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【第953回】 博論発表会とか(2022年1月28日)
- 6:30起床。82.60 kg、98%、36.6℃。
- 木村幹先生の『韓国愛憎:激変する隣国と私の30年』中公新書のKindle版を読了したが、大変興味深かった。変化し続ける対象への参与的な研究という意味では、公衆衛生的なのだが、木村先生がそのことに自覚的であるのに対して、公衆衛生学者の多くはそうではないように思う。たぶん尾身先生や押谷先生は自覚的だと思うが。木村先生はぼくより2歳若く、育った場所が違うのだが、博士課程を中退して助手になったところとか、若い頃に高所得国ではないところに単身滞在したことがある(ぼくの初海外は修士課程2年のときのパプアニューギニアだったが、本書を読んでいて、ラジオニュースを聞いて参議院内閣首班指名を首相決定と勘違いしたのであろう村人から「土井たか子が日本の首相になった」と聞かされて大変驚いたことを思い出した)など、自分との意外な共通点がいくつかあった。1点だけ気になったのは「エコチェンバー」という表記で、echo chamberは「エコーチェンバー」と長音表記するのが普通だと思った。なお、研究者にとっての名言と思う文がいくつもあって印象に残った。例えば「重要なのは、自らの主張に都合のよい証拠を並べることではない。むしろ都合の悪いように見える証拠を真摯に検討し、自らの主張の内容をアップグレードすることが必要」(pp.186-7)は、すべての研究に通じる至言だと思う。
- 名谷キャンパスに出勤して、博論発表会にオンライン参加している。
- 締め切りを延ばして貰った某ファイルを今日中には提出しなくてはいけないので、その作業もしなくては。
- 加藤礼愛さんの「決戦は金曜日」カバー(リンク先はYouTube動画。ドリカム中村正人さんが「こうして受け継がれていくのはとてもありがたいことです」とtwitterでコメントしている)、Amazon Digital Musicで音源購入した。
- Twitterのトレンドワードになっていた「デルタ変異」って何のことかと思ってリンクを辿ったが、Yahoo!ニュースに転載された日刊ゲンダイの記事では要領を得なかった。リンクがなかったが検索して見つけた、元の2022年1月23日付け新型コロナウイルス抗体測定協議会のレポートを読んだら、『検査機関からの報告で2種類のPCR検査試薬のうちでN2プライマーセットの働かない変異株が12月中旬から東京を中心に発見されています。L452R変異を持つところから、デルタ株の変異型と思われます。現時点でのゲノム解析からはN2プライマーが用いている配列内に変異(C29144T)が起こっていることがわかりました。この変異はアミノ酸配列は変わらないため臨床的な意味は不明です。』と書かれていた。同義置換であるなら性質は同じと考えられ、下位系統として区別する必要はないと思うので、日刊ゲンダイの記事は端的に言って煽りすぎ。(注:L452Rという表記はアミノ酸配列における変異(452番目のアミノ酸がロイシンからアルギニンに変わったことを意味する。1文字略語の表を参照)を示しているが、C29144Tというのは塩基配列における変異を示している。TはDNAだよなあと思ったが、RNA配列の変異を書くときはウラシルのUではなくTを使うらしい)
- 2022年6月20-23日にオンライン開催されるuseR! 2022の事務局からメールで案内が来た。チュートリアル報告申込の締め切りは2月15日、一般報告申込締め切りは3月1日。参加受付は3月1日開始とのこと。公式twitterアカウントをフォローした。
- UK政府の2021年12月31日のTechnical Briefでは、ワクチン2回接種後25週以上経った人の入院リスクはデルタ株で0.15倍、オミクロン株では0.49倍、ブースター接種後2週間以上経った人の入院リスクはデルタ株で0.11倍、オミクロン株で0.32倍(Table 5)となっていた。2022年1月27日付けの「COVID Vaccine Surveillance Report Week 4 2022」では、全COVID-19について2回接種での発症オッズ比は0.93、死亡ハザード比は0.45、死亡を防ぐワクチン有効性は59%、これが3回接種後だとそれぞれ0.41、0.12、95%に改善するが(Table 1)、オミクロン株の下位系統BA.1とBA.2については、発症を防ぐワクチン有効性が、2回接種後25週以上でそれぞれ9%と13%、3回接種後2週以上で63%と70%となっていた(Table 3)。BA.2の方がスパイクタンパクの欠損が少なくて、BA.1よりは従来株に近いからか、むしろワクチン有効性は高いようにみえる。とはいえ、3回接種後で発症予防効果が60-70%しかないというのは、従来株に対しての有効性に比べるとかなり低いので、オミクロン株用の新しいワクチン開発が必要だろう(とはいえ、たぶんBA.1やBA.2の流行が始まってから期間が短くてまだ十分に評価できないのであろう、入院予防や死亡を防ぐ効果はもう少し高いと思われるので、一般論としてブースター接種は受けた方が良いと思うが)。
- 駐日トンガ王国大使館によるトンガ王国火山噴火および津波災害義援金の受付tweet。この銀行口座に寄付すると、大使館が政府指定の義援金口座に振り込むとのこと。トンガ王国政府への寄付となる。日本オセアニア学会でやっている義捐金募集は、「トンガに関係の深い本学会会員の助言を受けて本学会理事会が責任をもって寄附先を選定し、現地における復興活動に役立てていただく」と書いてある通り、これまでの義捐金募集活動もそうやってきた通り、実際に復興支援をしている団体のうち寄付金をもっとも有効に役立てていただけそうなところに寄付することになっている。検討の結果、政府にということもあるかもしれないが、現地で大変良い活動をしているが資金が足りなくて困っている団体を支援するという形になるかもしれない。政府に公式窓口があるのに、敢えて学会が義捐金募集をする意義はそこにある。
- 今朝で食材が尽きているので、アグロガーデンかLIFEに寄って帰りたい。
- この写真を見る限り、今年の髙橋周平選手は絞れていて期待できそう。長打を打つために身体を大きくして動きが悪くなってしまった去年の失敗を繰り返すことはなさそう。
- 斎藤成也さん、最終講義なのか。
- 以前から書いているように、日本の人口動態統計は発表までに時間が掛かるのが難点で、現時点での最新発表は、1月25日に出た、2021年8月分までの概数である。これの第7表を見ると、欧米に比べるとマシだとはいえ、日本でも2021年の感染症死亡の中ではCOVID-19による死亡が桁違いに多かったことが目立つ。2020年の1~8月では1,232人の死亡だったのが、2021年の1~8月では14,427人も亡くなっている。感染症の中では同期間の死因2位の感染性胃腸炎が2020年1~8月の1,503人から2021年1~8月には1,277人に減少し、死因3位の結核が2020年1~8月の1,246人から2021年1~8月の1,229人へと減少している。インフルエンザによる死亡は2020年1~8月の935人から2021年1~8月には15人に激減している。これはコロナ対策のための行動変容によってインフルエンザ流行が徹底的に抑えられたからだろう。
(list)
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