帰宅してふとテレビをつけたらNHKでちょっと興味を引く内容の番組『「子どもがいない世界」がやってくる?』(リンク先はNHK WORLDでの放送予定)をやっていたので見てしまった。うーん、しかし人口学者も出ていないし、内容が浅いなあ、という印象。モデルを使って推定した(?)50歳まで子ども数ゼロの女性の割合の年次推移を日本とイタリアで計算したという話(人口学では普通、完結出生児数分布で0の部分の割合ということだから、平均完結出生児数の推移を見るか、この守泉さんの論文の図4や、これも守泉さんの研究だが無子割合の要因分析をしているのように出生コホート別の違いを見る。結婚に関しては50歳まで未婚の割合を生涯未婚率として――これは2024年の現状には合っていない定義になりつつあるにしても――年次推移を見ることは普通に行われるが、出生については、人口学者はあまりそういう分析はしてこなかった。東洋経済オンラインに荒川和久さんという方の独自推計は載っていて、たぶん出生動向基本調査の夫婦調査で得られる45-49歳女性の子ども数ゼロ割合(この第16回報告では図表6-1-4)に、日本では婚外子が少ないことから生涯未婚率を加算しているようだ。センサスのときに「これまでに産んだ子ども数は合計何人か」という遡及質問を1つ追加すれば得られるデータなのだが)を除けばとくに新しい話はなかったが、メインスピーカーとしてインタビューされていた人を検索してみたら、データサイエンティストでBirthgapという映画を作って2023年に公開した(前半部分はYouTubeで公開されているが、全編見るにはSupporterとなって年間2000円を払うなど有料視聴する必要がある)Stephen J. Shawさんであった。しかしこの映画、フェミニストの敵とかミソジニーとかいった批判もされているのだなあ。まあそういう批判が出てくるのもわかるが。