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【第1123回】 試験問題作成の続き(2022年7月28日)
- 7:30起床。83.30 kg。うーん。
- WHOはこれまで2回、IHR2005に基づくmonkeypox検討会合をしているが、7月23日の第2回でもPHEIC宣言はしなかった。そもそもmonkeypoxは以前から人獣共通感染症として知られていて、主に接触感染と飛沫感染が伝播経路だというのが常識だったし、感染力がそれほど高くない感じの広がり方であることを考えても、たぶん封じ込めは可能だと思われる。昨今の国境を越えた感染拡大については、airborneという伝播経路を無視すべきではないのでは?というレターが2022年7月5日にInternational Journal of Surgeryに載っていて、ウイルス疾患だしそういう変異が起きる可能性は常にあるが、仮にairborneだとしてもCOVID-19の対策と同じだから、取り立てて追加で行えるNPIsはない。これまでもmonkeypoxが動物からヒトに感染してアウトブレイクが起こることは何度かあって、2018年には第3世代の天然痘ワクチンをコンゴ民主共和国(DRC)でヘルスケアワーカーに接種したこともあり、もう少し感染が広がったとしても対処するための知見や手段は蓄えられていて、2020年初めに新興感染症として出現したCOVID-19とはまったく違う。そんなに騒ぐようなものではないと思う。むしろ、各国政府が常在化した感染症としてなし崩し的に受入れさせようとしているCOVID-19が、日本の人口規模からすると、毎年1000万人以上が感染して5万人以上亡くなるような病気となって定着しても良いのか? をちゃんと議論すべきではないか。そういうロングスパンの見通しをもたずに日々の感染状況に対する対処だけ考えるのは無理がある。
- COVID-19の新規感染確定報告数の推移グラフを提示しておく。確かに現在の日本の状況は、片対数グラフで直線的に増えているから、指数関数的増加中ではあるのだが、その前の底だった時点でも第4波までのピークより多い新規感染報告数があった点に注目すべき。周期的な流行の間はほとんど患者がいないという意味での流行病(季節性インフルエンザとか水痘とか麻疹といった多くの感染症は、日本ではそうなっている)ではなく、増減はあるものの常に一定の新規感染者がいる(ほとんど重症になったり死亡するリスクがないため誰も受診しないので確定診断はついていないが、「ただの風邪」はそう)という意味で常在化したと言えそう。一週間の新規感染者数が先進諸国中トップになったと報道されているが、欧米も抑え込みや終息に成功したわけではなく常在化の中で変動しているだけで、トップかどうかにはあまり意味は無いと思う。台湾はピークアウトしたようにも見えるが、実情をちゃんと見てみないと何ともいえない(なぜかいつの間にかUKのグラフが作れなくなっているのだが、原因はまだ調べていない)。
- Dr. Eric Topolが4回目接種をすると3回接種までの人に比べて死亡率が下がるという論文5本をまとめたtweetsをしている。元論文を読んでみないとどう解釈べきかはわからないが。
- 試験問題を作っていたが完成しないまま定例ミーティングに突入。その後も相談に答えていたら21:30を過ぎた。帰宅したら22:00を過ぎていて、これから食べると太るんだがなあと思いつつレトルトカレーを電子レンジ加熱して玄米ご飯に掛けて晩飯。うーん。
- 7月22日付けで人口動態統計の5月速報と2月月報(概数)が出ていた。速報では2月と3月に前年より大幅に増えていた死亡が、4月と5月には例年並みになったことがわかる。これがCOVID-19の感染者数急増による医療キャパオーバーと連動しているとしたら、7月の死亡数も例年より大幅に多くなってしまう可能性がある(12月になればデータが公表されるので確認できるはず)。月報に掲載されている死因別死亡を見ると、COVID-19による2月の死亡者数が2021年の2,159人から2022年には6,503人に増えている(1ヶ月だけで、2019年までのインフルエンザの年間死亡数の倍以上に達している)のが目に付くが、他の死因では(数が少ないため偶然変動が大きい死因を別にすれば)、高血圧性を除く心疾患が前年の18,804人から22,670人に増えていること、呼吸器系疾患が14,333人から16,180人に増えていること、老衰が11,769人から14,923人に増えていることが目に付く。割合としては不慮の事故も増えていて、ある程度、医療キャパオーバーによる治療の遅れが影響した可能性を裏付けていると思う。ワクチン接種のおかげもあってCFRが下がったとはいえ現在程度の高さがある状態では、「ただの風邪」のように医療を受けないことにするわけにもいかず、かなり八方塞がりなのだが、こういう事態を招かないためには、やはり感染者数を一定程度以下に抑えるしかないのではないか。欧米が対策を諦めても、それに追随すべきではないと思う。
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