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【第1377回】 土曜だが今日も出勤。途中で『青い海の宇宙港 秋冬篇』を読了(2016年8月20日)
- 6:00起床。タマネギとカットしめじと鶏もも肉とオリーブの実をオリーブオイルで炒め,マリナーラソースを掛け,別に茹でた生パスタに絡めて朝食を済ませてから出勤。
- バスの中で,長野に行く途中で買って移動中に読んできた,川端裕人『青い海の宇宙港 秋冬篇』早川書房,ISBN 978-4-15-209630-2(Amazon | honto | e-hon)を読了。何よりもまず,春夏篇に続き自然描写とロケット絡みの描写が素晴らしかった。『夏のロケット』と負けず劣らずのワクワク感ある内容で(近未来の話だが,何せ小学生が深宇宙に向かう宇宙機を作って打ち上げてしまおうというのだ),宇宙探検隊の小学生4人組はメチャクチャにキラキラしている。新しいことをやろうとしたときに失敗を恐れて(というよりは責任を取ることを恐れて)抵抗勢力になろうとする「大人」の壁とのしなやかな戦い方も素晴らしい。ただ,かつて『夏のロケット』を読んだときに「混ぜてくれよー」と思ったほどには没入できなかった。これは主に読者としてのぼくが年を取って,既に自分の子どもも成人してしまったからで,たぶん10年前に読んだら,より楽しめたに違いない。逆に言うと,ぼくと同じように年を取りながら,昔と変わらないワクワク感や少年の眼差しを持ち続けている川端君は凄いなあと思った。この近未来SFが現実性をもって成立するための仕掛けとして,4人組は誰もがそこらにはいないよなあと思われる才能をもっているのだが,中でも最も宇宙人的な本郷周太君の,リアクションホイール(注:自転車タイヤを使ったモデルで説明したという描写だけでは宇宙ゴマ……って地球ゴマだよな……の原理はよくわからない読者が多いと思うが,Wikipediaの説明が詳しくて,それを読んだら何となく宇宙船で姿勢制御に使える仕組みがわかった)4つを協調動作させて自律的にリアルタイム姿勢制御させるコードを自力で書いてしまったという天才っぷりは,あまりに凄すぎるのではなかろうか。リアルタイム制御のための,かなりハードウェアよりな割り込み制御とか低レベルなハードウェア操作をコーディングしないと(それが簡単にできるAIモジュールが汎用化された言語がどこかの天才によって開発されていて,その言語を使って書いているみたいな裏設定があるのかもしれないが),普通は無理だよなあ。まあそれだけの天才だから世界中の注目を浴びるという後日談の描写もあるので(秋冬篇だから宇宙遊学が終わる3月の小学校卒業で話が終わるかと思ったら,半年後,1年半後,3年ちょっと後がフォローされていて,これがまた良いのだった),物語としては筋が通っているが。
- まあそういうわけで,普通に読んでも楽しめる作品だと思うが,蛇足ながら,以下細かいところにいくつか触れておきたい(本書を未読の方は見ない方が良いと思う)。(1)p.27の「島の小学生、ロケット・ガールズ・アンド・ア・ボーイ」は,『スウィング・ガール』へのオマージュか。(2)p.69の「この日、朝、見上げた空が高かった。」から始まる一節は,理屈でない行動の動機について感覚的に理解するための文学的表現としてなら納得するのだが,理屈としても燃焼試験は高気圧に覆われた快晴の日の方が適しているのだろうか? (3)p.100で「ネットの書き込みが汚い」として例示されている文章が,微妙にネットの匿名バッシングとは表現が違う気がする。(4)p.193の議員の言葉「年末年始は議会も休みだし、町役場も休み。おおやけのことは何も動かない。でも、多根南町ではそんなときに、物事が決まる」は至言。架空の多根南町だけでなく,日本社会は往々にして非公式な飲み会や根回しで物事が決まっていく。夢に溢れた少年少女を主人公にしたこの作品で,こういう現実とぶつからせる設定は素晴らしい。(5)p.206の宇宙港職員の言葉「実は多根島って、世界でも一番古い罠猟、落とし穴の遺跡があるところなんだって」を読んで,落とし穴が遺跡として残るのだろうかと疑問に思ったが,調べてみたら茅野市の笹原上遺跡という縄文遺跡には縄文時代の落とし穴が残っていた。たぶん,川端君が現在実験航海プロジェクトをやっている海部さんにナショジオでインタビューした記事がネタ元か。3万年前の落とし穴が日本にだけ残っているのか。(6)p.242で蜘蛛の巣に絡まったオトシブミの揺籃を見たところで,宇宙探検隊の1人である駆君はどうして突然「おやじ、学校に行く。希実たちが来てると思うから」という気持ちになったのでしょうか? という国語の問題を出すのに良さそう。(7)p.249のセイルの裏の描写「それが、ぱっと見にはなにかの海賊旗みたい」というところを読んで,いきなり絵が脳裏に浮かんできた。実写かアニメにしたら映えるシーンだなあ,たぶん。(8)p.266「火工品」という言葉は知らなかったが,ウィキペディアを見てわかった。そういう意味か。(9)p.271「風に吹かれて飛んでいく、帆をもった種子だってありますからね」はカエデとかニワウルシみたいな奴のことか? (10)p.283の地面から宇宙の果てまでイメージが膨らんで繋がる描写が素晴らしい。
- 某学会から仕事メールが入ったので,まずはそれを済ませる。18:00頃済んだ。今日のドラゴンズは小笠原投手が筒香選手に浴びた1発に負けた試合だった。9回は得点圏打率0.364の杉山選手にそれより得点圏打率の低い代打を出すという采配が謎だったが,何か別のデータがあったのか?
- 別の仕事をしていたら19:00を過ぎてしまったので,土曜の直通終バスは終わってしまった。今日も湊川公園か神戸駅廻りだ。食べてから帰るかなあ。
- というわけで,久々に湊川公園のCoCo壱番屋で晩飯。夏カレーとシーザーサラダとアイスカフェオレを食べたので満腹になった。
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