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【第1539回】 今日も東京出張(2017年3月21日)
- 6:30起床。昨夜のおかずを温め直して白いご飯に合わせて朝食。今日は日曜出勤の代休になっているのだが,年に一度の『人口問題研究』の編集会議のため,所外編集委員の1人として社人研に出張。往路が9:20神戸空港発のSkyMark,復路はSkyMarkの最終便なので,今日も東京で時間がありそうだが,社人研の場所から東新宿は遠いので,「パセラのコワーク」みたいな場所が内幸町・新橋界隈か羽田空港周辺にないか探してみよう。
- 東京都の中央卸売市場の豊洲移転問題で,移転推進派は,安全と安心の対立という構図に持ち込んで幕引きをしたがっているようだが,前から書いているように,間違っていると思う。第一に100%の安全なんて言う人は科学者ではないし,実際に専門家会議の人は誰もそんなことは言っていない。専門家が言えることは,リスクを容認可能なレベル以下に抑えるという意味での「安全」である。しかも,今回の専門家会議には現時点での評価しか求められていないため,経年劣化によって今後どのようなリスクがありうるのか定量的には評価していない。石原慎太郎氏は,「文明論」という言葉を持ち出すことによって,豊洲の安全性に少しでも懐疑を表明すること=非科学的というレッテル張りをした。しかも,安心は定量化できないのかといえば,そんなことはない。CVMという手法を使えば,安心を金銭に換算できる(例えば,「いくら補償金を貰えば安心できなくても良いですか」とか「安心するためならいくら払いますか」と聞けば良い。その際,ステークホールダーは東京都や市場関係者や周辺住民だけでは無く,市場で扱われる食品を食べる可能性がある一般住民を含まなくてはいけない)。一方,安全もかなりラフだし医療など別の要因が絡むけれども金銭に換算することはできるので,全体としてのコストベネフィット分析やリスクベネフィット分析は可能なはずだ。その上で,例えば豊洲を住宅・病院・食品市場のような化学物質の経時的曝露やvulnerableな人が曝露する可能性がある用途ではなく,それ以外の用途,例えば処理場や工場や工業製品の倉庫から複合商業施設とかテーマパークとか競技場とかまで含めて利用シナリオごとに結果を試算し,築地の改修(それにもいろいろなレベルがあるはずだ)をした場合はどの程度の費用が掛かるのかを試算し,築地を潰してオリンピックのために通す予定の道路を別のルートを通すとどうなるのかを試算し,戦後工場だったことがない場所に移転した場合はどうなるのかを試算し,と積み上げていけば,ありうる組合せのシナリオごとにいくつかの主要アウトカムを提示することができるはずだ。本来,大規模な環境開発はこの手続きを踏んで進めるべきで,CVMもせずに意思決定したこと自体が筋が悪い。
- これも既に書いたが,「ここまで金を掛けて一定レベルの安全は確保したから早く移転すべき」という議論の難点は,移転後に経年劣化によって地下に散在するホットスポットからベンゼンやシアンが気化して地上に出てくるようになった場合に健康被害が出たり再移転しなければならなくなるコストを無視していることだ。有明海の水門封鎖で作られた干拓地には当初想定したほどは農民が来てくれないだろうし,酸を中和してまで八ッ場ダムを建設しても,当初想定したほどには人口も産業活動も盛んにならず水需要がない可能性が高いだろうとわかってからも,「ここまで金を掛けて水門作ったし」「ここまで金を掛けて道路引いたし」「もう工事を受注できる見込みで投資したし」という論理で事業が継続された挙げ句,有明海の漁獲高が激減するという悲劇に至った。高レベル放射性廃棄物の安全処理技術が開発されない限りは原発もそうだと思うけれど,筋の悪い事業を止めるのに遅すぎることはない。いくらそれまでにコストを掛けていても,その後にそれ以上のコストや潜在リスクが増えることを防げるならば,それまでに掛かったコストは捨てても良いと思う。大事なのは,前述のアウトカムを見た上で,この選択をステークホールダー全員が議論して進路を決めるべきという点で,それこそが本当のリスクコミュニケーションだということを知って欲しい。リスクコミュニケーションの意義を矮小化した議論は疑って掛かった方が良いと思う。
- 地理的にはBasisPoint新橋店が良さそうだが,値段はパセラのコワークより若干高め。プリンタ利用料も別だし。ニュー新橋コワーキングの方が安いが,プリンタが使えるかどうかの情報が見つからない。
- しあわせの村出口付近が渋滞しているため,しあわせの村始発の3系統のバスは遅れるという掲示がバス停にあったが,それにしても三宮行きのバスは想像以上の遅れだった。早めに出て良かった。今日は神戸も東京も雨だそうで,飛行機の揺れが予想されるというアナウンスがあったが,それほどでもなかった。羽田空港から京急と都営地下鉄を乗り継いで内幸町で下車すると,社人研は地下通路で繋がっているビルにあるので雨に濡れないのが利点だ。駅ビルの鶏料理屋に入り,ミニ唐揚げ丼と担々麺のセットにサラダをつけてちょうど千円というのはリーズナブルな昼食だった。コンビニで缶コーヒーを買って6階の会議室へ。
- 50分ほど待つ間にメール受信したが,返事を打っている途中で会議開始になってしまった。大きな問題もなく終わったので,そのあと少し事典関係の打ち合わせをしてから(国民生活基礎調査が日本のDHSに当たるという指摘は目からウロコだった)新橋駅方面へ。
- コワーキングスペースを探そうと思っていたのだが,雨で気持ちが萎えてしまい,早めに空港に向かうことにした。新橋駅から都営浅草線と京急を乗り継いで羽田へ。発券してから,SkyMark側の手荷物検査場のすぐそばにある店でカフェオレを飲みつつメールの返事を打ったら18:30になった。あと30分ほど作業をしてから手荷物検査場を通るつもり。
- ゲートが変わって,ボーディング開始も若干遅めだったと思うが,ともかくも帰還。
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