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【第752回】 保健学同窓会の講演会にオンライン参加してから豆匠に行ってくる(2021年5月29日)
- 6:00起床。81.50 kg。
- 今日も良い天気だ。珈琲豆が尽きたので後で豆匠に行かねば。10:40からの保健学同窓会が終わった後になるが。
- Lu JG et al. "Collectivism predicts mask use during COVID-19"(ProNAS,2021年6月8日号)は,米国内でも州ごとの集団主義傾向(Vandello and Cohenの論文によるが,Tightness-Loosenessも調整した)が,COVID-19の影響の大きさと州政府の厳格さを調整してもマスク着用頻度(NY Timesの調査による)と正の相関関係をもつことと,世界29の国と地域でも集団主義傾向(Hofstede's indexとGLOBEのin-group collectivism indexによる)とマスク着用(YouGovのデータによる)が集団単位でみても個人単位でみても正の相関関係をもつこと,FacebookとMITが協力して実施した,世界67の国と地域の人々の調査でも,国レベルと個人レベルのどちらでも,集団主義傾向と個人のマスク着用とコミュニティにおけるマスク着用についての認知の両方が正の相関関係をもつことを示している。マスク着用と文化の関係が量的にクリアに示されていて興味深いので,来週提示するMedical Anthropologyのディベートのネタに絡ませよう。
- 保健学同窓会の総会は会計決算と予算と名簿の話が主だった。講演会は,例年そうだが,まず前年度の卒業研究受賞者2人の話があった。調査系はPFAのタガログ語訳を作ってe-learningと対面で教育し,自信と知識への効果をみたという話で,大変興味深かった。実験系はある遺伝病のモデルとなる遺伝子組み換えマウスを作って頭蓋骨ごしにCaチャネルの発火か何かを撮影したという話らしかったのだが,ぼくの理解力が追いつかず,詳細までは理解できなかった。人類遺伝の2019年度からの新しい教授である藤本先生の話は,自分も共著者に入っているEDAR1540多型の話(Fujimoto A, Kimura R, Ohashi J, Omi K, Yuliwulandari R, Batubara L, Mustofa MS, Samakkarn U, Settheetham-Ishida W, Ishida T, Morishita Y, Furusawa T, Nakazawa M, Ohtsuka R, Tokunaga K. (2008) A scan for genetic determinants of human hair morphology: EDAR is associated with Asian hair thickness. Human Molecular Genetics, 17(6): 835-843.)から始まったが,大変わかりやすくて面白い。それにしても,次世代シークエンサーは物凄い技術革新で,これくらい桁が違うと,たんに速さというか量が違うだけではないな。変異検出アルゴリズムの開発の話も詳しく聞きたかったが,軽く触れられただけだったのは残念だった(話全体からするとあまりにマニアックな部分だから仕方ないが)。TERT遺伝子への構造以上の集積ががんに関わるというのは,なるほどそうかという感じ。三次元の変異の偏りの検出はpermutation testと書かれていることからすると,シミュレーションをしたのだろうか。血中ダイオキシン濃度と子どもの突然変異数の弱い相関という話,ダイオキシン濃度が低いのに変異が多いケースはどういう原因が考えられるのか気になった。次世代シークエンサーの弱点という話も知らなかった。マイクロサテライト領域の変異検出や中間サイズの欠失/挿入の検出は難しかったのか。であるならば,それらの検出法を開発したというのはゲノム疫学への貢献として多大だなあ。長鎖シークエンスのゲノム解析のCAMPHORという方法を開発したという論文は今年発表されたそうだ。今後SARS-CoV-2とヒトゲノムの関連(変異株ごとのsusceptibilityの多様性みたいな話か?)も研究する予定とのことだったが,ウイルスには急速に変異が蓄積するので,研究デザインが難しいだろうなあ。ともあれ,大変面白い話だった。ありがとうございました。
- ドラゴンズとファイターズの試合は二転三転したが7-4で勝利。福留選手が大活躍だった。
- その後,人口学会仕事をしながらU-NEXTで日比谷音楽祭を視聴中。CH3のOAUもCH2の上妻宏光さんも素晴らしかったが,18:30からのCH1のセッションは最高じゃないか。だんだん夜が深くなっていく野音の感じも良いなあ。
- 人口学会の仕事が終わったので,次は院生からの相談メールに返事を打たねばならないが,ちゃんと考えなくては答えられないので日比谷音楽祭が終わってからにしよう。日比谷ブロードウェイの皆さんによるThis is meを堪能した後(とはいえ,この曲は脳裏にカトレアちゃんのカラオケ番組での歌唱のインパクトが染みついてしまっていて,凄いミュージカルの方々の歌唱なのに若干物足りなく感じてしまったのだが),リトグリが登場して「VIVA」からmanakaリードでの「風をあつめて」に突入し,サビの圧倒的なハモリから2番はアサヒリードという構成に酔った。3番はMAYUリード。これはこれで良いなあ。というか,松本隆トリビュートアルバムの収録曲は,たぶん間違いなくこれなんだろうな。終盤の原曲にはないスキャットでのハモリも大変良かった。亀田さんが実行委員長であるからには当然セットリストに入ってくると思ったが,次の曲がバンド演奏初披露という「Dear My Friend」で,Pentatonixの声が入らないのもある意味新鮮だったし,事前に収録したという客席から期待されるコーラスが重ねられたのも大変良かった。次がトリということで,いきものがかりが登場したが,野音が初めてというのは意外だった。「TSUZUKU」って良い曲だな。最後に,今日初披露するために亀田さんといきものがかりが共作したという「今日から、ここから」をここまでに出演した全員で歌うという演出が素晴らしかった。こうやって聴くと,やはりミュージカルの人たちの声の深さと声量は凄いなあ。
- 少し文献を拾っておく。
- Liu Y et al. "Associations between changes in population mobility in response to the COVID-19 pandemic and socioeconomic factors at the city level in China and country level worldwide: a retrospective, observational study"(The Lancet Digital Health,2021年6月1日)は人流抑制と社会経済状態の関連の分析。
- Wood SN et al. "Need for and use of contraception by women before and during COVID-19 in four sub-Saharan African geographies: results from population-based national or regional cohort surveys"(The Lancet Global Health,2021年6月1日)はサハラ以南のアフリカでCOVID-19の前と流行後の女性の避妊の必要性と使用というタイトル。
- Vitale J et al. "Assessment of SARS-CoV-2 Reinfection 1 Year After Primary Infection in a Population in Lombardy, Italy"(JAMA Internal Medicine,2021年5月28日)は,1年経っても再感染はほとんどしていないというデータのようだ。
- Cheng Y et al. "Face masks effectively limit the probability of SARS-CoV-2 transmission"(Science,2021年5月20日)はマスクがSARS-CoV-2の伝播確率を効果的に限定するというタイトル。最近似たような論文を読んだ気がするが気のせいか。
- Jones TC et al. "Estimating infectiousness throughout SARS-CoV-2 infection course"(Science,2021年5月25日)も面白そうなので後で読む。
(list)
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