Top

個別鵯記

Latest update on 2018年5月17日 (木) at 06:17:00.

目次

【第1834回】 今日も講義と講義準備と思ったが,明日は講義をしてはいけない創立記念日だったことに気づいたので,音楽小説紹介など(2018年5月14日)

日常
6:10に土岐麻子「Awakening」で目が覚めたが寝不足は否めず。椅子に座ったら二度寝してしまい,次に気がついたら7:10だった。豚小間切れとモヤシを茹でてポン酢を掛けたものと,レトルトご飯(越後製菓の「日本のごはん」は120g入りで1分でできるので便利だ)と冷や奴で朝食を済ませた。今日の時間が決まった予定は4限の講義だが,合間に明日の講義資料を作って印刷するとか,書類作りとかしなくてはいけない。
音楽小説
▼このところモデルプレスで続いているリトグリのリレーインタビューが,昨日はmanakaで,「最近、自分が思ってる感情を人に伝えたくても、言葉の引き出しが少ないことを痛感することが増えてきて…。だから紙の国語辞典を買いました。常に持ち歩いてて、辞書を読んだりしています」と語っていた。
▼かつて5秒で答えてというインタビューでも,manakaも含めてメンバーの多くが,「こんな事ならもっとちゃんとやっておけば良かった! と思う事は?」に「もっと勉強しておけば良かった」と答えていたし,manakaは中学生の時から,「頭に言葉のクローゼットが欲しい」「品のある言葉を纏いたい」とブログに書き,幸田文『流れる』を読んでいたような人だから,既に書いたけれども,自分が面白いと思うものからでいいので読書習慣をつけて,わからない言葉をその国語辞典で確認すると良いと思う(紙の辞典の方が電子辞書よりも,引いたときに近くに載っている言葉にも目が行くから良いと思うし,「新解さん」は読んでも面白いと思うが)。
▼ただ,言葉は文脈の中で適切に使わなくては生きないので,国語辞典を読む以上に,良い文章をたくさん読む方がお薦めで,manakaは古い音楽も好きだから,音楽小説の名作を読んでみたらいいのではないかと思う。例えば,篠田節子『ハルモニア』『カノン』,川端裕人『はじまりのうたをさがす旅:赤い風のソングライン』,津原泰水のクロニクル・アラウンド・ザ・クロック3部作『爛漫たる爛漫』,『回旋する夏空』,『読み解かれるD』,今野敏のハイパーサイキックカルテットシリーズ(『超能力者狩り』から『怒りの超人戦線』までの6作と『熱波』),恩田陸『蜜蜂と遠雷』,松浦千恵美『ひとごろしのうた』など枚挙に暇が無い。中田永一『くちびるに歌を』,中沢けい『楽隊のうさぎ』なんかは映画にもなったから取っつきやすいかもしれない。
地元愛
往路バスの中で釣りtweetに気づいた。普通は関わるのが面倒だし放っておくのだが,信州に悪いイメージがつくことには耐えられず,引用RTですべてがフェイクであることを指摘し,長野県庁は抗議すべきと書いたら,凄い勢いで「いいね」とRTが増えている。
衝動買い
「新解さん」を思い出したら懐かしくなって(ぼくが紙の冊子として持っていたのは,たしか第四版だったと思う),検索してみたらAndroidスマホアプリとして第七版が1,900円で買えることがわかって買ってしまった。これだと縦書きだし紙イメージなので「読む」こともできそうな感じ。ついでに,赤瀬川原平『「新解さん」の謎』が懐かしくなってAmazonで検索したら,夏石鈴子『新解さんの読み方』『新解さんリターンズ』という作品が文庫で出ていることを知ったので,まとめて注文してしまった。さらに,矢原さんのtweetで『生物学者、地球を行く―まだ知らない生きものを調べに、深海から宇宙まで』日本生態学会北海道地区会(編),小林 真,工藤 岳(編著)の存在を知り,これも面白そうだと思ったので衝動的に注文してしまった。さらに,山中千尋さんがクラシック曲をジャズアレンジして弾いたという(一時期流行ったメルティングサウンドというやつだ。ボブ・ジェームズ『白鳥』みたいな)『ユートピア』が発売されることを知ったので,これも予約注文してしまった。届くのが楽しみ。
衝動買いしなかったもの
エビデンスベーストヘルスケア特講のためD101で講義するとき,拡張ディスプレイでEZRの操作画面を投影していると見えないので「複製」にせざるを得ないのが不便だなあと,ずっと思っていた。ふと,HDMI出力を分配器で分配してモバイルディスプレイでモニタしたら良いと気づいた。普段から拡張ディスプレイにすれば2画面作業できるし,GeChicの1102Hは手頃だなあと思った。が,さすがに3万円以上するものは衝動買いできない。暫く寝かせてみよう。
明日は創立記念日
講義が終わって研究室に戻り,明日の保健行政論の講義準備をしようとしたところで,明日が神戸大学の創立記念日のため学部の講義をやってはいけない日だったことに気づいた。医療保障の話は来週だったな。ということは,今日のミニレポートの採点を先に済ませてから,水曜や木曜の講義準備ができるということか。
鄭君の道徳本の続編
土曜の日本人口学会理事会の帰りに,鄭 雄一『東大理系教授が考える道徳のメカニズム』の続編と思われる本が出ているのを見つけ,買ってきた。まだちゃんと読んでいないが,前著を受けてより発展させた内容のように思う。ざっと目を通してみた感じでは,「第四回講義」までは前著を発展的に書き直したものだと思われるが,「第五回講義」で二つの掟の統合に挑み,「第六回講義」では道徳のアルゴリズムを提案しているように思われた。確かにこれに成功すればロボットに道徳のルールを教えることは可能かもしれない(新井紀子さんが『AI vs 教科書の読めない子供たち』で問題提起している,現在の技術ではヒトの認識のすべてを論理,統計,確率のどれかに還元することはできない,という限界ゆえ,実際に稼働させられるかどうかはわからないが)。移動中に読む本の待ち行列に入れたので,たぶん一週間以内には読めると思う。なお,書誌情報は,鄭 雄一『東大教授が挑む AIに「善悪の判断」を教える方法:「人を殺してはいけない」は“いつも正しい”か?』扶桑社新書,ISBN 978-4-594-07950-5(Amazon | honto | e-hon)である。
採点が終わる前に帰宅
採点は終わらなかったが湊川公園廻りの終バス1本前で帰宅し(湊川公園のコンビニで握り飯1個買って食べた),トマトとベビーリーフのサラダと,ガゴメ昆布ともずくの吸い物を作って晩飯にした。
子宮頸がんの死亡率
▼子宮頸がん死亡率が上がっているというのはデマといっていい。少なくともミスリード。たぶん発信源は産婦人科学会のこれとかこれとかこの辺(またはそれを見た素人)か? 「2015年6月に発表された国のがん対策推進基本計画の中間評価報告書においても、主ながんの中で子宮頸がんのみ死亡率の増加が加速しています」という文章と棒グラフで,1995年に比して2005年,2005年に比して2015年に,75歳未満年齢調整死亡率が数パーセント増えているというのだが,時期的に勧奨の差し控えとは無関係だし,10万分の2前後の値の数パーセント(つまり100万分の1以下の)増減にどれほど意味があるのか疑問。「子宮頸がんの予防対策として細胞診による検診が行われてきましたが、日本の検診受診率が30〜40%台(2013年は全国平均32.7%)であり、欧米先進国の70〜80%台と比較して低いことから、検診のみでこれ以上子宮頸がんの死亡数を減少させることは難しい」という文章はロジックとしてまったくわからない。欧米の半分しかない検診受診率を上げることで早期発見を増やし死亡数を減らす余地が大いにあると考えるのが論理的帰結ではないか。
2010年の国際比較論文では,日本の子宮頸がんの年齢調整死亡率は先進国でも平均的なレベル。2016年の続報ではWHOのポジションペーパーを引用して検診とワクチンの併用を勧めているだけで,先進国における具体的な話は何も書かれていない。国立がん研究センターのデータによると最近は横這い。Rでグラフを描いてみると,1994年まで低下し続けていたのが1995年に急上昇したのはわかるが(これは他の死因と同様,死因分類がICD-9からICD-10に切り替わった影響と思われる),それ以降は増減しながらもほぼ横這いとみるべきだろう。
日本の女性の子宮頸がんの年齢調整死亡率(基準集団は世界人口)の年次推移
香港のデータでも横這いで(Figure 1),日本と同レベル(基準集団が同じかどうかわからないが)。ブラジルは日本よりずっと高い(これも基準集団が同じかどうかわからないが)。まあ当たり前か。韓国でAPCモデルで解析した論文があって,主旨が違うのでトレンドはわからないし基準集団もたぶん違うが,年齢調整死亡率は日本と同レベル。
▼そもそも4価ガーダシルの発売が2006年,サーバリックスの発売が2007年。日本でのサーバリックス承認が2009年,4価ガーダシル承認が2011年で,定期接種になったのは2013年4月から。積極的勧奨を控えると通知があったのは同年6月。積極的勧奨の差し控えで接種率が下がったとするなら,定期接種による高接種率は,年次統計から効果を見ることができるほど続いていない(参考)。経過時間が短すぎて,死亡率への効果はわからないとしかいえないだろう。

Read/Write COMMENTS

前【1833】(雨の日曜は講義準備とか(2018年5月13日) ) ▲次【1835】(今日は講義準備と書類作りと思っていたらネットワーク対応が立て込んで散々だった。まあドラゴンズがカープに快勝したからいいか(2018年5月15日) ) ●Top

Notice to cite or link here | [TOP PAGE]