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【第1967回】 最近Kindleで読んだ本など(2025年12月2日)
- 名谷キャンパスに出勤し、10:00頃から12:00過ぎまで、オンラインで留学生の博士論文のための統計解析指導。
- Kindleで本を買うのがあまりに簡単なので、ついつい買ってしまって、移動中に読んでいるのだけれども、途中で次の本に移ってしまって放置しているものも多く、ちょっとメモしておく。
- 9月1日に買って読了した、原浩『火喰鳥を、喰う』は映画原作のホラーであり、わりと短時間で読了した。どちらかというと後味の悪いサイコホラーで、伝奇だったりエスニックな雰囲気はそこまで強くなかった。結局映画は見に行かなかった。
- 真藤順丈『宝島 上下合本版』も映画原作であり、9月10日に買って読み始めた。返還前の沖縄を舞台にしたピカレスクロマンで、抑圧された重苦しい状況を臨場感をもって描き出す筆致は凄いのだが、重すぎて途中で止まってしまった。これも映画は見に行けなかった。
- 9月17日に買った、原田浩二『水が危ない!消えない化学物質「PFAS」から命を守る方法 身近に潜む危険な有機フッ素化合物』は、かなり前から日本各地でPFASを測っている京大の原田准教授による一般向けの本で、読みやすいがまだ読了できていない。
- 9月22日に買って1時間くらいで読了した、松岡圭祐『高校事変23』は、どちらかといえば荒唐無稽な作品なのだけれども、松岡圭祐作品は全作品世界がつながってきた壮大な世界観が展開されており、この高校事変シリーズが中心にあるので、読み続けざるを得ない。
- 冊子体では随分前に買って既読だったが、10月から研究生になった大学院入学希望の留学生が研究したいテーマとの関連が深いので、いつでも参照できるようにするためにKindle版も9月24日に購入した、杉田映理、新本万里子『月経の人類学―女子生徒の「生理」と開発支援』は、タイトル通りの本で、月経関連の研究をするなら基本文献だと思う。新本さんはパプアニューギニアのフィールドワーカーなので、以前からオセアニア学会で知っていた。
- 10月1日に買った、医療人類学で有名な波平恵美子『ケガレ』は積読状態だなあ。
- 10月12日に買った、Roozenbeek J, van der Linden S "The Psychology of Misinformation"は、最近邦訳『現代誤情報学入門』日本評論社が出て、冊子体で買ったのだが、原著はKindle版で読むことにした。けれども最初だけ読んで積読になっている。
- WOWOWの連続ドラマWで初回が無料視聴できたので見てしまった『1972渚の蛍火』の原作、坂上泉『渚の蛍火』は、『宝島』と同じく返還直前の沖縄を舞台とした話だった。10月21日に購入し、一気に読了してしまったのは、ドラマ初回で主要登場人物を演じていた俳優たちがあまりにイメージ通りで、重い話なのにところどころユーモアもあり、謎解きミステリとしてもうまくできていたからだろう。ドラマの2回目以降も少し見たくなったが、連続ドラマWは数年経つとWOWOWプラスでも放映されるので、それを待つかな。
- 松岡圭祐『令和中野学校II 対優莉戦』は先述の通り、全作品世界が繋がりつつある松岡ワールドの要素の1つなので、10月27日に買って1時間で読了した。こういうエンタメ作品は何も考えずに物語として楽しむのが正解だと思う。いわゆるローファンタジーだし、いろいろと現実風刺っぽいことも書かれているが、パラレルワールド冒険譚と思って読む方が精神衛生上良いだろう。
- 小川哲『火星の女王』は10月27日に買って、1週間くらい掛けて読んだが、これもNHKで放映予定のドラマ原作。疎外状況と自己実現、公平性みたいなテーマが展開するが、実はこの中で完結するというよりは、壮大な叙事詩の第1章みたいなところで話が終わってしまった感がある。ドラマではこの先もやるのだろうか。
- 10月28日に、たぶんXで知って買った、小熊英二『基礎からわかる 論文の書き方』は卒業研究の学部生に紹介しようと思って読んでみたが、悪くはない。
- 髙橋将宣、渡辺美智子『欠測データ処理 Rによる単一代入法と多重代入法』は、miceとAmeliaを使いながらmultiple imputationを学ぶためには最高の本で、冊子体は既に持っていて熟読したが、いつでもどこでも内容を確認できるように、Kindle版も10月31日に購入した。そのつながりで、髙橋ら『統計的因果推論の理論と実装 Wonderful R』も同日に買ったのだが、固定レイアウトなのでスマホでは読みにくく、ちょっとだけ読んで積読になっている。
- Daniel Kahneman "Thinking, Fast and Slow"は、ハヤカワ文庫から出ている邦訳は随分前に読んだが、大学院生(とくに留学生)に紹介するために原著もKindleで持っておこうと10月31日に買った。
- 石原ら『わたしたちの中絶―38の異なる経験』は、日本国際保健医療学会の自由集会で知って買い、その方が書かれた章だけは読んだが、残りは積読になっている。
- 岩井圭也『永遠についての証明』はNHKでドラマ化された原作本で、11月21日に買ったが、2日くらいで読了した。自然を記述する数学に取り憑かれた天才数学者が、日常生活と折り合いをつけることができずに酒に酔うことにインスピレーションを求めてアルコール依存症となって破滅しながらもラマヌジャンのようなノートを遺し、無事に日常生活を送れている秀才数学者が憧れと反発の狭間で苦しみながらもノートを解読しようと苦しみ、やがて一面の真実に至るという、美しくも苦しい物語であった。気がついたときにはBSでの放映は終わっていたので見ていないのだが、そのうち地上波で流れそうな気がする。
- 中山七里『有罪、とAIは告げた』は11月23日に買って2日くらいで読んだが、芳根京子主演で来春BSで放映予定のNHKドラマの原作。近未来SFかと思ったが、むしろミステリであった。たぶんドラマとしても見応えあると思う。
- 11月25日に松岡圭祐『JK V』が出たので買って、これも移動中に1時間くらいで読了。JKシリーズのヒロインが、まさかそっち陣営に行ってしまうとは。よく考えればすべてがJKの仕込みであるとわかるはずだが、まるでストックホルム症候群のようにそっちに行ってしまった。しかしまあ、これで両陣営互角くらいかとも思われるので、言ってみれば『高校事変』シリーズのクライマックスを盛り上げるための舞台配置なのかも。
- 11月29日に買って12月1日に読了した、国分拓『ガリンペイロ』は、『ヤノマミ』『イゾラド』を含むアマゾンを舞台としたNスペをずっと作ってきた国分さんが、同じシリーズでガリンペイロを取り上げたときの取材メモから書き起こされたセミドキュメンタリー(たぶん会話のディテールは創作だと思う)。2年くらい前に単行本はでていたが、今年文庫落ちして改訂され、追記が加わったものも含めてKindle化されている。大変読み応えがあった。
- 根本聡一郎『詐欺の家 SWINDLER HOUSE』は、11月29日に買ったが積読である。どこかでちらっと見かけて面白そうだと思った。
- ローゼンバウム『因果推論とは何か』は、まだ読んでいる途中だが、佐藤先生の『宇宙怪人しまりす 統計よりも大事なことを学ぶ』や、Rothmanの"Epidemioligy: An Introduction 3rd Ed."にも書かれている、RCTのロジックがやたらに丁寧に説明されていた。佐藤先生の本やIntroductionの3rd d.を読んでもピンとこなかった人でも、このくらい丁寧に説明があれば理解できそうな気がする。ついでに川口康平、澤田真行『因果推論の計量経済学』を買ってしまったが、固定レイアウトなのでスマホでは読みにくく後回しにしてしまいそうな気がする。
- メールの返事を打ちながらいろいろと雑務をこなしているだけで時間が過ぎ、19:40頃に帰途に就いた。
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