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【第582回】 一日講義(2020年12月3日)
- 7:00起床。79.45 kg。
- 今日は木曜なので丸一日講義だが,5限だけは講義がないので,その間に区役所に行って,熱帯医学会から求められている印鑑証明をとってこなくては。国際保健医療学会は住民票の写しだったが,学会によって理事就任に際して求められるものは違っている。人口学会や健康学会やオセアニア学会のように法人化していない任意団体のままだと,そういうものは何も要らないのだが。
- twitterで昨夜の続きのメッセージが来ているが応答している時間が無い。
- 公衆衛生セミナーで最初に紹介された論文は,用語法と文献引用が不適切なところがあった。pregnancy rateはfertility rateとは違うし,thematic analysisの説明として引用している教科書にはthematic analysisの説明がほとんどないので,むしろこれとかこれでも引用しておいてくれた方が良くわかる。最後に紹介された論文は,母子保健目的にまとめられた二次的な文献データベースMASCOT/WOTROを使って,特異的なPICOを立てて二段階目の検索をして行われたレビュー(方法論としてはここに書かれていた)。こういうのもあるのだな。
- 昨夜のtwitterのやりとりをリンクしておく(多すぎて拾いきれなかったかもしれないが)。ぼくが数日前にtweetしたHCQ残念という論文紹介へのコメントとして,日刊ゲンダイ記事の紹介→記事への疑問点をご返事→記事への疑問は同意するけれどもCQ/HCQが有効というエビデンスを紹介しているサイトもある(当該サイトはc19study.com)→サイト紹介感謝,ただ精査してみないと何とも(当該サイトは早期治療なら100%有効とまとめているが,この論文はRCTの結果,「軽症患者にはno benefit」と言っているし,この論文も無症状患者へのRCTで感染を減らす効果が無く有害反応発生が多いとしている)→外来患者への治験結果の論文の紹介(力尽きてご返事できなかったが,ちらっと目を通した限りでは穴が多く決定的とは思えなかった),政治的バイアスの指摘と古くから利用されている話,早期からHCQを投与すれば入院しなくても済むとコメント頂いたが,眠さに負けて答えきれなかった。政治的バイアスはあるかもしれないが,マラリアの予防や治療に使われてきた用量とCOVID-19に対して治験を試みて効果があるかもしれないとされている用量は違うので,古くから使われてきたから安全とは言い切れない。もちろんぼくもCQ/HCQがマラリア予防や治療に使う用量で有効だったら安価で安全なGame Changerになると思って2月くらいから期待はしてきたが,トップジャーナルに発表される論文を追ってきた限りでは,見込みは低そうだというのが今の実感。
- このプレゼン資料のスライド7のグラフからわかるように,シンガポールだけ極端にCFRが低そうなのだが(日本や韓国と欧米の差はそれほどない),そういえばチャンギ空港の売店では抗マラリア薬が簡単に買えたなあと思い出し,もしシンガポールだけCQかHCQが標準治療に使われているとしたら,かつ,それがCFRの低さを説明するとしたら,CQ/HCQの有効性を支持するかも? と思いついて調べたが,シンガポール政府保健省の公式見解では非推奨となっていたし,新聞記事でもHCQによる治療計画はないと書かれていたので,そういう説明は成り立たなそうだ。というわけで,シンガポールのCFRの低さの謎は未解明なまま。
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