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個別鵯記

Latest update on 2018年4月8日 (日) at 23:04:35.

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【第1805回】 フィールドワーカーを志す院生のための個人的お薦め本リスト(2018年4月6日)

ふと目が覚めたので布団からイモムシのように抜け出し,リビングに足を運び,テレビとして使っているディスプレイの上にあるデジタル表示の電波時計をみたら6:29だった金曜日の朝。

それを待っていたかのようにスマホとPCから目覚まし音楽が流れて,完全に目が覚めた。溜まっていた洗濯物を放り込んで洗濯機を始動させておき,冷蔵庫から青梗菜とヴルストを取り出し,適当に刻んでフライパンで炒め,オイスターソースとマジックソルトで味付けして作ったおかずと,昨夜成城石井で買ってきたパンで朝食を済ませた。

洗濯物を干してからバスで出勤し,まずは保健学研究員となるネパールからの留学生の諸手続を済ませ,メールの返事を打っていたら昼になった。どうして時間は飛ぶように過ぎるのだろう。

ところで,ぼくのところには,フィールドワーカーを志す大学院生や学部生が良く来るので,学期始めでもあるし,唐突だが個人的にお薦めしたい本のリストを挙げてみる。

まずは,一流のフィールドワーカーが若い頃にもがき奮闘した記録として,臨川書店の「フィールドワーク選書」シリーズを挙げたい。とくに,白川千尋『南太平洋の伝統医療とむきあう:マラリア対策の現場から』(書評)はお薦めである。白川さんの若い頃のフィールドはヴァヌアツだったが,JOCVとしてポートヴィラを拠点として行った最初のマラリア対策活動の2年間と,大学院博士後期課程で文化人類学者の卵として医療人類学的なフィールドワークを行った電気もガスも水道もないトンゴア島での1年間で,それぞれ異なる試行錯誤と逡巡と興奮と感動が伝わってくる良書である。

次に,生物系の研究者が大学院生時代に,自分の関心をどうやって研究につなげていったかという話もエキサイティングで面白いものが多い。古くは矢原徹一『花の性』東京大学出版会も素晴らしいが,最近の本だと,バッタ博士として知られる前野ウルド浩太郎『バッタを倒しにアフリカへ』光文社新書,ISBN 978-4-334-03989-9(Amazon | honto | e-hon)とか,金森朝子『野生のオランウータンを追いかけて:マレーシアに生きる世界最大の樹上生活者』東海大学出版会,ISBN 978-4-486-01991-6(Amazon | honto | e-hon)も,必ずしも世間の注目を浴びるわけではない分野の若手研究者のサバイバル戦略という意味でも面白かったし,元気が出ると思う。

元気の出る話だけで終われれば楽なのだが,フィールドワーカーは人を相手にしているので,他の分野以上に研究倫理を考えることも必要である。その意味で一読を勧めたい本が,宮本常一,安渓遊地『調査されるという迷惑―フィールドに出る前に読んでおく本』みずのわ出版である。以前,ソロモン諸島の研究所の人からよく言われたのが,海外の研究者は採血したり持ち出していくものが多いわりに,現地住民に返してくれるものが少ないチームが多いことが問題だから,絶対に何らかの結果は返してくれということだった。それ以来,ぼくは健診結果も含めて,素データは調査期間中に返してくることにしている。院生には調査対象も自分と同じようにいろいろなことを考えながら暮らしている人間なのだということを意識して欲しいので,この本を読んで欲しい。ただ,あんまり考えすぎても何もできなくなってしまうかもしれないので,併せて,椎野若菜・白石壮一郎(編)『フィールドに入る』古今書院,ISBN 978-4-7722-7122-6(Amazon | honto | e-hon)も読むと良いかもしれない。

来週の講義準備が終わったのが21:40頃だったと思うが,折しもNPBのドラゴンズとタイガースの試合が9回裏のクライマックス。手に汗を握りながら息を詰めて結果を見守っていたが,田島投手が素晴らしいフィールディングでスクイズをホームで封殺し,打者走者も一塁でアウトという,珍しいダブルプレーでゲームセット。ドラゴンズが漸く2勝目。小笠原投手に勝ちがついて,高橋周平選手は猛打賞など,収穫が多い試合だった。

この後,もし明日の天気予報が悪くなければ,深夜のフェリーで瀬戸大橋に行って30周年記念ライブを聴いてこようと思っていたが,荒天予報のためイベントが中止になったので,このまま帰宅する。

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