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【第704回】 日本人口学会2日目(2014年6月14日)
- 今日は午前も午後も少子化パラダイムシフトのセッションに参加。面白い実証研究も含まれていたが,政策論とデータとはかなりの乖離があるように思った。昼飯はパスタ。そこそこ美味であった。
- 企画セッションでの原さんが使われたWorld3はどの実装を使ったのだろうかとtweetしておいたら,柏野さんから,OpenModelicaをお教えいただいた。
- 金子さんの話の期間出生率とコーホート出生率の違いの話と,最後の話は重要だったと思うが,やっぱり一般の人には伝わらないんだろうなあ。
- 早乙女先生さりげなく皮肉を言った。産婦人科医不足の問題と産科医療の問題。よほどドラスティックなことをしないと無効。さっき大臣が30億円とったと威張っていたが,30億円程度では蟷螂の斧だよなあ。Huffington Postの平均年収のデータってどういう調べ方しているんだろう? ベネッセ調査の,出産体験得点が高い人は子育てが楽しいと思うというデータは,セレクションバイアスじゃないかと思うなあ。いわゆる「できちゃった婚」を「妊娠先行型結婚」と呼ぶのだな。既に全年齢でみて1/4が妊娠先行型。日本は不妊クリニックが約600ヶ所あり,世界でも多い方。30代後半になるとARTでも1/3は流産する。が,不妊外来にも妙に偏った情報だけもった来院者も。最後のところでは産科医がactive birthをサポートできれば助産院より良くなるということをおっしゃっていたが,産科医は足りないし,助産師はハイリスクでないお産であれば助産師に任せる部分を増やして欲しいと思っているので,そこは今日の話の筋からはちょっと外れていて,ただ早乙女先生のお気持ちの発露だったなあ。
- この後慌てて死亡モデルのセッションに走ったのだが,石井さんのJMDの話は終わった後で残念だった。次の拡張LCの残差の分析の話は,残差をコーホート効果と年齢別ピリオド効果に分解するというアイディアから自己相関の効果を入れると残差が小さくなるということは男性については十分に示されていたが,女性は違っていたとのこと。イギリスは従来の方が適合が良く,米国は新モデルの方が良い,フランスは男女で違っていたという話。変数を追加するのに説明力が落ちるってのは?? 残差自体は減るけれどもAICが大きくなるというようなことか?
- 線虫を使った実験的なアロメトリーで拡散方程式を使った老衰による死亡のモデルを考えたという最後の演題。フォローしきれなかったが,パラメータzが老化速度λの逆数に比例しているというのは……。線虫の実験で老衰群と病気群に分けてフィットさせると非常に良く適合することが示された。パラメータt0が気温と関連していて,線虫個体1匹当たりのATP量が突然増加する時期と強い相関があるという話は面白いけれども,これがヒトの老衰の場合の良いモデルになっているという理屈はよくわからなかった。
- fmsbのlifetable()関数がaxとnを自由に指定できないのだが,後方互換性を保ちたいので,lifetable2()という関数を新たに作ってaxとnを各年齢階級別に指定できるようにした。ついでに,qxとmxの相互変換も,axを指定できるようにした。これをもってfmsbのバージョンを0.4.5にあげ,CRANにアップロードしたら,あっという間に公開された。
- 懇親会の料理はハイレベルで,とくにステーキが素晴らしかった。きっと酒もハイレベルだろうと思われたが,ここで飲むと3日連続で飲むことになるので,ウーロン茶だけにしておいた。
- 懇親会終了後は息子の家に行って泊めて貰った。
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