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【第301回】 いろいろ終わらせなくては(2013年3月21日)
- 6:00起床。朝食は昨夜の残りの温め直し。娘に電話してから,暫く仕事。いろいろな締め切りがあるので終わらせなくてはならない一日。
- このところ読んでいた,吉成真由美(インタビュー・編)『知の逆転』NHK出版新書,ISBN 978-4-14-088395-2(Amazon | honto | e-hon)を往路バスで読了。これ,タイトルが悪いなあ。どこが「逆転」なのかピンと来ない。表紙の見返し部分に「限りなく真実を追い求め,学問の常識を逆転させた叡智6人」と書かれているが,逆転というよりも,革命を起こした人という方がより適切ではなかろうか。しかも,叡智6人とは,ジャレド・ダイアモンド,ノーム・チョムスキー,オリバー・サックス,マービン・ミンスキー,トム・レイトン,ジェームズ・ワトソンであり,本書の主題は彼らの業績の説明ではなくて,彼らがいまいろいろなことをどう考えているかなので,いっそのこと,継承とか箴言とかにしてしまった方が良いように思う。吉成さんが共通して投げかけた質問がいくつかあって,中でも若い人たちに薦める本についての答えが面白い。ダイアモンドとサックスはバランスが取れた答えで,具体的なタイトルを列挙してくれているが,チョムスキーは一般回答などないから自分で探せと突き放すし,ミンスキーとレイトンはSF万歳だし(ミンスキーに至っては,「たいていの小説は,まず人々の問題があり,彼らが陥った難しい状況というものがあって,それをどうやって解決するか,うまく解決できてハッピーエンドになるか,そうでなければ,うまくいかなくて罰を受けたり死んだりするか。100冊小説を読んだら,みな同じなんですね」とSF以外のすべてを十把一絡げにして切り捨ててしまい,SFは新しいアイディアを与えてくれると賞賛している),ワトソンは予想通り俺様回答というか,自著の『二重らせん』とダーウィンの『種の起源』を挙げていた。他の質問の答えの中にも,強い印象を残したものは多々あるのだが,いま書き留めておく時間は無いなあ。
- RでMS Excelのファイルを読むためのパッケージにはWindowsだけのものとか32bitのみのものもあるが,XLConnectはWin/Linux/MacOS全部で32/64bit両対応とのこと。
- 自民党が参院選の公約に,英語はTOEFLの点で大学ごとに受験資格を定める,というのを入れると報道されている。大学院なら研究をするのだからわかるけれども,学部の入学資格にTOEFL必須は筋が悪いと思う。米国のNPOがやっているとはいえ,結構高いし。TOEFL何点で英語試験免除という(たしか既にやっている大学があったように思う)使い方ならいいと思うが。
- 直通終バスで帰宅。このところ毎晩のように流しているPitch PerfectのBlu-ray(日本では売られていないので米Amazonにオーダーしたら1週間ほどで届いたもの)を再生しつつ晩飯の準備。キュウリの浅漬けを準備してから,粉末鰹出汁を溶いた水に人参と油揚げをザクザク切ったものと鶏ムネ肉ぶつ切りを入れて火に掛け,ある程度煮えたところでキャベツのざく切りを大量に入れ,さらに暫く煮てから味噌で味付け。これは米に合うなあ,と思いつつ食べた。Pitch Perfectには見所がいくつもあるのだが,最初は他人を寄せ付けない頑ななDTMオタク少女で大学生になるよりDJとして都会に出たかったヒロインBecaが,そのオタクっぷりを示すエピソードとしてJesseに示す映画論(映画なんて最初を見ればだいたい後の展開はわかる,例えばダースベイダーはルークの父親だし……と言って,Jesseが何で? と尋ねると,ドイツ語でベイダーは父親って意味なのよ,と答えるところから,二人でBreakfast Clubという映画のDVDを見ていてもEndingは見なかった辺りまで)は,ミンスキーがSF以外の小説は全部同じだというのと同じで,よく言えば抽象化のしすぎ,悪く言えば機微に目を向けないNerdなわけだが,いくつかの痛い経験を経てBreakfast Clubを一人で見直してEndingに涙するシーン(その後は改心してちょっとだけ素直になるので,ツンデレ展開ともいえる)が間にあってこその,リンカーンセンターでのパフォーマンスが終わった後の2人の会話(というかそのときのJesseの台詞……ここは是非聞いて欲しいところ)に繋がる巧みさはその一つだと思う。もっとわかりやすい見所は,何と言ってもアカペラのパフォーマンスだ。寮のシャワールームでハミングしていたBecaがBellasの上級生にスカウトされてハーモニーを重ねられることでアカペラの魅力に気づくシーンとか,Riff Offというイベントで,ランダムに決まったお題に合わせて,いくつかのグループがアカペラパフォーマンスを競って被せていくところなど,どのグループも実に格好良くこなすので惹きつけられる。それ以上に凄かったのは,最後のリンカーンセンターでのBellasのパフォーマンスであった。あまりにも圧倒的に素晴らしく(サントラCDで,この曲だけ何度もリピートしてしまうくらい),家で見ていても立ち上がってしまうほどであった。またこの曲の歌詞がうまいんだな。忘れてはならないのは脇役が一人一人光っていることで,とくにFat AmyとAubreyとBenjiがいいキャラだった。一つ分からなかったのは,Becaのルームメイトの設定がKoreanなのかChineseなのかということだが,たぶんアメリカの大学に留学しているAsianってこういう感じで見られているんだろうなあという描写であることはわかった(Asianが十把一絡げなのか,それとも国によって見られ方が違うかはわからないが……自分の経験では,少なくともPSUのポスドクはJapaneseとChineseとKoreanは全然違う見られ方をしていた)。スラングとか捩りみたいな言葉(A-ca-scuse meとか)が頻出するので,うまく訳すのは難しいと思うが,是非日本でも公開して欲しい映画だ。あるいは,リンカーンセンターの代わりにハモネプを持ってきて日本版に翻案とか? Anna Kendrickがやった役をこなせる女優さんがいるかどうかだな。元Goosehouseの神田莉緒香さんならいけるか?
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