BMJのEditorialでSupport for self-isolation is critical in covid-19 response(2021年1月27日)という文章が出ている。ざっと目を通した感じだと,家庭内や施設内での集団感染のリスクに触れ,感染者の自己隔離の重要性を説明した後で,Wilson and Jungner (1968)のスクリーニング実施基準に触れ,どういった場合にスクリーニングが正当化されるのかという問を立てて,自己隔離への的確なサポートが政府によって提供されることが決定的だと論じているようだ。
COVID-19パンデミック下での"New normal"は頻回な手洗いとかアルコール消毒といった衛生改善をもたらすので,腸内細菌などのヒトの常在微生物相にも影響するだろうとは思っていたが,Finlay BB et al. "The hygiene hypothesis, the COVID pandemic, and consequences for the human microbiome"(ProNAS,2021年2月9日号)は,そういう視点でのPERSPECTIVE論文。衛生的で抗生物質を多用する都市生活につれてヒトの常在微生物相の多様性が低下し,先祖がもっていた常在微生物相とは違ってきたことが糖尿病や肥満の増加といった健康影響をもたらすというのが衛生仮説(hygiene hypothesis)だが,COVID-19がもたらした社会変化がどういう経路で微生物相に影響するのかというフレームワークは興味深い。Figure 1とTable 1が面白い。