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【第854回】 土曜だが今日も明日の発表準備とか(2021年9月25-26日)
- 8:30起床。寝坊した。81.50 kg。
- 明日が生態学会フォーラム当日なので,今日中にはプレゼンファイルを仕上げないと。
- 講義準備もあるし,実は科研の申請締め切りも近いのだが。
- ドラゴンズはスワローズとスコアレスドロー。終盤までロドリゲス投手がノーヒットピッチングだったが,塩見選手にヒットを打たれたのが残念だった。
- 日曜は保全生態学のフォーラム。82.10 kgはまずい。以下メモ。→付き括弧内は感想。
- 自分の発表は時間が全然足りず尻切れトンボで申し訳なかった。曽我さんはenvironmental psychology的な話が多かったが,この論文面白そうだ。衛生仮説の関連で紹介されたこの論文も面白そうだ。このメタアナリシス論文も面白そうだなあ。(→ビオフィリア傾向を所与のものと認めて良いのかはやや疑問だが。あと,途上国の農村部住民でも米を買って主食にするようになると肥満や糖尿病は増えるので,そこは都市化の影響とは少しズレがあると思う。)沼田さんの人間とエコツー(沼田さんはnature-based tourism推奨)の話は,まずFletcherのテキストからTourismの定義から。動物の移動との違いとか,RecreationやLeisureとの違いとか。用語が入り組んでいて,ところどころ混乱もある。日本ではエコツーリズム推進法が2008年に施行されているので,エコツーリズムが自然ツーリズムの代表的なものとして扱われている。ただしエコツアーの内容はかなり多様で,自然よりもローカルな歴史や文化にフォーカスしたものもある。IUCN保護地域カテゴリーシステムで,強く保護されている地域でも,かなり観光はされていて,重要な文化的生態系サービスの一つとなっている。このレポートの紹介も興味深い。
- 次は第2部に入って,金子さんの「農業と生物多様性」という話。(→具体的な話が多くて大変わかりやすい。生物多様性と収量は本当にトレードオフか? という点は研究が不足しているそうだが,職業としての農業であるならば,収量が多くなくても谷口さんのお米のように付加価値を付けて高く売れれば成り立つのではないか?) 果物は収量に差がないというデータも出ている。慣行農法でも有機農業でも分解者と捕食者は多様性にあまり差がないというデータもでている。保全農法が最近世界で盛んになってきていて,土壌攪乱を防ぐ・地面を有機物で覆う・輪作・混作というのが要素だそうだ(→が,これって,福岡正信さんとか川口由一さんとか木村秋則さんの自然農というか不耕起農法とかで実践されてきたことではないの? と思っていたら,自分以外にもそう思った方がQ and A欄でコメントされた)。科学的なエビデンスも増えてきており,ドイツの小麦畑で(Redlichら2020)では収量に差がなかったデータが出ていて,炭素の土中固定とかメタン削減にも役に立つので今後広めるべき。気候変動にも影響する。保全農法は世界的には急速に普及しつつある。土壌生物の多様性が保全される。(→SDGsの文脈で推進したら一気に進めることもできるのではないか?) 耕さないと補助金が出ないという農水行政の硬直的な運用に問題があり対話はされている。次は千葉大園芸の秋田さんにより「住民参加のまちづくりと生態系」という話。このテーマならたぶんあるだろうなと思っていたら,やはり流域治水の話にも触れられるようだ。四全総とリゾート法により自然豊かな場所の無秩序な開発が加速したことが大きな問題の原因。安曇野のスプロールに対する独自の土地利用規制とか,湯布院のまちづくり条例による開発との闘い(プロジェクトXで取り上げられた)とか。里山と太陽光発電について,GEJE後再生可能エネルギーへの補助金とFIT制度により太陽光発電急増。茨城の里山にメガソーラーが大量に設置された。メガソーラーは景観を損なうだけではなく生態系にも大きく影響するので問題(→たぶん太陽光発電パネルは各住宅の屋根に設置するようなやり方の方が良くて,メガソーラーから大規模に蓄電して配電というのはエネルギーロスも多いし筋が悪いと素朴に思うが,それ以上に害が大きそうだ)。新宮川水系と五ヶ瀬川水系では気候変動を踏まえた流域治水が現在着々と進んでいる。石巻の津波被災地の復興について元々の住民やボランティアと協力しながら進めた話。和辻『風土』の精神が大事。次は徳島大学の河口さんと佐藤さんにより「エネルギー変革と生物多様性」という話。再エネ拡大は急務だが,ダム建設による生物多様性低下,風力発電風車設置によるバードストライク,バットストライク,メガソーラーを水鳥が開放水面と混同する事故等が問題。風力は今後は洋上がメインになりそうで,秋田では海岸線全部に風車が設置されるかも。予防措置としてセンシティビティマップを作るのは有効。環境省のEADASもその一つとして使えそう。事例として,バードストライクが一番多いオジロワシの生息適地マップを作った話。再エネ導入に際して,今後はCO2削減予測だけでなく,生物多様性への影響も合わせて提供されるべき。
- 次に第3部は環境省の岡野さんにより,これからどのような人間生態系を作るかという話。昨年9月のGBO5を踏まえると愛知目標達成困難なので社会変革が必要(→ただそこはone healthというよりplanetary healthというべきと思うが)。だからSDGsが重要。生態系を基盤とした社会変革。阿蘇の草原減少について社会要因や経済要因も大きく関わっているので地域づくり運動を立ち上げた。草原再生協議会を作った。野焼きボランティアだけでは不十分で,あか牛のブランディングも。エコロジカルシンキング・ワークシート(生態学会監修)を適用するとわかりやすいという話(森里川海からはじめる地域づくり:地域循環共生圏構築の手引き Ver.1.1参照)。環境省の取組みとしては,地域循環共生圏=ローカルSDGs=自立・分散型社会(→実はその方が感染症にも強いはずだよなあ。化石燃料を使って長距離移動するのを減らして人力移動が増えるとか食糧自給のために食べ物の中身が変わったら,もしかすると慢性疾患も減るかもしれないし)を推進。真庭ではいろいろな取組をしているそうだ。今年のG7サミットで30by30を約束したが,結果として多様性が維持されるような土地利用になれば良いので,地域循環共生圏を進めることでそれができると考えているそうだ。(→まあbusiness as usualでは地球が保たないことはIPCCの様々な報告書に予測データが出ているから変革が必要なことは間違いないが)(→SDGsはsynergyが大事と言われているから,地域循環共生圏は良い発想と思うが,社会組織が大きいほど大規模な技術開発に取り組めるからグローバリゼーションから抜け出したくないという指向性も人類にとって自然なので,そこから脱却できるか――例えば技術開発のバーチャル化などで――が一つの鍵なのではなかろうか)
- 本来は17:00までの予定だったが,岡野さんの発表が終わった時点で17:20。総合討論はごく短く終わったのが少し残念だったが,まあ仕方ないか。
- 今日のドラゴンズは,昨日最終打席に受けたデッドボールの影響か,髙橋周平選手がスタメンを外れている。小笠原投手が1回裏に山田選手を歩かせてしまった(2-2の次の球はストライクだと思うがボール判定になったのが痛かった)後,村上選手に物凄いホームランを打たれて0-2と劣勢。自身が二塁打を打っても点に結びつかず,その裏はヒット・四球・ヒットで満塁になったところで山田選手にホームランを打たれて0-6。これはほぼ負け決定だな……とは思っていたが,さすがに0-16は想定外だった。これだけの完敗だといっそ清々しい……ということはないなあ。神宮に行ったドラゴンズファンがもしいたら気の毒すぎる今年ワーストゲーム。
(list)
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