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【第87回】 七夕は長野で(2012年7月7日)
- 雨は上がっていたが,水道が止まっている。タンクに問題が発生したのか? 原因はわからないが回復しそうになく,仕方ないので,風呂を追い炊きして湯を浴び,顔を洗ってから,昨夜食べたままだった箸などはウェットティッシュで汚れを拭き取り,昨夜の親子丼の残りを食べて朝食にした。そのまま名谷直通の始発バスで出勤。
- 講義資料の最終確認をして印刷。終わったのは8:30だった。今回は,前回のOne-way ANOVAとKruskal-Wallis検定の宿題の解答を説明してから,同じ対象についての複数の値の間で比較をする場合はどうするか,つまり対応のある多群間で分布の位置を比較する話である(handout(pdf))。手法としてはRepeated measures ANOVAとFriedmanの検定だが,EZRは作図も含めて,これを実に簡単な手順でできるようにしてくれているのが素晴らしい。3つの例題を使って説明し終わった時点で10分ほど余ったので,質問を受けた。中に,この場合のpost hocな検定として対比較はできないかというものがあった。もちろんできるが,EZRのメニューの中にはまだ取り入れられていないと返答しておいたが,神田先生にお願いしてみよう。
- 講義が終わったら,小雨というかほとんど降り止んだ感じであった。この週末は娘の高校の学園祭なので,長野に帰ることになっていて,まずは名谷まで歩いて地下鉄で新神戸へ。新幹線から特急しなの号に乗り継いだところである。ここまでの間に,川端裕人『雲の王』集英社,ISBN 978-4-08-771455-5(Amazon | honto | e-hon)を読了。荒れ狂っている窓外の天気に,実にぴったりな小説だった。川端本人がブログに書いているように,伝奇風味もあるが,本格感のある気象学小説であった。先日,盛和スカラーズソサエティの記念講演で聞いた,数理モデルによる気象予測の話を思い出した。大雑把なあらすじとしては,空気中の水蒸気や温度が見えるという不思議な能力をもった一族の末裔であるらしい子持ちヒロイン南雲美晴さんが,自らの出自の謎と能力を解き明かしつつ,兄貴がしでかした不始末の尻ぬぐいをするため,兄貴自身や気象オタクの同僚黒木に協力し,「雲の王」である巨大台風を制御しようとする話,といえるか。しかし,この兄貴の,海外の研究所に所属して年間50本の論文を発表してしまうという強烈さとか,ほのぼの系の気象観測技官でありながら日本茶の美味しい淹れ方に拘りをもっていたりする高崎さんとか,謎の一族の隠れ里かという「郷」に住むリク婆とユキ婆とか(ユバーバとゼニーバか,きんさんぎんさんかと思いながら読んでいた。もっとも,どちらもがめつくはないし,ちょっとだけ神秘性があるのできんさんぎんさんとも違う感じだが),世のお母さんたちがこんな息子が欲しいと思いそうな,美晴さんの息子楓大とか,キャラ萌え要素もふんだんに散りばめられていた。また,気象やアコウを含む自然描写の鮮烈さは相変わらず素晴らしかった。とくに雲ができあがっていくイメージが素晴らしく,本書を読む前と読んだ後では,天気の見方が変わってしまいそうだ。一つだけ引っかかった点。少年野球の場合,普通の大会だと5回までのことが多く,市大会のベスト8でも7回までだと思う(まあ,0-0のまま延長戦になり,9回に決着がついたと考えれば,ありえないことではないが)。
- それにしても天気が大荒れだ。窓の下に見える天竜川も茶色く濁った水が渦巻いていて,怖いくらいだ……と思っていたら,急に青空から強い陽射しが降ってきた。雲の王が南に抜けたか?
- 木曽福島を過ぎてから塩尻近くまでWiMAXが入らなかったが,塩尻で復活した。ここから長野までは某査読をしよう。
- 松本過ぎから再び天気が悪化し,低い黒雲から横殴りの雨が窓を叩くようになった。天竜川のとは別の「龍神様」であろう。天気をこういう見方ができるって楽しいことだ。『雲の王』に感謝。それにしても,Willcom03で流しているAikoの『時のシルエット』が,偶然「雨は止む」にさしかかったのはできすぎだろう。
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