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【第1634回】 火曜も卒研対応と講義(2024年5月21日)
- 往路の地下鉄で、このところ移動中に読んでいた高嶋哲夫『パルウイルス』を読了。ラブ&サスペンスとしては悪くないし、ありふれているとはいえ、地球温暖化ネタとしては記述にも迫力があって悪くない。けれども、あまりにも大きすぎる欠点があって、感染症疫学を少しでも知っていると違和感があって楽しめない。いくらなんでも、CDCのオフィサーがコロナを封じ込めたなんて戯言は言わないだろう。そもそも人類史上、対策によって自然界から撲滅できた感染症は天然痘しかない。2009年のインフルエンザパンデミックが「終息」したのは、元々致命リスクが低く、世界中の人がある程度感染したことによって、感染力も病原性も季節性インフルエンザと変わるところがなくなったという形での常在化であって、いまでも地球上に存在している。COVID-19も常在化し、何か特別な技術革新でもない限り一時的な排除も封じ込めも不可能になってしまった上、致命リスクはいまだに季節性インフルエンザの5倍から10倍程度はあるため、WHOも緊急対応から長期管理にシフトするしかないと認めた「大炎上」状態で、それを常態として受け入れるという形で社会的な感染症受容水準を変える妥協をした、いわば公衆衛生の敗北であることは明らかである。CDCのオフィサーが「コロナを封じ込めた」なとどいうあまりにも間違ったCOVID-19認識をもっているという作中設定の矛盾・ありえなさは、致命的な欠点なので、発表前に感染症疫学の専門家に相談するなりしてチェックしてほしかった。もう1つの難点は、ウイルス学的なおかしさで、作中想定されているパルウイルスは人獣共通感染症なのに撲滅可能と思っているのが変だし(インフルエンザウイルスもコロナウイルスもヒト以外の動物を宿主として存続できるため、仮に一時的に人間社会から患者をゼロにすることができても、いつでも再燃するリスクがある。人獣共通感染症はすべて同じリスクがあって撲滅はできない)、巨大なウイルスで細胞をすぐに破壊してしまうということと高い感染力が両立することもありそうにない。その辺りをウイルス学や遺伝学の研究成果を出している医師であるという設定の登場人物がまったく疑問を抱かないのがあまりにも不自然。ちゃんとしたウイルス学者にも相談しておけば、修正できただろうに。残念な作品であった。
- 今日も1限の前から卒研対応。1限の国際情報検索は、先週に続いてオンラインで各自ミニレビュー論文を書く上でぶつかった疑問への質問を受け付けることにしていて、1件質問があった。2限は保健行政論の講義。午後には保健統計学特講の対面講義、会議、卒研対応と予定が詰まっていて、今日も忙しい。
- 17:30から卒研対応しつつ他の院生からの統計相談にも答えていたら19:00を過ぎた。疲れたので帰ろうと思う。
- ドラゴンズとジャイアンツの試合をチェックしたら、5回終了時点で0-0の同点であった。その後田中幹也選手がホームランを打って1-0となったが、その裏に犠牲フライで追いつかれ、そのまま1-1で延長12回引き分け。7回裏になぜキャッチャーを加藤選手に代えなかったのかが最大の謎だが、延長10回表の先頭打者として福永選手がフォアボールで出塁したところで、盗塁させてから送りバントでワンアウト3塁を作れたはずなのに、それをしなかった采配も勝負勘が足りないのではないかと思わざるをえない。立浪監督は福永選手がファームで11盗塁していることを知らないのだろうか? まあ、バルドナード投手の牽制が上手いのかもしれないが、上林選手の三振の間に結果的に盗塁が成功したという結果から考えると、もっと早く狙わせるべきだったと思う。
- 一休みと思ってハンモックに乗ったら、いつの間にか寝落ちしていて、気がついたら4:00過ぎだった。
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