Lancet Infectious Diseasesに昨日出た論文(だが,既にプレプリントサーバで発表されていた論文がアクセプトされて出版されたものだと思う),Bi Q et al. "Epidemiology and transmission of COVID-19 in 391 cases and 1286 of their close contacts in Shenzhen, China: a retrospective cohort study"(2020年4月27日掲載)では,過分散を想定した二次感染者数の分布を多重代入法(multiple imputation)で推定している(Supplement 2の最終ページにText S2として簡単に説明があるが,具体的な手順やソフトは書かれていない)。論文そのものは1月14日から2月12日までの深圳CDCのデータを使って,発症から確定診断,隔離,入院までの日数と伝播に関する指標値を推定することが目的で,最初にデータを得た時点では391症例の91%は軽症で,2月22日時点では3人が死亡,225人が回復していたこと,発症後隔離まで平均4.6日だったが,接触者追跡によってこの日数が平均1.9日減ったこと,世帯内感染全体のうち患者と一緒に旅行した場合の感染リスクが6.27倍,患者と一緒に旅行すると他の濃厚接触の7.06倍感染しやすくなること,世帯内での大人から子供への感染は大人同士の感染と起こりやすさに差が無いこと,観察された再生産数が0.4で平均発症間隔が6.3日だったこと,がfindingsとしてsummaryに書かれていた。