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【第394回】 一日講義の日(2020年5月14日)
- 7:00起床。76.40kg。
- 厚労省に承認された抗原検査は鼻腔スワブを使うのか。rRT-PCRより感度は低いのだから,即時性と簡便性だけがメリットだと考えたら,むしろ唾液サンプルにすべきだろう。しかも国内臨床検体では特異度98%では,陽性という結果も信頼できない(リンク先資料は陽性判定なら確定診断とすると書かれているが大丈夫か?)。さらに,陰性という結果が出た場合は確定診断とならず症状があればrRT-PCRに掛けねばならないとすると,rRT-PCR自体の負荷を若干減らす効果はあるかもしれないが,全体としてはかえって手間は増えることになるのではないか。このレベルの検査性能では歓迎できないなあ。
- 午前中はSocial Determinants of Health: The Solid Factsの各章のトピックを講義に参加している院生に担当して貰い,各トピックの最近の事例を含めて紹介して貰ったが,social gradientとかsocial supportがcovid-19でどう変わったのかという視点も入っていたりして,充実した時間となった。
- 3コマ目の人口学は死亡の指標とその標準化,及び生命表の話であり,盛りだくさんなので喋り倒して大変疲れた。
- 4コマ目の医療人類学はlightening talkだったが,意外に長く喋る院生が多くて(5分厳守を予め徹底しておけば良かったが,準備してきたものをカットするわけにもいかず)時間オーバーしてしまった。しかしいろいろなculture gapの事例が紹介されて,こちらにとっても大変面白かった。
- すべて遠隔だと移動の時間がないので,17:00からの検査専攻の会議に久々に参加できた。
- 次は18:30からミーティング。合間を使ってライフで食材を買ってきた。
- ラオスでの研究計画についてディスカッションしているうちに,新しいデータリポジトリがあることに気づいた。これいろいろな地域で使えるかも。使ってみて良さそうだったらここでも紹介する。
- インフルエンザと肺炎による超過死亡の速報が感染研のインフルエンザ関連死亡迅速把握システムによる報告として公表されているが,計算の仕組みについて十分な説明がリンクされていない(2015年の人口動態統計の目的外使用によって得たデータを使っていることはわかったが)。大日さんがやっているらしいのでいろいろ検索したら,この論文(working paper)に書かれている方法を使っているようだ。時系列の自己相関を使うモデルだがいろいろ複雑なので,数人閾値を超過したからといってどういう意味があるのか解釈することは難しい。
- 専門家会議記者会見で尾身先生が言われている,WHOが出している検査陽性率3-12%なら検査体制が合理的というのはソースが見つからない。どういうロジックなんだろう? 抗原検査も良さが強調されているのだが上記の疑問点はどのメディアも訊いてくれないのでわからない。とくに,陽性率3-12%にしてしまったら抗原検査で確定診断が付くケースなど大勢に影響しないのではないか。いろいろわからない。
- TwitterでWHOの陽性率のソースについての疑問を書いたら,すぐに何人かの方が教えてくださった。3月30日のMedia briefingにおけるMKの発言(55分あたり)らしい。文章を読むとだいぶニュアンス違う。広範囲に検査した地域では3-12%くらいになっていたという経験値を紹介した発言で,その後も読むと10%以下なら見当違いな対象を検査してるのでない限りすべての患者を捕捉できていて,80-90%陽性なら相当見逃しがあると言っているが,その間については条件次第という感じで,3-12%に収めることが検査体制の目標というわけではない。
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