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【第803回】 久々に六甲(2021年7月20日)
- 7:00起床。81.35 kg,97%,36.3℃。
- 今日は昼から六甲で対面で博論審査をするので,午前中は在宅で仕事をする。博論審査が済んでから名谷に行く予定。
- 昨日もそうだったが,今日も全国的に熱中症ハイリスクな日最高気温。ちなみにWBGTに基づく熱中症警戒アラートも兵庫県を含む多数の府県に出ている(今日はなぜか東京都と大阪府には出ていないが)。
- 抗体医薬品の特例承認自体は,COVID-19の治療が公費医療の対象である限り喜ばしいことだが,患者申出療養という枠組みがあるので,ハイリスクでなく厳密に適応でなくても処方を希望する人が出てきた場合,供給が限られているという理由で医師は処方を拒否できるかが問題か。この辺の話は保健行政論第6回講義資料を参照されたい。
- 熱中症,関連クラスタ発生を含むCOVID-19感染リスク,新変異株出現リスクの問題を別にしても,フェアじゃないオリンピックなんてオリンピックじゃない。その意味で,IOCはいったん解体した方が良いし,茂木健一郎氏のペルパタオ第130回 [2021年6月某日 オリンピックの語られ方]はナイーブすぎる見方。主催者自身が価値を破壊した。中止する方が平和とフェアネスを旗印にするオリンピック憲章に代表されるオリンピックブランドは守れたはず。何度でも書くが,今からでも東京五輪は中止して欲しい。
- IOCの独立専門家パネルの議長,Dr. Brian McCloskeyという人は,McCloskey B et al. "A risk-based approach is best for decision making on holding mass gathering events"(LancetのCorrespondence,2020年4月18日)とかSciAmの"COVID Risks at the Tokyo Olympics Aren’t Being Managed, Experts Say: Current prevention measures may not be enough to prevent an outbreak"という記事(7月17日にも取り上げた,2021年7月13日の記事)でインタビューに答えて発言していることから考えると,真っ当なリスク評価の重要性をわかっているはずで,本当に「選手村は安全です」と断言なんてするだろうかと疑問に思ったが,英語記事でも,"McCloskey gave a firm "yes" when asked if the Olympic village is still safe with the rising number of virus infections."とあったから,現在の感染者数上昇ならまだ選手村は安全と「断言」したのは間違いないようだ。ただ,この英語記事でも,クラスター発生を防ぐことが何より大事だし,"with all the countermeasures in places, particularly the robust testing measures and quick response of isolation, the infections will not pose risks to others."(頻回な検査と迅速な隔離をすれば他の人に感染させるリスクはない)と言っているので,無条件に絶対安全と言っているわけではないのだが,おそらく偽陰性を軽視しているようだ。たとえ抗原エピトープ1コピーを確実に検出できるくらい増幅を何度もやったとしても,体内のどこかにウイルスがいるときに,それが採取したサンプルに偶々入らない可能性は否めないという意味で,偽陰性は一定の確率で存在するし,そう考えると,この対策では万全ではない。Dr. McCloskeyは決して感染制御の素人ではなく,エボラやMERSの対策でも活躍しリオ五輪のときのZikaのリスクにも対処したとのことだが,エボラやMERSは感染力が弱く感染制御のプロのチームによる対策だし,Zikaは蚊媒介だったので,経気で感染するCovid-19の感染力を甘く見ているのではないか。選手村の相部屋の現状やリスクを十分にわかった上での発言なのだろうか。それと,多くの素人がかかわっている日本の体制を過信しているように思う。日本には「名目上できていることになっているけれども実はできていない」ことが珍しくないこともわかっていない気がする。かつ,熱中症リスクも考えていないとしたら致命的だ。
- 六甲に行くだけで疲れたが,博論審査を無事に済ませて名谷へ移動。しかし暑いなあ。
- 17:30頃からポーランドで行われているChopin Piano Competitionの予備予選ライブ中継を流しながら仕事。角野隼斗さんも素晴らしい演奏だったが,他の演奏者も負けず劣らず良い演奏をするなあ。台湾のSZU-YU SUとポーランドのALEKSANDRA SWIGUTが同じ革命エチュードを弾いたが,まったく受ける印象が違った。前者はとてもhigh precisionな感じで,後者はとてもemotionalだった。田所光之マルセルさんのエレガントな演奏(それでいてとても軽やかなマズルカ!)にも耳を惹かれた。国はフランスとなっていたが,実は日本生まれで菊里高校出身なのだった。Twitterもしていて(@marcel_tadokoro),既にAmazon Digital Musicでアルバム出してるなあ。
- Dyer O "Covid-19: Indonesia becomes Asia’s new pandemic epicentre as delta variant spreads"というBMJのニュース記事(2021年7月16日),インドネシアでのデルタ株大流行を報じている。
- 昨日から英国は行動制限を解除してしまったが,Gurdasani D et al. "Mass infection is not an option: we must do more to protect our young"(LancetのCorrespondence,2021年7月7日)が,集団感染はオプションの1つではない,と反対声明を出していた。5つの論点を上げ,英国政府は青少年を含む誰もがワクチン接種の機会を提供されて接種率が高くなり,換気施設(二酸化炭素モニタとフィルター)や教室の生徒数を減らすなどしてスペースを取ることなどの緩和策がとられるまで,完全な制限解除は延期すべきと主張している。それまでは,WHOが呼びかけているワクチン接種済みの人も含めた屋内での常時マスク着用,SAGEやUSAのCDCが呼びかけている換気と空気フィルター,SAGEが独自に呼びかけている検査+追跡と隔離+サポートという有効な国境検疫といった公衆衛生的対策が必要としている。
- Radtke T et al. "Long-term Symptoms After SARS-CoV-2 Infection in Children and Adolescents"(JAMAの研究レター,2021年7月15日)は,青少年にSARS-CoV-2が感染した後の長期間続く症状についての報告。静脈血を採取してABCORA 2.0 testというキットでSARS-CoV-2に対する免疫グロブリンを測定し,陽性と陰性の2値判定をして,2群間で症状を比べている。2020年10-11月から2021年3-4月で,抗体陽性だった109人のうち4人,抗体陰性だった1246人のうち28人が,少なくとも1つの症状が12週間を超えて続いていた。抗体陽性の子どもで多く見られた症状は疲労感(3人)と集中困難(2人),睡眠の必要の増加(2人)だったとのこと。
- Nagie Laneが9月22日にアルバム『Interview』でメジャーデビューとのことでめでたい。新加入したBassのEuroさんはがっくん脱退後,吉田圭介さんがヘルプに入ったとき以外はずっとサポートベースをしてくれた方だし,keijiさんは超名曲「あのね、」の作詞作曲や「ヴィーナスルージュ」と「花と蜜」の作曲をされた方なので,もう気心が知れている間柄だろう(関ジャム放送後SPライブにもお二人とも参加していたし)。たぶんメジャーデビューを契機にメンバーの呼び名を小文字アルファベットで統一することにしたようで,ビルボードジャパンの記事では,バラッチさんがbaratti,れいちょるさんがrei,ブリジットまゆさんがmayu,mikakoさん(発音は「みきゃこ」だったが)はそのままmikakoという表記になっていた。実は『Interview』のラストを飾っているのが「あのね、」だというのも良い構成だと思う。
- 2:00過ぎに眠った。
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