Hu G et al. "Assessing inequities underlying racial disparities of COVID-19 mortality in Louisiana parishes"(ProNAS, 2022年4月5日)は、ルイジアナ州では人口の32%しかいない黒人がCOVID-19による死亡の半数を占めることから、その原因を探り、構造的なレイシズムが黒人の健康へのさまざまな有害因子をもたらし、それがCOVID-19による黒人の死亡を増やしたという報告のようだ。64のパリッシュ(元々教区の意味だが、ルイジアナ州でのみ、カウンティ[郡]の代わりに州の下の行政区分となっている)についての2019年までの社会経済的な指標値や健康リスク要因データと2020年からの短期的COVID-19の影響についてのデータを使って、主成分分析の結果を地理的な視点から解釈し、元々レイシズムが酷くて健康リスクが高かったホットスポット的なパリッシュでCOVID-19による死亡も多かったと論じているように思われる(流し読みだが)。二次資料の解析としてはこういうのもありなので、日本の都道府県を単位として同じような分析をしてみると発見があるかもしれない。いや、もう誰かやっているか?
Hekmati A et al. "Simulating COVID-19 classroom transmission on a university campus"(ProNAS, 2022年3月21日)は、オリジナルの株と変異株について、USAの大学での対面講義とハイブリッド講義での教室内での経気感染リスクを比較したシミュレーション研究で、マスク着用の効果やワクチン接種の効果も調べている。ワクチン接種無しの場合、90%の学生がオンライン受講すると新規感染者が17-18倍減少し、皆がマスク着用すると2.7-3.6倍減少するが、元の株だと90%以上の有効性のあるワクチンをマスク着用するなら少なくとも23%(マスク無しなら64%)の学生が接種すればフルに対面で講義をしても教室での感染による新規感染者増加を防ぐことができるが、感染力が強い変異株に対しては全員がマスクを着用しても93%以上の学生がワクチン接種しないと新規感染者増加を防げないことを示した、とabstractにある。