Latest update on 2018年3月7日 (水) at 15:42:47.
【第367回】 今日もデータ解析相談。午後はオープンキャンパス(2013年6月8日)
- 5:30にChirolの"to Remember"で起床。名曲だと思う。朝食は納豆ご飯。往路は土曜ダイヤの名谷行き3番のバスで,久々に川口雅代「massy@love.net」を聴きながら,筒井康隆『聖痕』新潮社,ISBN 978-4-10-314530-1(Amazon | honto | e-hon)を読了。初出は新聞連載の小説だが,かつての『朝のガスパール』と違って表面的な実験性はそれほどなく,隠された現実と虚構のクロスオーバーや,表現の豊穣さは,むしろ『文学部唯野教授』を思い出させた。少なくとも表面的には,欲望が妄執へと変貌して過ちを犯した後,懺悔と赦しを経て癒しへと至るプロセスが反復し螺旋状に昇華し,最終的に「聖痕」へと回帰するこの小説は,枕詞や古語や変則的なルビ(しかもこれらには敢えて傍注が入っている)という日本語文学ならではの約束事的要素が多用されていることが,日本文化が暗黙知の共有によって平和を保ってきたことを思い起こさせ,最後に主人公が到達するビジョンに説得力をもたせている。鄭君が道徳の本で明示的に解説していたことと必要な前提条件は同じで,それを小説という形で見事に提示して見せたのは,さすが筒井康隆と思った。
- 「オープンデータ」についての奥村さんのtweetにあった,上原哲太郎さんのブログ記事。結城浩さんの数学ガールシリーズに度々出てくる「例示は理解の試金石」は蓋し名言だと思うが,ここで上原さんが提案されているように,例示としては,二次利用しやすいデータと,そこから見目良いアウトプットを作るプロセスを提示してくれるのが適切だと思う。数日前のNHKだったと思うが,鯖江市で市長が旗を振って市政データのXML化した公開を1年前から推進していて,民間業者が既に数十個のアプリを開発したという事例(市が公開・更新している公衆便所の位置や設備情報を,携帯端末のGPS情報とリンクしてガイドしてくれるアプリが紹介されていた)を見たときに,もっと他にも可能性はあるだろうにと感じたのは,たぶん言語化すればそういうことなんだな。
- GapminderのDr. Hans Roslingのtweetで知った,GBD2010を視覚化したwebサービスは凄い。例えば,ベトナムの交通事故による損失余命の急増が一目瞭然だ。Gapminderもそうだが,オプションの選び方と結果の反映のやり方が非常にスマートで使いやすいサービスになっている。これも国連が提供しているオープンデータを使うと,こんなに見事な見せ方ができるんですよ,という一例とも考えられる。
- 11:00から約1時間,博士後期の講義の1つである,データ解析の個別相談の院生が来た。今回の相談のポイントは,わりと院生が陥りやすいピットフォールのようなところだった。その後,五穀七福で買ってきたパンと自宅で淹れて水筒に詰めてきたコーヒー(昨夜バスに乗る前,バス停のすぐ裏の建物の1階にある輸入食材店で買ったバリ・アラビカ)で昼食を済ませた。午後は大学院のオープンキャンパスになる。
- オープンキャンパスは学部3年生も多く参加していたが,全部で100人ちょっとという感じだった。地域保健学領域の説明で,平成28年度から保健師教育を大学院博士前期(修士)に移す理由の説明が行われているが,大学院において保健師教育が目指すところは,実は公衆衛生学修士と全く同じだ。これが歴史的な理由から別物として実施されてきたところに日本の保健師の悲劇があると思う。厚労省の医系技官も,本来,半分くらいは保健師がやっていてもおかしくないのに,医療の専門家ではあるが保健の専門家ではない(医師法や歯科医師法には公衆衛生を掌ると書かれているが,それに見合った公衆衛生学の教育は必ずしも受けていない)医師と歯科医師だけがなれるのが現状だが,これも,裏を返せば保健師が低い地位に置かれてきたからと思う。
- 国際開発分野に話を聴きに来てくれた人は2人だった。うち1人は,来週のGSICSでの講義の見学にも来るとのこと。
- 土曜の直通終バスで帰宅し,ハムとチーズとキュウリとトマトを山盛りに挟んだサンドイッチを作って食べた。
△Read/Write COMMENTS
▼前【366】(データ解析の個別相談という講義(2013年6月7日)
) ▲次【368】(講義準備とか(2013年6月9日)
) ●Top
Notice to cite or link here | [TOP PAGE]