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【第1828回】 GW明け初日から講義で,津川友介『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』を勧めたが鵜呑みはせず批判的に読むことが大事(2018年5月7日)
- 7:00起床。昨夜の帰途,神戸駅のスーパーで安売りしていた鰹の刺身をオリーブオイルで軽く炒め,刻みショウガと麺汁で軽く味付け。鰹の刺身の付け合わせとして大量のダイコンの千切りがあったので,ガゴメ昆布とワカメのインスタント吸い物を作るときに同時に入れてみた。主食は五穀米のレトルト品を電子レンジ加熱して,野沢菜とシソとコンニャクの漬け物(成城石井で売られていた)を載せたもの。簡単にできた割りにはバランス良いのではなかろうか。何より美味で味わいを楽しめる。これは重要な点。
- まだ雨が上がらないが名谷キャンパスに出勤。今日は午後に院生との面談があり,その後4限に講義をする予定。
- ポスドク研究員からグラントの推薦状依頼があり,サインしてスキャンしようとしたところ,CANON MF8340Cdwのスキャナドライバが動作しない。どうやらWindows Updateで1803にした影響らしく思われたので,8340Cdwのドライバをいったん削除してインストールし直したらうまく動作するようになった。Win10の大型アップデートは,その都度タッチパッドのタップ機能が勝手にONになるし,機能不全を起こすソフトはあるし,いろいろ困るのだが,セキュリティ的にはOSやソフトは常に最新のアップデートを当てておくべきなので,仕方ないかなあ。
- 環境・食品・産業衛生学の「栄養」の講義の冒頭で参考文献を紹介したところで,昨日書いた通り,限界はあるし丁寧に読むと粗いところはあるのだが(一例を次段で述べる),もし1冊だけ読むなら,津川友介『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』東洋経済,ISBN 978-4-492-04624-1(Amazon | honto | e-hon)がいいと勧めてきた。何よりも良いのは,ちゃんと出典が全部出ているところ。少なくとも情報源情報集として役に立つ。科学書ならば当然のことと思うが,意外にそういう本が少ない。
- 引用元の文献を読めば,例えば53ページから紹介されているMozaffarianらの研究について,対象者が一般米国人ではなく,女性については看護職,男性についても医療従事者を対象とした調査であることがわかるし,体重が実測ではなくて自己申告であることもわかるし(妥当性検証のサブサンプルで実測との相関係数が0.96と高かったが,差の平均が3.3 lb=約1.5 kgであったと書かれている),食事調査も妥当性検証済の半定量的摂取頻度質問紙で尋ねた結果であり,データとして使っているのはservings/dayであることもわかる(秤量ではないし,日本の国民健康栄養調査でやっているような記録式でもない)。Table 1を見ると,平均としてはPotatoes(マッシュポテトとフレンチフライを一緒にした値。Table 2では別々に分析しているんだから,ここも分けて欲しかった)が0.4 servings/day,Whole grains(津川さんの本では「茶色い炭水化物(玄米,蕎麦など)」と書かれているが,蕎麦なんて米国人が食べるだろうかと思ってSupplementary Table 1を確認したら,Bran,Brown rice,Cold breakfast cereal,Cooked oatmeal,Other cooked breakfast cereal,Dark bread,Wheat germとあって,蕎麦など入っていなかった)が0.5-0.7 servings/day,Refined grainsが1.2 servings/day,果物は1.2〜1.6 servings/day,野菜は3.3〜3.9 servings/day,100%フルーツジュースが0.6〜0.8 servings/dayという人たちであって,日本人の平均とはまったく違う食生活をしている人たちであることもわかる。津川さんの本の54ページに載っているグラフは,Table 2の右側(多変量で調整した体重変化)から作られたものと思われるが,この程度の精度と信頼性で得られた食事と体重のデータで,Whole grainsの摂取が4年間で「増えた」人では体重が200グラム弱減り,Refined grainsの摂取が4年間で「減った」人では体重が200グラム弱増えたという結果が(12万人という大きなサンプルサイズの結果だから統計的に有意ではあるけれども),実際的な意味がどれほどあるのか(看護師や医療専門職者が対象だし,Whole grains摂取を増やした人は自分へのご褒美的に最後の桁で少なめに,Refined grains摂取を増やした人は罪悪感から最後の桁で多めに体重を報告した可能性がありそうだ),よく考えた方がいいと思う(白い炭水化物と茶色い炭水化物については,3章でも他の様々な研究を引用して白米は少しでも減らした方が良いと書かれているが,115ページのHuらの論文の図からすれば,アジア人では600g/day以下なら大差ないと解釈するのが自然だと思う。ここの議論はちょっと強引すぎる)。ネット上には手放しで本の記述を鵜呑みにしている人が散見されるのは,危険なことかもしれない。出典が載っていることが重要だと思うのは,そういう意味。NEJMだからといって鵜呑みにせず批判的に読むべき。
- あっという間に22:00になってしまった。明日の保健行政論の配付資料は印刷させたまま帰るしかないかも。160枚の両面印刷はレーザープリンタでもそれなりに時間が掛かる。
- 湊川公園廻りの終バスで帰宅し,豚肉小間切れとニラとモヤシをオリーブオイルで炒めて麺汁で味付けした主菜,トマトとベビーリーフにポン酢を掛けたサラダ,ガゴメ昆布とワカメともずくの吸い物,電子レンジ加熱したレトルトご飯と野沢菜漬けという晩飯をとってから1時間半ほど経ってから就寝。
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