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書評

最終更新:2019年2月13日(水)


旧書評掲示板保存ファイル/書評:『「四億年の目撃者」シーラカンスを追って』

書名出版社
「四億年の目撃者」シーラカンスを追って文春文庫
著者出版年
サマンサ・ワインバーグ著,戸根由紀恵訳2001年7月,原著は1999年A FIsh Caught in Time



Aug 15 (wed), 2001, 20:25

中澤 <k1-1.humeco.m.u-tokyo.ac.jp> website

ワクワクしながら一気に読了した。前半JLBスミス夫妻を中心に展開される追跡も刺激的だが,ぼくが個人的に面白かったのは,後半明らかにされるシーラカンスの分布である。つまり,インドネシアからコモロ諸島とマダガスカルまでというとオーストロネシアンの拡散を思い出してしまうので,ヒトが連れて行ったというのは荒唐無稽にしても(物語的には面白いが),シーラカンスを追ってヒトが拡散していったとかいうストーリーができると……などと,つい思ってしまうのだ。インドネシアでの鳥羽水族館の動きについて,「天皇からの直々の,そして緊急の命によるものと思われた(p.258)」というのも面白い。そう「思われた」根拠はしらないが,もし根拠なしに日本の無理な動きの原因を「天皇から」と解釈したのなら,それは誤解だと思う。ケンブリッジ出身の取材力もあるジャーナリストがそう考える背景を想像すると,なかなか示唆に富んだ記述と思う。

●税別705円,ISBN 4-16-765110-6(Amazon | honto


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