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Wood (1994) Dynamics of Human Reproduction, p.294と図7.6に,現代フランスの多施設研究結果で,受胎能力が30歳未満に比べて31-35歳で低下し,35歳以上では急速に低下するというデータが紹介されています。
また,加齢がダウン症のリスクなのは疫学では常識です。Rothmanの"Epidemiology: An Introduction"(邦訳は『ロスマンの疫学』)でも,第7章で,第一子よりも第二子,第二子より第三子の方がダウン症の有病割合は高いけれども,年齢で層別するとその関係はなく,第何子だろうと母の年齢が高い方がダウン症の有病割合が高い(40歳以上というオープンエンドなカテゴリで顕著ですが,25-29歳でも20-24歳よりやや高い割合ですし,30-34,35-39と年齢層が上がるにつれて割合が急増していくことが,図7-5からはっきりわかります)。
何でこんな記事が? と思って,日経ビジネスがインタビューしたサンディエゴ州立大のTwenge氏を調べたら,世代間ギャップなどを研究する心理学者で,そっちの業績はたくさんありますが,人口学にも生殖生物学にも素人なんですね。
なお,受胎能力でなく,実際の年齢別出生率についてみると,『人口問題研究』最新号の「統計」報告の図2を見れば一目瞭然なように,30-34歳がピークな国はあるが,35-39歳になると急速に低くなる。また,意図的な出産抑制をしてない「自然出生集団」についてCoale AJらがまとめたデータでも,年齢別出生率は30代半ばから急速に低下する。栄養状態も良い北米ハテライトでもそうなので,これは加齢の効果と考えられている。ちなみに,Rのfmsbパッケージの中にCT()という関数でCoale and Trussellモデルを実装してあり,2つのパラメータMとmを,M=1, m=0とすると自然出生パタンになるので,library(fmsb); plot(12:49, CT(M=1, m=0), type="l")とすれば,年齢別自然出生率を図示することができる。△Read/Write COMMENTS
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