった。

サイエンスディスカッションでもややトーンの高い関西イントネーションで「脂肪さん」と仰り(まるで人名のように聞こえたのでこの記述とする)、確か、ここに出てくる
『ザックス有害物質データブックス』を読みあげてらしたが、「静脈内投与により」とか「経口摂取により」とか先生のご本のp127には条件が付いている。また、p129の記述も引用の仕方がおかしくないか?どの位の量をどのように用いたときというのがない。空気だって注射器で血管に入れれば自殺できるんじゃないですか?昔、そういうことして自殺しようとした有名人がいたはずですが。

確かに、目や皮膚に傷が有るときは、純石けんでもしみたり、目が赤くなってしまったことは自分にも経験がある。
でも、脂肪酸の毒性をこじつけて説くなら、純石けんで洗った衣類に残留したものより、化粧をすることの方が問題になってくるのではないか?http://chemical.kao.co.jp/ProductInformation/catalog/fattyacid/Default.htm

↑に「脂肪酸」の用途が載っていた。
下手なこじつけは気まずくなると思う。

あと、もう一つ。水質汚濁に関しては、トータルというか生活全般で考えて欲しい。私は先生の批判する純せっけん会社の長年の愛用者だが、これで背広も洗っている。毛布や薄目の羽毛布団も洗っている。だからクリーニングに出すものがほとんどない。クリーニングに沢山の衣類他を出している人は、それだけ水質汚染に手を染めているのではないか?8年以上もこの石けんを団体で買うという、運動もどきをしているが、価格設定が安くはないので(だが、私達はまとめ買いなので安く買える)、ほとんどの人はとても大切に使っている。中には、茶碗や皿は、和紡布で洗い、極力石けんの使用量を減らしている人もいるし、私もそうしている。

アトピーのまま、合洗を使っていたら、かぶれた皮膚の血、膿みで洗濯物も増えたかも知れない。ステロイドも使ったかも知れない。保湿剤を塗ったかも知れない。ところが、この純石けんのお陰もあって(勿論その他生活全般にわたる改善もあって)洗濯回数も少なくなり、他のものも不要になり、健康が取り戻せた人がいる。会社自体も会報で教育をしているし、講演会でも社長さんは、合成洗剤の害(体験など)は説いても、沢山使え、買えの如き言葉は一切仰らない。

昨日のリスニングのテキストからの引用です。(旺文社 英検1級リスニング問題ターゲットp151)
「より広い規模でこの問題全般に意識を持つことです。えー、どこに問題があるか、どんな問題があるか、そして、こうした問題がお互いにどう関連し、関係しているのかということにです。」これは、環境関連ないしは環境の分野で職に就くことに関心がある人達に環境専門家が勧める二つのことのうちの一つだそうです。もう一つは、自然科学を学ぶこととあります。

著者には、実検室の中で起きていることではなく、今、私達の身の回りで毎日起きていることにもっと、もっと目を向けて頂きたい。そして、それが、英文で世界に向けて発表されていなくても、現実にこの国で起きていることであると認めて頂きたい。


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