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【第1347回】 講義とか会議とか(2023年5月9日)
- 7:00起床。
- 名谷キャンパスへ出勤し、まずは保健行政論の講義で医療経済学の話をした。
- カップ麺で昼飯を済ませ、午後はアジア・オセアニア部門の中国関連の打ち合わせ会議。前途多難で頭が痛い。
- COVID-19が昨日から5類になったという話だが、5類でも麻疹のように直ちに(=24時間以内に)全数報告するものもあれば、季節性インフルエンザのように1週間ごとに定点医療施設からだけ報告というものもあるので、COVID-19はどちらなのか調べたら後者だった。この点もテレビはあまり報じていないように思う。厚労省サイトの新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応についてからリンクされている厚生労働大臣公表文書(2023年4月27日)に、「患者の発生動向等の把握については、位置づけ変更後は、感染症法に基づく定点医療機関による新規感染者数の報告が基本となりますが、これに加えて、血清疫学調査(抗体保有率調査)や下水サーベイランス研究等を含め、重層的な確認を行っていきます」と書かれていて、全数ではなく定点把握になったことがわかる。たぶん「重層的な確認」が、WHOの臨時暫定ガイドラインの第3項に書かれていた「包括的な状況認識」に対応するという建付けなのだろうが、血清疫学調査や下水サーベイランス研究では広域すぎて、施設や大規模集会等での局所クラスター発生を見逃すリスクがありそうだ。感染症法施行規則の第3条を見ると、感染症法第十二条第一項に規定する「厚生労働省令で定める場合(=ぼくの日本語解釈が間違っていなければ、報告しなくても良い場合)」に該当するのが、入院を要しない場合や重症化のおそれがない場合となっているので、医師が診断しても報告されない症例が増えることは否めない。季節性インフルエンザ定点にはこのような除外条項はないので感染者数が過小評価されないが、この規定だとCOVID-19の感染者数はかなり過小評価されてしまい、CFRがとんでもなく大きな値になってしまいそうで心配になる。あと、e-govの感染症法第6条第6項9号と、感染症法施行規則第1条に書かれている疾患が5類なのだが、現時点では、どちらにもCOVID-19が含まれていない。どちらに入るのかわからないが、早く更新してほしい。大臣公表文書にも参考資料にも、5類にするとは書かれているが、どちらにするのか明記されていないのは残念だ。
- もっとも、感染症法第6条第7項第3号で、新型コロナウイルス感染症(新たに人から人に伝染する能力を有することとなったコロナウイルスを病原体とする感染症であって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)が新型インフルエンザ等感染症に含まれると書かれてしまっているので、COVID-19が「国民の多くが免疫を獲得したことで全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれ」が無くなって新型コロナウイルス感染症に該当しなくなったという建付けにするしかないはずなので、感染症法第6条第6項第9号か感染症法施行規則第1条のどちらに入れるにせよ、新型コロナウイルス感染症とは書けないことになり、どういう病名表記にするかが議論になっているのかもしれない。施行規則第3条の「新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。)」という表記も混乱の元だし。法律の文言でもCOVID-19と書くことになるのだろうか。
- 感染者数等の情報の公表スケジュールを見て、データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-を確認したら、「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけ変更に伴い、2023年5月7日分のデータが、本サイトの最終集計値となっております。最終更新日(2023年5月9日16時)以降、本サイトのデータは更新されていません。」というメッセージが赤バックに白抜きで表示されていた。感染研の定点サーベイランスの1つとして何週間か遅れで公表されることになるのだろうが、それではアウトブレイク時の対策には間に合わない懸念が大きい。大炎上の常在状態を受け入れることを決めたのだとしても、この体制は脆弱すぎると思う。せめて感染症法施行規則第3条の除外事項は設定しないで欲しかったし、できれば麻疹と同じく直ちに全数報告を維持して欲しかった。見逃していたが、2023年4月11日最終改正の事務連絡で、「HER-SYS については、位置づけ変更後も、都道府県内において入院調整に必要となる事項に限り、患者情報の共有を可能とするため、「発生届対象外者」として登録することを可能(健康観察機能は停止する)とする。本患者情報については、あくまで患者の基本情報、基礎疾患等の有無について、入院調整の際の補足的情報としての活用とし、位置づけ変更後は、新規で発生届の入力や入院調整に関わらない用途での使用はできない」と書かれていたので、ほぼ廃止ということだなあ。費用対効果の事後解析をして欲しいところ。
- ドラゴンズは長良川球場でカープに0-1で負け。チャンスはあったがなあ。
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