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【第642回】 今日も遠隔会議のハシゴ(2021年2月3日)
- 7:15起床。81.60 kg。昨日は1万5千歩以上歩いたのだが,やはり晩飯が遅かったのが敗因か。98%,35.8℃。
- この検討は簡単にできるので続けているが,Vollmer教授の方法で推定される捕捉率が異様に高いままなので(現在までのデータでカラーパレットをカラーユニバーサルデザインの"Okabe-Ito"に変えて描画したのが下図),おそらく実はもっと捕捉率が低い可能性(1)~(3)のどれかが現実だと思われる。
- そこでさらに考えてみる。東洋経済サイトによると,年始の数日を除く12月下旬と1月上旬に1を超えていた見かけの(年始の数日に1を切っているのが検査数に依存する見かけの数である証拠)実効再生産数が,現在は0.8くらいになっているが,既に下げ止まっている。接触者追跡を縮小した効果は,過去の検出のうちどれくらいが現在できていない追跡からの検出なのかという割合を計算すればわかるはずなので(そのデータを探すのが最も面倒なところだし,入手可能かどうかわからないし,時間も気力も無いので自分にはできないが),その値で検出数に基づく簡易推定で得られる実効再生産数を割れば,(簡易推定のままではあるが)追跡されずに広がっている部分も含めた実効再生産数が計算できるはず。それが1を超えていたら,新規感染報告数は1月上旬より減っていても,実は新規感染者は増え続けていて,緊急事態宣言をしていてもいつか報告数も増え始めるはず。1を超えていなくても0.95とかだったら,あと1ヶ月緊急事態宣言を続けてもあまり新規感染報告数が減らないことになる。誰かやっている気もするが見つからない。
- 今日は10:30から遠隔会議その1。
- やはり文字だけだと見る人が限られてしまう気がするので,infodemic対策としては動画を作って公開した方が良いのか? 検査性能の話とか致命リスクの話とか,未だに微妙な誤解が蔓延っているトピックだけでもやってみるかなあ(どこにそんな時間が?)。
- フィジーのサイクロン被害には心が痛む。
- 南太平洋諸国はこのプレゼンのスライド17から18で書いたように,対策資源が限られているため国内侵入を最大限防御するためのP戦略をとった。結果として,メラネシアやポリネシアの国でも,ほぼ入国者が感染していたケースを検出して制御できていて,国内での持続的感染は起こっていない。ミクロネシアの5つの国(ナウル,ミクロネシア連邦,ツバル,パラオ,キリバス)では,未だに累積感染者数ゼロを保っていて,侵入防止政策の有効性を示している。もちろん観光などは壊滅的な打撃を受けているわけで,新型コロナフリーな国相互間では検疫免除の協定を結ぶなどしても(10月時点でこの協定に入っていたマーシャル諸島は,現在の新規感染者はゼロだが,累積感染者は4人となっているので,いまマーシャル諸島と他の国での往来がどうなっているかはわからない),経済には大きな影響がでている。その意味で,DWやBBCなどが国境封鎖の有効性に疑念を表明する記事を載せたり,Natureのニュース記事が,理論疫学の研究を紹介する形で,国境封鎖は早期には有効だったが,世界中に感染が拡大したのにつれて有効性が低下したと論じるのも一理ある。けれども,小島嶼開発途上国(SIDS)は,歴史上,感染症によって壊滅的な被害を受けた例も多いし,ヒトの生存を第一に考えたら,侵入防止に最大限気をつかう戦略は正しいと思う。
- CO2による換気モニタリングは草の根的にいろいろな試みがあり,換気向上委員会は,たぶんオンラインショップ向けの定型フォームを使って作られているためメニューなど若干おかしいが,「CO2の記録はこちらからどうぞ」と書かれているところをクリックするとGoogleマップ上で,さまざまな店舗などで測定したCO2濃度と状況が手動登録されている。商業的にも換気状況を見える化。プラチナマップ、二酸化炭素濃度から「密」を地図上にリアルタイム表示のようなものが開発されていて,自動計測なので自治体などで導入できそうな気がするがどうだろう。換気が十分にされている飲食店の情報提供としては,自己申告のステッカーなどより実効がありそうだが。
- "THE END"のハイレゾ版をmoraで購入。「オーケストラ」と似た感じの「金木犀」「スイカ」からダウナー系に振った「虹」は想定内だったが,アップテンポでシティポップ風味もある「サボテンガール」みたいな曲も歌うんだなあ。どっぷりハマってしまった気がする(今夜22:00から「金木犀」もTHE FIRST TAKEのパフォーマンスが公開されるので,視聴せねばなるまい)。とはいえ,通勤音楽としてはPenthouseの「26時10分」を無限リピートしているのだが。
- 13:00から保健学研究科の運営会議と領域長会議,14:00から国際協力研究科の教授会がオンラインで行われるので,もしかするとデュアル参加になるかもしれない。と思ったが,運営会議も領域長会議も13:30より前に終わったので,国際協力研究科の教授会には普通に参加できる。
- 修論を指導していた学生(現在は京都大学の古澤さんの博士課程学生)から,論文(Hawai`i Journal of Health and Social Welfare掲載号,pdfが丸ごとダウンロードできるようになっている。次に載っている論文もホニアラ市での健康的な食物へのアクセスというテーマで興味深い)が通ったという知らせがあって,大変喜ばしい。
- 某査読を済ませたら19:15になったので帰途に就く。
- 罰則付きの改正コロナ対策特措法,あれだけ野党から批判がありながら成立してしまったのか。過料付きの長期間の時短命令ではなく,減収分を補うに足るだけの給付または補償付きの短期間の休業要請にした方が良いのに,そういう政策にならないのは大変残念。13日施行というが,それ以前に前述のCO2測定器+プラチナマップみたいなものを整備した方が良いのに。
- AndroidスマホにおけるCoCoAの不具合(厚生労働省の2021年2月3日付けアナウンス)に唖然とした。かつて現在のHER-SYSを含む感染症サーベイランスシステムを内製すべきとか,基幹インフラは公営であるべきと書いたが,この資料(新型コロナウイルス感染症対策 テックチーム Anti-Covid-19 Tech TeamのCoCoAについての有識者会議がこの資料が出た9月17日を最後に行われていないのも問題と思うが)によるとCoCoAもやっぱり外注の中抜きシステム(経産省からの持続化給付金の中抜き[リンク先は東京新聞の記事]で世に知られるようになったが,あれが典型例なだけで,官製談合と中抜きシステムは,政府に食い込んでいる企業群にとっては強烈な既得権益だし,たぶんその方が小泉改革以降慢性的な人手不足に陥っている官僚も救われるので,ほぼすべての政府事業でできあがってしまっていると思う)が発動していて,厚労省からパーソルプロセス&テクノロジー株式会社が開発・運用を委託され,そこから主に技術支援がマイクロソフトに,クラウド監視が株式会社FIXERに(ということは,クラウドはMS AZUREなんだな),運用・保守開発・カスタマーサポートがコンテンツ配信事業を本業としているエムティーアイ株式会社に再委託されている。せめてこの官公庁によくある子請け/孫請けシステムではなく,厚労省が責任をもって業務をユニット分けし,内製できない部分だけ直接外注した方が迅速な対応ができるし(こういう随時改良・修正が必要なものには尚更だ),責任の所在が明らかになるはずだ(あるいは,開発の経緯を考えたら,COVID-19 Radar Japanを事業化して予算をつけるとか,いっそ孫請け禁止でマイクロソフトに丸投げする方がマシだったかもしれない)。ドラマ「下町ロケット」で技術のコアとなる部分を内製することに拘っていた帝国重工の論理は,事業の信頼性と安定性を考えたらまったく正しい。しかもこれは重要な公共事業なのだから,国はシステムの開発・運用を内製できるだけの十分な予算を厚労省につけるべきだった。外注するから対応に時間がかかったり外注先の都合で対応に制限が出たりするので,必要な基幹インフラの開発・運用は,時間と予算を十分に掛けて内製できるようにした方が良い。
- ちなみに神戸大学大学院保健学研究科のウェブサイトは,デザインは外注したが,更新は非常勤の職員を雇って自力でできる形にしており,必要に応じて事務方が直接更新できるようになっている。日本健康学会のウェブサイトも長らく更新の度に外注していたところ,最近CMSを導入したページに作り替える作業を外注し,現在は担当理事や事務局が直接更新できる体制になった。せめて管理運用は内製した方が迅速な対応ができるはず,というのは,これらの経験に基づく。
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