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【第855回】 講義準備と科研準備(2021年9月27-28日)
- 月曜は5:00起床。81.50 kg。名谷キャンパスへ出勤。時折メール相談や院生からの相談に応じながら,一日中講義準備と科研の申請書類を作っていた。
- 火曜は7:00起床。81.85 kg,98%,35.9℃。今日も名谷キャンパスへ出勤。
- 三重大学の奥村先生がRTしていたこのtweetで知ったバングラデシュでのCommunity Intervention Trialによるマスク着用奨励の効果について。tweetからリンクされているのは紹介記事で,そこで「詳細はこちら」という形でacademic paperとしてリンクされているのがAbaluck J et al. "The Impact of Community Masking on COVID-19: A Cluster-Randomized Trial in Bangladesh"(Innovations for Poverty Action Working Paper,2021年9月1日;たぶんYale大のサイトに載っている,COWLES FOUNDATION DISCUSSION PAPER NO. 2284Rと同じもの)。研究を実施したIPAという国際NPOのワーキングペーパーなので(2021年4月にNBERワーキングペーパーとして発表されたものの改訂版として8月31日付けで作られ,翌日付けでIPAから公開されたという経緯のようだ),これ自体は査読付き学術雑誌に載っているわけではないが,介入試験としてClinicalTrials.govという公的なプロトコルデータベースにNCT04630054で登録されているし,Yale大学のIRBとバングラデシュ医学研究カウンシル研究倫理委員会の倫理審査で承認されている(それぞれIDは2000028482と330 26 08 2020)。NatureでNEWSとしてこの研究を紹介している記事も,Johns Hopkins大学の公衆衛生学のチームによる紹介記事も研究としての価値を認めているようだ。
- Springerの人口学会によるBriefsである"Popultion Studies of Japan"の編集委員をしているおかげで,このシリーズの出版物はすべて送られてくるのだが,今日2冊届いた。プリンストン大学の打越さんとRaymoさんによる"Educational Assortative Mating in Japan: Insights into Social Change and Stratification"と東北学院大学の仙田さんによる"Pregnancy Outcomes of Unmarried Women in Japan (1995-2015): From Abortion to Birth"である。どちらも社会学的なアプローチで,打越さんとRaymoさんはSSMとJLPSという2つの調査データセット,仙田さんは人口動態統計のデータを使って多変量解析をしているようだ。後で読もう。
- 今日のドラゴンズはエース柳投手が投打に活躍していたが8回に同点に追いつかれ,嫌な雰囲気が漂った。しかし8回裏に大島選手が内野安打で出塁した後,福留選手にツーランホームランが出て勝ち越し,さらに髙橋周平選手のヒットから木下拓哉捕手のツーランホームランと続き5-1。9回表のライデルマルティネス投手はコントロールが悪く1失点したが5-2で勝ち切った。柳投手の10勝目が嬉しい。
- 日曜の保全生態学フォーラムで知った,Soga M et al. "A room with a green view: the importance of nearby nature for mental health during the COVID-19 pandemic"(Ecological Applications,2020年11月17日)は,COVID-19パンデミック中のメンタルヘルスのために,身近な自然が重要で,そのためには部屋から緑地が見えると良いというタイトルだが,行動への制約が長引いていることで蔓延している閉塞感からか,自分の知り合いでも精神状態が悪化している人が少なくないので,重要な視点だと思う。東京で3000人にオンライン質問紙調査をして, 5つのメンタルヘルス尺度(GHQ-12でうつと不安,Liang (1984)版の生活満足度尺度Aで生活満足度,Lyubomiskyの主観的幸福感尺度で主観的幸福感,Rosembergの自尊感情尺度で自尊感情,UCLA孤独感尺度第3版で孤独感)と2つの自然経験評価値(「先月,あなたは近所の緑地に合計何回行きましたか」「先月,あなたは週平均どれくらいの時間,近所の緑地で過ごしましたか」「自宅でもっとも長時間いる部屋の窓から緑地が見えますか」の3問を尋ねたが,緑地滞在時間と緑地訪問回数はr=0.696と高度に相関していたので訪問回数だけを分析で使った)の関連について,社会人口学的な変数やライフスタイルの変数を考慮し,すべての変数を標準化して線形回帰モデルを当てはめ,偏回帰係数を効果量として考えると,Figure 3に示されているように,緑地訪問回数と窓からの緑地の眺めと所得(と生活満足度を除き年齢)が自尊感情,生活満足度,主観的幸福感に正の影響,孤独感,うつと不安に負の影響をもつことが示されたとしている。これらの変数から考えると,個人の対処というよりも,都市緑化政策を推進するためのエビデンスの1つということだな。グループレベルの変数として居住地の緑被率とかソーシャルキャピタル的なものとか調整すべきではないかとか,このようなまとめ方にするなら,2つの潜在因子を介した共分散構造モデルにした方が良くないか,とか思うところはあるが,興味深い研究と思う。
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