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【第396回】 講義準備(2020年5月16日)
- 6:30起床。76.15 kg。外は雨。
- 来週と再来週,保健統計学特講の担当があるので,その準備が必要。
- ナショジオ連載第5回。
- Scienceの論文,Dehning J et al. "Inferring change points in the spread of COVID-19 reveals the effectiveness of interventions" DOI: 10.1126/science.abb9789(2020年5月15日)は,短期間のモデル予測に基づいてタイミングがクリティカルな封じ込めや緩和といった介入戦略が取られているが,そのとき重要なのは,介入戦略の効果がまずどのように表れるかをどうやって評価するかなので,SIRモデルのパラメータ推定をMCMCで行い,時間依存する感染拡大速度(この論文ではSIRモデルのdS/dt=-λSI/Nという立式をしていて,このλを感染拡大速度[spreading rate]と呼んでいる。βを使うことが多いと思うが,感受性者と感染者の接触に比例して感染が起こる確率を示すと思えば良い。通常定数で考えるが,この論文ではλ(t)と時間依存して変化するとしている)もパラメータに入れたというもの。報告数ベースのドイツの感染者数データについて,感染拡大速度パラメータの変化点を3つ見つけたとし,1回目が3月7日頃の0.43から0.25への低下で,最初に政府が大規模集会のキャンセルと注意喚起を公衆に訴えたタイミングと一致しており,2回目は3月16日頃の0.25から0.15への低下で,学校や店の閉鎖を含む2度目の政府介入のタイミングと一致し,その時点でλ-μが0.02とゼロに近づいたもののまだプラスだったが,3月24日頃,3回目のλの変化として0.15から0.09に低下したのは(それによってλ-μが負になり新規感染者が減り始めた),政府が対人接触を禁止し生活必需品でない物の商店はすべて閉鎖と発表したタイミングであったとのこと。モデルの骨格は単純だがScienceに載るのだなあ。
- Marc Lipsitch教授がtweetで触れていたのは,Holmdahl I, Buckee C "Wrong but Useful — What Covid-19 Epidemiologic Models Can and Cannot Tell Us" DOI: 10.1056/NEJMp2016822(2020年5月15日)というNEJMのPerspective。すべてのパンデミックモデルに間違いはあるが役に立つ,という話。
- 今夜21:00からNHK総合で『路~台湾エクスプレス~』が始まる。吉田修一『路(ルウ)』文春文庫のドラマ化。音楽が清塚さんだし主演が波瑠さんだし,これは見るしかなかろう。土曜スタジオパークにも波瑠さんが出て番宣をされるようなので,昼飯を遅らせよう。
- 安井翔太(著)株式会社ホクソエム(監修)『効果検証入門:正しい比較のための因果推論/計量経済学の基礎』技術評論社,ISBN 978-4-297-11117-5(Amazon | honto | e-hon)は,1月末に入手したのだが,ずっと読む暇が無かった。けれども,傾向スコアとかDIDとかRDDを丁寧に例を使って説明してくれているし,とくにDIDについて,疫学では有名なSnowの自然実験に出てくる2つの水道会社(S&V社とL社)別のコレラ死者について,Snowが使ったどちらの会社からの給水もある地区での1854年のコレラ死亡率の会社間比較ではなく,L社もテムズ川下流から採水していた1849年からの変化を2社間で比較するためにDIDを使って分析する方法を示してくれているのが面白い。
- RでDemographic and Health Surveysのデータを利用するためのパッケージrdhsというものがあるのを見つけた。もちろんDHSへのユーザ登録を予め済ませておく必要があるが,DHSでダウンロードできるデータ形式はテキストファイルかSTATA形式かSAS形式かSPSS形式なので,このパッケージを使う方が便利かもしれない。ともあれ,かつて登録したアカウントがまだ生きていたので,インドネシアの2017年のDHSデータをダウンロードした。とりあえず火曜午後の保健統計学で示す例として使ってみよう。
- BS-TBSのSound Inn Sのリモート収録ライブは素晴らしかった。しかもYouTubeで視聴できる(上白石萌音「瑠璃色の地球」,藤井フミヤ「True Love」,Little Glee Monster「明日へ」,渡辺美里「時代」)とは太っ腹。なぜか,二胡が大変素晴らしかった大原櫻子「Reflection」だけBS-TBSチャンネルにないので,Paraviの価値はあるのだろうが,5曲中4曲がYouTubeでフリー公開とは英断。リトグリの「明日へ」はフルコーラスだしストリングスアレンジだし,テレワークなのにもかかわらず,これまでの「明日へ」の中でも最高レベルのパフォーマンスだった(まあ,いつも良いのだが)。
- 路は良い映像だったし,清塚さんの音楽は流石だった。エンディング曲(Chendy「つながる心」)はリトグリのMAYUが好きそうなC-Popっぽい仕上がりになっていて,サントラないか探したが,まだ販売されていないようだ。原作と設定が大きく違う点が1つあったのは,プロローグが現代になっていたことと関係あるのだろうか? あと,原作未読の人には,エンドロールの役名を見ても,それがCrystalのウェイターの名前であるとわからなかったのではないだろうか。あと2回が楽しみ。
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