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鐵人三國誌・アーカイヴ

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目次

【第1698回】 英語を学ぶ方法私家版など(2024年8月16日)

日常

6:00起床。名谷へ。

学部の期末試験の採点がまだ終わらないが、大学院の方の締切仕事を先に済ませる。

昼飯は買い置きの冷凍ピラフを電磁調理器でフライパン加熱して済ませた。

中スポの月刊シンノスケ面白いが、今日先発予定の小笠原投手、タイガースを完封してほしいなあ。

実は某原稿締切が今日ということになっているのだが、終わりそうにない。困ったぞ。

メールで泣きを入れて月曜まで延長していただけて良かった。

これから採点の続き。

英語を学ぶ方法私家版

今でこそ大学院で多くの講義を英語でやったり、英語の論文を書いたり査読したり、海外のカウンターパートとの交渉を英語でやったりしているが、自分は中学・高校では英語は得意ではなく、むしろ不得意科目であった。

開成では、数十カ国語が喋れると豪語されていた長谷川先生によるイディオムと発音、名著『マスター英文法』を書かれた中原道喜先生による英文法などは個別に授業があったので、その辺は身についたが、性格的に、毎日少しずつ単語帳を暗記するといった作業ができず、知らない単語が多すぎた。

漢字は、まだ自我ができあがらないうち、たぶん小学校に入学した頃だったか、毎日5文字ずつ書き取りをして覚えるという日課をもっていたため、小さい頃から常用漢字くらいは覚えていた。けれども、同じ頃に行っていた英語に慣れましょうみたいな塾(?)で、歌ったり踊ったりするのに馴染めずにすぐに辞めてしまったので、英語は素養がなかった。小学生の頃に読書はたくさんしていたけれども、もちろん日本語の本ばかりだったので、英語に接する機会はなかった。

大学受験に失敗し、一年の浪人生活は駿台四谷校で過ごしたわけだが、御茶ノ水校と違って、四谷校の英語は基本英文700遷ではなく、長文読解で行われていた(と思う)。ともかく、ひたすら英語の長文を読み、中身を理解してから和訳文を作るという作業をした(プロフィールの「略歴等」に書いた通り)。この際、語彙を増やすために使っていたのが、英英辞典である。ある程度知っている単語が多ければ、Oxford Advanced Learner's Dictionary (OALD)とかに行っても良いのかもしれないが、当時の自分は本当に知らない単語ばかりだったので、各単語を英語で説明する短文と、短い日本語の意味が併記されていた、三省堂の『コンサイス英英辞典』が最適だった。これを舐めるように引きながら、毎日ひたすら長いけれども質の良い英文を読み、意味を理解してから、日本語としてちゃんと意味が通る訳文を作るという作業を繰り返した。文法がわかっていて、読解力があれば(これはどの言語でもそうだが、新井紀子さんがリーディングスキルとしてその重要性を唱道しているので、詳しくはリンク先を参照されたい)、このやり方で良い英文なら正確に読めるようになるはずである。

論文の英文はまた別であった。専門用語がわからないのは当然として、普通の英文として読むと意味が通らない文章にぶち当たったのだ。普通の英文では辞書の1番目か2番目に出てくる意味で使われる単語が多いが、論文では必ずしもそうではないのである。人類生態学教室で卒業研究を始めた頃、鈴木継美先生による原書講読という授業があり、重要かつ良い文章の論文を1文ずつ読み上げてから和訳し、それを丁寧に鈴木先生が講評してくださるという講義で、ヒントはくださるのだが、学問的に正しい和訳に自力で辿りつくまで次の文に進めないのである。読み上げるのも重要で、2年生のときの統計の講義でカイ二乗検定という言葉は知っていたのに、chi-square testがそうであると気づかず、chiをチと読んでしまうという失敗は恥ずかしかった。小さい辞書では3番目以降の意味などは載っていないので、このときに買ったのがリーダーズ英和辞典であった。しかしそれでも載っていない意味があったりして、そこで初めてOALDやランダムハウスなどの分厚い英語辞書の使い方を覚えた(今でもOALDは紙版のおまけでついてくる電子版もPCにインストールして使っているが実際に発音を聴くこともできるし便利だ)。

専門用語については、専門用語辞書や教科書の他、図書館に行って先行研究を調べる必要があった。今ならわからない専門用語があったらPubmedかGoogle Scholarで引けば(Wikipediaで済んでしまうことさえ珍しくない)、だいたい出典に辿りつけるが、当時は図書館に行くしかなかったのだ。しかしそうやって苦労して論文の読み方を覚え、卒業研究で100本以上のStable population theory絡みの論文と本を読んだおかげで、論文を読むのも苦労しなくなった(もちろん、自分にとって新しい分野の論文を読むときは、今でもある程度苦労する)。

鈴木先生のやり方は正しい指導法だったと思っているので、自分も大学院への進学を希望する卒業研究の学生に対しては、原書講読はこのやり方でやっている(まあ検査専攻から自分を指導教員に希望して大学院に進学する学生は稀なので、ほとんど実績はないのだが)。

書くのは難しい。日本語も、良い文章を書くのは読解より遥かに難しいが、英文も同様である。ここまでに書いたやり方で英文が読めるようになった上で、声に出して読み上げながら(基本的に良い英文は響きも美しいので)何度も推敲するしかないと思う。前置詞や単語の文脈上の不自然さとか、慣れると何となく気づくようになるが、未だにわからないことも多い。

聞き取るのは、英語のニュースを流しっぱなしにするのが良いと思う。当時はFENをよく聴いていたが、今ならNHK WORLDが向いているだろう。慣れてきたらアメリカ映画かイギリス映画を字幕版で見ても楽しめるのと同時に聞き取る力が付くと思う。ニュースでは出てこないような言い回しも日常会話には頻出するので、ニュースだけでは足りない。在外研究員でペンシルベニア州立大に滞在した当時、本当に映画に出てくるような言い回しが日常的に使われていて、妙に納得した覚えがある。

しかし実際、国際会議で議論したり、フィールド調査の許可を得るために交渉したり、英語で講義をしたりするときの相手は、アメリカ人とイギリス人だけではない。独特の訛りがきつくて聞き取りが難しい場合もある。アメリカの中でもそれはあって、ペンシルベニア州立大学の人たちの英語は基本的に聞き取りやすかったが、途中でアメリカ人類学会に参加するためセントルイスに行ったとき、南部の人たちの英語が聞き取りにくくて驚いた記憶がある。これを克服するには場数を踏むしかないと思う。オーストラリア英語の訛りも最初は聞き取りに苦労したが、そのうち気にならなくなった。

喋るのも(聞ける状態になっていることを前提とすれば)基本的には場数を踏むことが重要だと思う。それに加えて言えば、なるべく最初から英語で考えるようにしたら良いと思う。英語で会話するときに、いちいち日本語で作った文章を訳していたら間に合わないし、考え方が無意識に構文の制約を受けるので、考えること自体を英語に切り替える方が良い。それでも、細かいところは会話だと誤解する可能性もあるので(日本語でもそうだが)、MOUの締結など重要な交渉は、会話よりも文書ベースで確認して進めるべきである。会話の方がスムーズに進む場合もあるので一長一短だが、長い目でみれば、たぶん誤解の余地がない方が、お互いに幸せになれるはずだ。

以上、英語の専門家でもないし、能力試験も受けたことがないので客観的にどれくらいの英語力があるのかわからない自分の経験に基づく話で、一般性は不明だが、何かの参考にはなるかもしれない。

Xからメモ

今夜22:35からNHK-FMで始まる角野隼斗さんの番組、初回ゲストはAI研究者の大澤正彦さんという方で、ドラえもんを作るという話で対談されるようだ。Cateenの即興演奏も楽しみだ。

もっとも、ドラえもんのAIについては、都知事選のときに中島さんと安野さんのYouTube対談で出てきたように、EQが高いAIという話になるのだろうと思われる。とすれば、鄭雄一くんが以前から提唱している、社会に受け入れられるAIは道徳次元4でなくてはならないという話になってくるのだろう。ただしドラえもんをドラえもん足らしめている根源は4次元ポケットとそこから出てくるひみつ道具であって、そちらは超技術だしAIとは関係がないので、たとえAIとしてのドラえもんが作れても、4次元ポケットやひみつ道具がなかったら、子どもたちは満足しないのではなかろうか。

安野貴博さんの妻である黒岩里奈さんの中高大を通しての親友だという品川区選出都議会議員、しのはらりかさんが安野夫妻と食事会をしたというブログ記事。興味深い。

このところ高頻度で興味深い記事を投稿されている、「ガオラー1年生のRyu」さんによる愛の伝道師 MAYUに愛を伝えたいというnoteを読んで、MAYUはデビュー前から独特の深くて柔らかくて実は強い声が魅力。どこで知ったか忘れたが、オーディションのとき芹奈が是非この子と一緒に歌いたいと訴えたエピソードも納得。リトグリは誰もが必須なアンサンブルなので3人になった時の辛さや悩みは本当に大きかっただろう、とポストした。

帰宅後

19:30から賃貸住宅の保険の契約更新があったので帰宅。賃貸契約自体は自分か貸主のどちらかが解約を希望しない限り自動更新されるので、実質的にこの保険契約が賃貸契約の更新周期と一致しているのだという説明を受けた。なるほど。

ドラゴンズは小笠原投手が左肘に強襲ヒットを食らって1回で交替してしまったけれども、リリーフ投手が踏ん張っている間に、髙橋周平選手と大島洋平選手のヒットで同点に追いつき、移籍してきた川越選手が勝ち越しホームランを放ち、最後は清水投手とライデル投手が危なげなく抑えて2-1でタイガースに勝った。

22:35からのCateenのラジオ番組は「ピアノローグ」の解題から始まった。ドラえもん話はある意味予想通りだったが、情報伝達における受け手のフレーム問題とライブの一期一会性が共鳴するのが面白かった。かかる曲の説明がないのだが、メチャクチャ幅が広くてさすがCateenであった(番組webサイトの楽曲情報というところをクリックすると曲名がわかるのだが、あの如何にも現代音楽っぽい曲は、「バイオリンと自動ピアノのためのトッカータ」/アーヴィン・アルディッティ(バイオリン) 、自動ピアノ/作曲:ナンカロウというものらしい)。そのうちゲストで安野さんも呼んでほしいなあ。

(list)

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