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【第513回】 人口学会東日本部会にオンライン参加(2020年9月19日)
- 7:00起床。79.05 kg。20:00過ぎに食べることを止めよう。
- 朝食を済ませてから洗濯。10:00から日本人口学会東日本部会にオンライン参加。テーマは「環境と人口」。40人以上の参加者がいるのはオンラインだからだな。地域部会としては画期的だと思う。以下メモ(聞き間違いとかあるかもしれないので,内容は無保証)。
- まずは小西さんから趣旨説明。歴史人口学というマクロスケールで斎藤先生,鬼頭先生という大御所から2題,腸内細菌と寿命というミクロスケールで若手の高安さんから1題の発表。長期的な人口変動は人と環境の相互作用の結果と言える,という視点。COVID-19の例を考えても,ミクロとマクロの両方の環境が重要であることがわかる。生体内の反応,個人の行動,社会制度(検査や行動規制),人口(密度,移動)が感染状況の違いに影響することは明らか。両方を考えたい。「適応学」の提唱? いやそれは人類生態学そのものでは?
- 斎藤修先生「2020年パンデミックと社会経済環境:人口史的アプローチ」。これまでの多くの感染症のR0,CFRとCOVID-19との比較。過去のペストや天然痘に比べたらR0もCFRも高くないのに,これほど社会に大きな影響を与えているのはなぜか? として,Johns HopkinsのWorldmeterの34ヶ国のデータから多数のグラフを作成して検討。それを踏まえてOmran,Malthus,McNeilらの論への批判。Omranは感染症と生活習慣病の相互作用に気づかず段階論の陥穽におちいっていた。Malthusは感染と経済活動の相互作用を無視していた。McNeilは致命割合の重要性を見過ごしていた。
- 年齢別の分析が重要ということが最後に強調されていたが,年齢別IFRとしては,初期の中国のデータから求めたものとして,最初に中国CDCから出た報告(まとめ資料に引用している)と,インペリグループの推定値がよく参照されている。春先のイタリアのデータから推定した速報がPoletti et al. "Age-specific SARS-CoV-2 infection fatality ratio and associated risk factors, Italy, February to April 2020"(Eurosurveillance,2020年8月6日)で,最近CFRが下がってきたといわれているのは,多少の有効性が確認された治療法が増えてきたという本質的な理由と(そのためIFRも下がっている),軽症の感染者の把握が進んできたことの両方の理由があると思われるが,CFRのデータを見るときはどれくらいの検査体制があるかを見ないと意味が無くなる。このtweetで紹介されている,CDCの報告は,Hauser A et al. "Estimation of SARS-CoV-2 mortality during the early stages of an epidemic: A modeling study in Hubei, China, and six regions in Europe"(PLOS MEDICINE,2020年7月28日)という,中国とヨーロッパ6地域で得られたデータからの年齢群別IFR推定値を採用したとのこと。
- 鬼頭宏先生「人口の長期波動と環境変動:死亡の季節性を手がかりに」。この話の多くは30年くらい前にやったこと。『日本二千年の人口史』PHP研究所(1983)など。世界の人口変動。日本の月別総死亡率(籾山政子『疾病と地域・季節』)を見ると,夏場に非常に死亡率が高く,冬場に次に高く,春と秋は低い。昭和になると夏の山がどんどん下がり(感想:たぶん冷蔵庫とエアコンのおかげだろう……と思ったが,鬼頭先生からの説明によると,塩素消毒した水道の普及が大きいとのこと。だが,本田靖先生たちの気温と死亡のV字関係の研究と絡めて議論したら面白いと思う),高度経済成長期以降は冬に低い山が残るだけ(近年はほぼ季節性消失。全体に上がっているのは高齢化のため)。籾山さんが見たより前,明治期のデータでも夏場と冬場に山がある。江戸時代は月別死亡数の変動はわかるが(回向院過去帳では夏の山はある。江戸以前,下総・本土寺の過去帳では夏の山はない。むしろ冬の方が高い……林さんから乳児死亡が拾えていないのではという指摘があり,確かに数え年1歳未満はほぼ拾えていないとのことだった)死因の情報はほとんどない。明治期以降の月別死亡の季節性から,江戸期の推定もできるのでは? と思いついたが,そう簡単な話ではなかった。死亡に関する諸要因間の関連の全体像を考えることが,COVID-19関連でも人口学的に重要。スペインかぜの場合は人口密度と死亡率は無相関だったが,COVID-19では日本の都道府県別人口密度と「感染率」は正の相関があることがはっきりしている(2月末には見えなかったが,その後顕著になり,最近は相関係数がやや低下傾向)。
- 高安怜奈さん「腸内細菌と寿命」。ヒト常在細菌は合計1.5 kg。きわめて多様。ただ,地球上のバクテリア全体を見渡すと,腸内に棲めるバクテリアは限られていて,低diversity,高cell densityと言える。宿主との長年にわたる共生関係がある。感染症と生活習慣病の境目は微妙になってきた。膵がんの発症に関わる真菌があるとか,腸内細菌叢を入れ替えるとマウスの肥満体質が変わるとか。便移植研究(Fecal microbiota transplantation)。薬として期待される腸内細菌。PNGの人の腸内細菌は先進国の細菌と全く異なり,多くはデータベースに載っていない。それをマウスに移植すると,低タンパク質の餌を与えても体重が減りにくい。腸内細菌がヒトの環境適応の鍵ではないか? と考えると,細菌動態は人口動態にまで影響するかもしれない(寿命にも関連する)。動物実験で,同腹のマウス(ただし雄も雌もいるので,siblingsということ)9匹を飼い続け,腸内細菌を調べ続けた研究をした結果,ライフコア細菌と一過性の菌がいること,若いとき多様性が高いマウスの方が長生きであるけれども,高齢マウスが死ぬ前にも多様性が上がること(?)がわかった。
- 終了後のディスカッションも盛り上がり,12:23終了。適当に昼食を作って食べてから,ATMとキャリーコーヒーとアグロガーデンを回ってくるつもりだったが,今日のドラゴンズとタイガースの試合は14:00からサンテレビで中継があるので,それが終わってからかな。
- 先発は福谷投手。いきなり右中間ツーベースを打たれ,次の打者にもデッドボールを与えてしまったが,後続を断って無失点の立ち上がり。
- 波長222 nmのUV-Cの安全性についてはFukui T et al. "Exploratory clinical trial on the safety and bactericidal effect of 222-nm ultraviolet C irradiation in healthy humans"(PLOS ONE,2020年8月12日)で示されていたが(神戸大のニュースリリース),SARS-CoV-2の不活化効果について,Kitagawa H et al. "Effectiveness of 222-nm ultraviolet light on disinfecting SARS-CoV-2 surface contamination"(American Journal of Infection Control,2020年9月4日)で示された(広大のニュースリリース)。空間除菌システムとして254 nmのUV-Cを空間照射するものが市販されているようだが,目への安全性に疑問がある。
- 野球はエラーをすると失点につながると良く言われるが,今日のドラゴンズとタイガースの試合も,高橋周平選手のピッチャーゴロを秋山投手が暴投してツーアウト2,3塁となったところ,このところ絶不調な阿部選手がホームランを打って3点を先制した。4点目も秋山投手の悪送球による,棚ぼた的な得点だった。福谷投手は好投していたが,7回に打球が足を直撃して降板したのが少し心配。ただ,ここから後は盤石の勝ちパタンリリーフ投手が揃っているから,今日はたぶん勝ちきれるだろう。というわけで,9回に1点は失ったが4-1で勝ち。
- やっぱり豆匠のマンデリンが欲しくなったので,ATMと豆匠と長田のLIFEを回ってきた。
- ちゃんと20:00前に晩飯を済ませることができた。
- 21:00からCzecho No RepublicとHi Cheers!のYouTubeライブが重なってしまったが,PCとスマホで両方聴いた。Czechoは海辺で撮影したライブ演奏を編集して流したものだったが,海と空の色も演奏も素晴らしく,「Rainbow」「Amazing Parade」「Electric Girl」などハイテンポの曲が中心で楽しめた。無料配信とは信じがたいほど質の高いライブ配信だった。Hi Cheers!の方はいわゆるレコ発特番で,Space Shower TVのスタジオから? 4人が喋りながら,時々MVを流すというVJ形式。『ソーダ水はたいへん気持ちのよいものでした。』はmoraでダウンロード購入し,バラエティに富んでいるのだが,中でも「親愛なる遠い君へ」が最高だと思っている。この番組では「(not) just for show」のMVが初公開され,これまでMVが公開されている2作品とはまったく違った雰囲気で,Hi Cheers!の幅を示すものとなった。次は「親愛なる遠い君へ」を,ショートムービースタイル(こんな感じ)で作って欲しい。
- 昨日までのデータでグラフを作っておく。
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