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職域接種について最後に触れたが,経産省のサイトに説明があることから明白なように,あれは経済を回したいことから始まった発想で,高齢者の重症化や死亡を防ぐことや医療従事者や対人接触が多いハイリスクな職種の人から優先的に接種するという感染症防御の考え方とは合致しない。それでもできるところから進めてカバー率を上げていけば集団免疫に寄与するからいいではないかという考え方にも一理あるかもしれないが,情報アクセスが不得手で移動も不自由な高齢者や,中小企業で働く人や個人事業主が取り残され,社会格差が広がる危険があることは忘れてはならない。仮に職域接種が進んで見かけのワクチンカバー率が上がっても,不均質なカバーだと集団免疫閾値を額面通り受け取ることができなくなるはず。
- ベースライン(主として都道府県ごとの対策という枠組み)
- 感染症法(感染症の分類,基本的枠組み,知事の権限,私権制限と公費負担)
- 医療法(都道府県医療計画で病床の計画的配置)
- 検疫法(国の水際対策)隔離・停留は新感染症ならできるが指定感染症では不可
- 予防接種法(A類/B類,公費負担,基本方針は国だが定期接種実施は保健所長の指示で市町村長が実施)
- 学校保健安全法
- 文科省
- 新型インフルエンザ等対策特別措置法(新感染症なら適用可,指定感染症には当初適用できず):ref1,ref2
- 国際保健規則(IHR) 参考
- 官邸対策本部をトップとする組織(河合香織『分水嶺』岩波書店参照)
- 当初は専門家会議が厚労省の下に(明確な法的位置づけはなく)存在し,公衆衛生的な現状分析とリスク評価,助言をしていた(が,発表や提言は厚労省と内閣府の検閲を通ったものしかできなかった)。リスク管理とリスク評価は別主体
- 東大牧原教授の助言→独立した科学顧問(おそらく英国GCSAのようなイメージ)が政府対策本部と専門家の橋渡しをするために専門家会議は解散すべき→2020年7月3日専門家会議廃止。但し科学顧問は置かれず,「分科会」が対策本部の下に位置づけ=リスク評価がリスク管理からの独立性を失う枠組み
- 特措法改定
- 感染症法上の新感染症でなく指定感染症かつ検疫感染症に
- 1年延長
- まん延等防止措置導入のための改定
- その他のCOVID-19対処政策
- 病床確保の通知
- 外務省海外安全
- ワクチン分科会20210531(資料1が大変参考になる)
- 経産省職域接種
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