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【第1529回】 今日も出勤〜「リンゴ追分」考+あれから6年+『「原因と結果」の経済学』の短い感想(2017年3月11日)
- 8:00起床。チキンラーメンに卵を載せ,湯を掛けて蓋をし,3分蒸らして食べた。加えて,ベビーリーフとトマトのサラダ。
- 今日も出勤する。
- 「リンゴ追分」は,インディーズも3枚買っていて,うち1枚は未着だが,先着した2枚を聴いてみた。SUGEEの「UMI NO RINGO」1曲目は,打楽器的な三味線伴奏でホーミーのような独特の男声歌唱で面白いが,まあ想定内か。しかし,Cokuriの「kagomekagome」4曲目"RINGO OIWAKE"がぶっ飛んでいた(リンク先はYouTubeにアップロードされていたライブっぽいのだが,楽器が後ろにあるのにカラオケで歌っている感じなのが何とも微妙な……)。なかなか綺麗なアカペラの出だしは,まあ普通に良いのだけれども,「ええーええー」の後で一瞬の間を置いて"Every blossoms ..."(もしかしたら"Apple blossoms ..."かもしれない)と歌詞は英語になるしギター伴奏はまるでボサノバだし,まるで別の曲のような変貌を遂げる。このアレンジは格好良い。インディーズなせいか,歌詞カードというものもついていなかったので,"Tsugaru-musume was crying to the night"には吃驚した。なんだか癖になってしまい,AXON MINIに入れてからUSB Audio Player Proで,バスに乗っている間から研究室に着くまで10回以上リピートしてしまった。本来は和風であるものを,こんなに格好良く演奏してしまう感覚って何かdéjà vuがあるなあと思ったら,これはあれだ,Goosehouseのジョニー,さやか,ワッシュウによる「俺ら東京さ行ぐだ」のカバーだな。
- YouTubeにはリンゴ追分 アラゲホンジ(Live)もあって,これはこれで祝祭空間としてはありかも。ただ,やはり別離の寂しさを歌う曲だから,ちょっと違和感があるのは否めない。もちろん,寂しさや哀しみを祝祭的に笑い飛ばそうという解決の仕方は昔から日本の田舎にあるわけだし,『満月の夕』で中川敬が「かなしくて すべてを笑う」と唄うのに被災地の人々が共感したのもそういうことだと思うけれども。
- Jazz系のカバーはさらにたくさんあって,AEGK0725 (3)"RINGO-OIWAKE" Hibari-Misoraとか,Espresso Atlantico - Ringo Oiwakeとか,Aaron Germainによる演奏(リンク先動画では後半)とか,Isis Akagi - música Ringo Oiwake(ヴァイオリンに味があるし,ボーカルのたぶん日系ブラジル人と思われる方の歌も台詞も素晴らしい)とか,"Ringo-Oiwake" Emy Trio(リハーサル無しでのセッションと書かれているが完成度高いと思う)とか,日本に限らず世界中で人気だ。数ある美空ひばりの曲の中でもこれをカバーするというのは,いい狙いかもしれない。
- リンゴ追分絡みで検索していたら,全日本リンゴ追分コンクールというイベントが2017年5月13日に弘前市民会館で行われることを知った。『美空ひばりの「リンゴ追分」1曲にこだわったコンクール』を謳っている。「リンゴ追分」を審査するリンゴ追分部門と、“リンゴ”“アップル”という言葉が歌詞に出てくる歌(オリジナルは不可)を審査するアラカルト部門があるそうだ。凄すぎるぞ,リンゴ追分。
- 書き忘れていたが,あれから6年になる。けれども,講義資料に書いたPost-impactのrecoveryは当然未完だし,場所や中身によっては(見方によるが)responseすら取れていないケースもある。recoveryが済んだとしても,その時点でmitigationを(構造的なものも社会的なものも含めて)やっておかなくてはいけない。そう簡単に大災害は終わりにできない。
- 中室牧子・津川友介『「原因と結果」の経済学』ダイヤモンド社,ISBN 978-4-478-03947-2(Amazon | honto | e-hon)を読了。因果推論の方法を基本から説明するというフォーカスの絞り方も良いし,比較可能なグループを作るという説明の仕方も反事実モデルも含めてわかりやすいし(そのためのデザインとしてRCTと自然実験という説明もすんなり頭に入ると思う),作れない際の解析上の工夫として2SLSとかDiDという展開は意外だったがなるほどそういう整理の仕方もあるかと思わされたし,使われている実例もメタボ健診とかテレビ視聴と学力とか身近でありながら通説とは異なる結論を支持するエビデンスが出ている興味深いものを選んでいるし,全体としては良書だと思うが(普通の統計解析の教科書ならばDiDや2SLSよりもモデルとしては単純だから先に出てくる単回帰分析や重回帰分析を,因果推論という視点からだと他にやりようがないときの最後の手段として最後におまけ程度に説明するというのも,ある意味筋が通っているから,それはそれで問題ないと思う),それだけに若干気になるところもあった。例えば,最後の疫学・生物統計学における因果推論に触れたところではRothmanのModern Epidemiologyに触れて欲しかったし,DAGの話なら『統計科学のフロンティア5 多変量解析の展開 隠れた構造と因果を推理する』(岩波書店,2002)所収の,佐藤俊哉・松山裕「疫学・臨床研究における因果推論」を紹介して欲しかった。参考文献のところで,統計ソフトの使い方を勉強したい人におすすめの本として,山田ら(2008)『Rによるやさしい統計学』は若干古いものの悪くないと思うが,あと2冊,StataとSPSSの本を挙げるくらいなら,奥村晴彦(2016)『Wonderful R (1): Rで楽しむ統計』共立出版,ISBN 978-4-320-11241-4(Amazon | honto | e-hon)を挙げるべきと思う。細かい誤植などは暇があったら追記するが,中でも残念だったのは,津川さんのJAMA論文から作られた82ページの図表3-1が,(たしかに時々使われている論文を見るが)95パーセント信頼区間の髭付きの,ゼロから始まっていない棒グラフだった点。たしかに本書の主眼には関係ないけれども,この図は訂正すべきと思う。
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