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【第1225回】 日本国際保健医療学会大会@愛知県立大(2022年11月19-20日)
- 5:00起床。今日と明日は愛知県立大長久手キャンパスで日本国際保健医療学会の大会があるので早起きした。
- 84.25 kg。昨日の晩飯は遅かったからなあ。こうして実測していると、体重はプラスマイナス1 kgくらいは簡単に変動するので、1回の測定では、いくら測定自体を精密な体重計でやったとしても、その程度の精度しかないということが実感できる。これって、COVID-19検査において、PCRでの遺伝子配列検出自体がいくら高感度でも、低濃度感染している人で鼻咽腔ぬぐい液や唾液サンプルを採取したときに偶々ウイルスが入らなかったら陰性になってしまうという話と似ているな、と思う。
- 玄米ご飯の残りに電子レンジ加熱したレトルトカレーを掛けて食べ、豆匠のマンデリンハイローストをペーパードリップして水筒に詰め、髪を洗うなどしていたら6:00になってしまい、JRで新大阪から新幹線では予定していた東山線に乗り継げないので、地下鉄で新神戸に出て新幹線に乗った。
- 名古屋から地下鉄東山線で終点藤が丘まで行ってリニモに乗り換え、愛・地球博跡地の駅で下車。オープンしたばかりのジブリパークとは反対側にある愛知県立大学長久手キャンパスへ。入り口のところで桜が咲いていたのには驚いたが、ともかく広いキャンパスで、周囲に店などがなく、昼はどうしようかと心配になった。午前中の大会長講演と基調講演を聴いてからB会場へ移動し一般口演セッション5に参加した。ここで昼になったのでいったん駅に戻って公園内に見えていたローソンでサンドイッチを買ってきて食べた。昼の間行われていたWHO神戸センター共同企画は聴けなかったが仕方ないだろう。午後のセッションは、難民の現状とウクライナにおける赤十字の人道支援の現状と課題についての特別講演から参加。
- その後は一般口演のセッション3つに参加してからホテルへ。まったくの偶然だが、すぐ近くでNagie Laneがライブやっていたのだな。たぶんもう終わっているが。晩飯をとろうと名古屋めしを売り物にしている店に向かったが、今日は地下の方が貸し切りで臨時休業とのことだったので(サイトをチェックしてから行けば良かった)、近くの天丼屋に入り、地場天丼というのを食べた。これも美味かったから良いか。
- 6:00起床。まずは大浴場に行ってみる。
- 大変良い湯だった。次は朝食で、3種類から選べるようになっていたが、ステーキを選んで正解だったと思う。美味だった。
- 今日のセッションは9:00開始なので8:00以前にはチェックアウトせねばならないなあ。
- 朝一番は大学院留学生のメンタルヘルスのシンポジウム、続けてデータヘルスのシンポジウムに参加中。前者は各大学いろいろな取り組みをしていることと、ケースバイケースで対応するしかないことはわかったが、制度の実質化のための方策をもう少し聞きたかった気がする。データヘルスは谷村さんの趣旨説明から。高校でPythonとRを学ぶ時代、IoTやIoBで得られるデータをどう分析するか。以下メモ。
- 最初のシンポジストは長崎大学の金子さん。情報源は? サーベイランスは常時動いていなくてはいけない。能動的か受動的か? バイアスを許すか大変さに耐えるか。スマホによる個人の健康記録のデータは優秀だが公衆衛生的には標本バイアス大きい。デジタルデータには地域格差も大きい。集めやすいデータはどんどん集まるし(その技術は高まる)、集めにくいデータは取り残される。保健医療情報は集めにくいか? 電カルの標準化について政府情報DX本部が検討中。オスロ大学のDHIS2はアフリカを中心に集計データの集積は進んできている。熱研はケニアで個人ベースのデータ収集をしてきた。まずツール開発。HDSSはケニアの2地域で始めた住民登録。センサスとフォローアップだが、それが大変。いまはスマホでアップデート。個人同定と新生児把握に問題がある。解決のためには静脈認証などの生体認証技術(ID4AFRICA)を個人同定に、後者には母子登録。Linda Mamaプログラムなど。これは電子母子健康手帳ではなく、病院ベースで全数登録するものなので、公衆衛生的に利用。母子手帳との連結をどうするかを検討中。TICAD8のSIDE EVENTとして長崎大とロシナンテスとWHO協会でこのテーマのセッションした→デジタル母子健康手帳、母子登録コンソーシアムの設立。
- 2人目は新潟大の菖蒲川さんによるGISの話。原点はSnowの疾病地図とボロノイ図という話か。あれ? ボロノイ図の話はしないのか? 地理学における計量革命(記述→計量)。Garrison WLが1950年代に地理学にコンピュータを取り入れ多くの後進を育てた。Tomlinson Rが近代GISの父と呼ばれる。農地のデジタルマップ。測量技術の進歩(歩測→空中写真→衛星写真)も大きい。測量技術は戦争とともに発達。原爆投下やキューバ危機でも空中写真が大きい役割。一方では2020年ノーベル平和賞をWFPが受賞したが、ドローンを使った防災というGISに近い技術も。COVID-19 DashboardもGIS技術。クラスター対策班でGISを使った。ESRI Japanの迅速な協力により即座にサーベイランスマップのwebページができた(厚労省のサイトの深いところにあったのでページビューは少なかった)。正攻法でクラスターリンク図を作ったが難しかったし性質上公表できなかった。2020年3月14日に全国クラスターマップを作った。これにも風評被害を恐れる人たちから苦情が殺到した。地図は出しにくいが力はある。課題はデータ。サーベイランスデータは本当の数がわからない、都道府県より細かいデータがない、NESIDもHER-SYSも触れない、など。クラスターデータの手がかりは濃厚接触者のリンク情報(都道府県の公表情報のみ)。そこで東北大学のチームを中心に自分たちでデータを作ったMasterPref(今でも更新されている)。シンガポールのTrace Togetherから接触確認アプリがさまざまな形で世界各国で導入されたが、国によりシステムも導入程度も違っていた。UKはPHEICにおいて情報共有は平時と異なる方法で行うべきというコンセンサスがあった(日本にはなかった)。最近のデータ可視化ツールとしては、カリフォルニアのHealthy Cityなど。CMUによるピッツバーグのMetro21 3D地図など。データがあればできる。個人のトラッキングすら可能で、寄り道をする人ほど脳が萎縮しにくいという論文も出ている。新潟でもやっているがまだ論文としては未発表(古澤くんがソロモンでやったのは発表されているがなあ)。今年から始まったSOLVE for SDGsで採択された高速データ通信とAI技術による豪雪中山間地における新しい健康づくりのためのシナリオ創出。
- 3人目は林さん。「拡大・進化するオープン・データ:その種類と活用方法」。あふれるデータ→出典は? 人口データの原典はセンサスや登録に基づく人口数である静態統計と出生・死亡などのイベント登録に基づく動態統計。日本では公的政府統計としての静態統計が3種類ある。動態統計は人口動態統計。報告遅れと集計遅れがあることが批判される。COVID-19による死亡数については、死因別死亡が出るまで5ヶ月かかるが、それが確定数なみの信頼性があるという意味では悪くない。minipoでe-statの活用推進中。世界各国のセンサスはUNが少なくとも10年に1度はすることを推奨。2010年のデータ紹介。UKは1で終わる年にセンサスするので、Commonwealthの国はその影響を受けている。0で終わる年にセンサスをする国も多い。政情不安な15カ国がセンサス未実施。IPUMSで欧米や南米やアフリカも含め100カ国以上のセンサスの個票(抽出標本だけれども)が利用可能になっている(日本は個票を外に出すことが難しいので供出していない。オーストラリアや韓国も同様)。IPUMSのデータを活用した論文も多数出ている。12月2日にIPUMSのオンライン講演会が日英同時通訳で行われるので是非。世界の動態統計は全数把握できている国が少ない。出生はSDG16.9に書かれているので増えてきた。死亡登録は文化的に障壁がある国も多く、アフリカや東南アジアで進んでいない。世銀などが支援しているが進んでいない。登録がある国では集計データはオンラインで公表されている。死亡数の経年推移の国際比較などは可能(欠けている国は多いが)。世界の状況についてUNはWPPという推計データを出し、公開しているので無料でダウンロードできる。UNのWPPへの異論としてIIASAやIHMEも世界人口推計を出し、健全な競合状態になっている。保健データは日本では集計データはe-Statからダウンロードできる。個票は申請ベース。世界の保健データはDHSやMICSが代表的。申請すれば個票が使える。高齢者対象の調査も多く行われるようになっていて、いくつかのデータをまとめて公表するなども。INDEPTH Networkが世界のHDSSのネットワーク化。DHIS2はルーチンヘルス(業務統計)の地域保健情報システムとしての統合。世界73カ国(LMICs)で運用されている。セネガルでもDHISを利用した例はある。オープンデータではなく、中の人がログインして使うのみ。インドはHMISという独自システムで、これは外にもある程度オープン。インドネシアのPUSDATINやSDMKは集計結果は公表されている。コロナによってサーベイランスデータの公表は拡充された。継続性には問題あり(エチオピアのは既にリンク切れ)。携帯電話利用データを使った研究も増えているが、外国人が使うのは難しい。WHOやIHMEなど加工済み保健データの公表は広まっているが、原典データをどのように加工しているかを知る必要がある。例えばWHOの死因別死亡は老衰を死因と認めないため、その分が他の死因に按分されているなど要注意。
- 総合討論。生体認証とSTEPSについて質問してしまったが、ムスリムでは顔認証が使えないということと、生体認証技術は進んでいて声認証なども含めた総合認証のようなシステムが開発されつつあること、個人同定の部分は個別の調査とは独立させることも進みつつあるという話であった。林さんからは書きたくない死因の話など。
- ランチタイムは黙食可の部屋で弁当を食べながらセルフケアの話を拝聴した。ついで自分が座長をした教育講演で傾向スコアの活用という話。最後の方でバングラデシュでの調査データについて2つの方法で傾向スコアを使った結果が提示された点について、どちらが良いのか尋ねてみたら、両方載せるという答えが目からウロコだった。ソフトとしてはRがお薦めとのことだったが、たくさんのパッケージがあるからどれが良いのかという質問意図が伝わらなかったのかも。例えばこの論文で紹介されているMatchingとか、Step-by-step guideがお薦めしているMatchItとか、傾向スコアで検索すると多数見つかって、目移りしてしまうのだが。
- その後の最終セッションは、シンポジウム5として『オンライン・リモート時代の国際協働:限りある資源の中で「誰も取り残さない」思いを実現するTips』で、最初に松井先生が多数紹介されたフリーソフトのうち、Kobo ToolboxとOpen Data Kitは使ったことがないので、あとでチェックしようと思った。オンラインでの草の根協力で聴覚障害の方が参加した際の工夫、たぶん言葉だけでは語りにくいところもあるだろうと思われた。参加型研修と民際協力をオンラインで、という話は、自分は経験がないが、それはそうだろうなあと思われた。質疑で留学生にRを教えるべきというのはわかるが教員にハードルが高いのでどうしたら? というのがあって、松井先生がたぶんこちらを見ながらフロアに回答を振られたので、Rcmdr/EZR、RStudioと進むフロントエンド利用と、完全メニュー操作フロントエンドとしてのjamoviを紹介してみた。あ、R Analytic Flowも紹介した方が良かったか? Facebookとmessengerは海外ではフル活用したというコメント。取り残さないために有効。聴覚障害の方には、むしろ対面よりもZoomの方がチャットを併用できるので良い面もある。ロシアと中国はFacebookが使えないなど、世界中でやろうとしたときは障壁になるので、各国の事情に合わせなくては。Zoomのチャット欄は記録が残るので多言語でやるのに良い。会話をリアルタイムで翻訳して字幕を出す機能も使えるらしい→これは知らなかった。ホワイトボードも使える。
- 終了後、とくに寄り道せず帰途につき、新大阪行きの新幹線に乗って味噌カツ弁当を食べていたわけだが、JR神戸線で接触事故のため芦屋と西明石の間が不通という事態が発生していて、大阪でJRを降りて阪急梅田から特急に乗り、新開地で山陽電車に乗り継いで帰宅した。疲れた。
- 2週間ぶりにグラフを作ってみたので載せておく。
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